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刑事判例紹介(33)

事案

覚せい剤密売の嫌疑の濃厚な被告人らの勤務地に対して配送予定である宅配便荷物について、警察官が、被告人らの承諾なく、エックス線検査装置を用いて検査を行った結果(本件検査)、当該荷物中に細かい固形物が均等に詰められている長方形の袋の射影が観察された。その後、捜索差押許可状に基づき、当該荷物を捜索したところ、長方形の袋から覚せい剤結晶が発見された。このような本件エックス線検査が違法である等として被告人らが上告した。

判旨(最高裁平成21年決定)

本件エックス線検査は、…捜査機関が、捜査目的を達成するため、荷送人や荷受人の承諾を得ることなく、これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察したものであるが、その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上、内容物によってはその品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。…検証許可状によることなくこれを行った本件エックス線検査は、違法であるといわざるを得ない。

コメント

「検証」(刑事訴訟法218条1項)とは、捜査機関が、五官の作用を用いて検証物の内容・性質を把握するという強制処分(刑事訴訟法197条1項但書)であり、検証許可状なしに行うことは違法となります。本判決は、エックス線検査について、荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上、品目等を相当程度具体的に特定することも可能である点で、荷受人らに対するプライバシー等の侵害の程度が重大であると評価し、検証にあたると判断した上で、本件検査は、警察官が、宅配便業者の営業所の長の承諾は得ているものの、荷送人や荷受人の承諾を得ず、かつ、令状も取得しないままに行われている点で、違法であるとしました。

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