事案
外見上は不審な挙動が見られない集会への参加者に対して、機動隊員らが阻止隊形を作り、職務質問及び所持品検査を行った。本件の検問を回避しようとした者に対して、機動隊員は腕をつかむなどの実力を行使したため、このような検問が違法であるかが争われた。
判旨(大阪高裁平成2年判決)
警察官がその責務を遂行するに当たり、相手方の意思に反しない任意手段を用いるについては…警察の責務の範囲を定めた警察法2条1項の規定を根拠として、これを用いる場合があるとしても(最高裁昭和55年9月22日第三小法廷決定参照)、本件…検査のように、相手方の意思に反して、国民の権利を制限し、これに義務を課す場合には、その権限を定めた法律の規定が必要であり、同法2条1項の規定によってこれを根拠づけることはできないと解せられる。そうだとすると、本件所持品検査の適法性の要件を、もっぱら警職法2条1項に基づいて判断し…警察法2条1項を根拠としてその要件をより緩和することを考慮しなかった原判決の判断は正当である。
コメント
相手方の意思に反してなされる職務質問及び所持品検査について、本件は、警職法2条1項に基づいて判断するべきとしました。その上で、同法条に基づく厳格な要件を満たす場合に限り適法となると判示しており、職務質問及び所持品検査の適法性にも限界があることを示しています。
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