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刑事判例紹介(40) – 無罪判決の確定が当初の捜査及び追訴の違法性を基礎づけるかが争われた事案

無罪判決の確定が当初の捜査及び追訴の違法性を基礎づけるかが争われた事案

事案

複数事件について逮捕・起訴されたが、一部につき無罪が確定した被告人が、当初の捜査機関による逮捕・起訴等の各行為に違法がある等として国家賠償請求をなした

判旨(最高裁昭和53年判決)

刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで、直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となることはない。けだし、逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりでは適法であり、公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないので…、起訴時あるいは訴訟追行時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証と異なり、起訴時あるいは起訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるからである。

コメント

逮捕・起訴されたが、無罪判決が確定した場合、当初の捜査機関による各行為が適法であったか、問題となる場合があります。本件では、無罪判決が確定しただけで直ちに違法となるとは限らないと判断し、原告の訴えを棄却する結論を維持しました。他方で本判決は、当該公訴提起等の時点において、客観的に犯罪の嫌疑が不十分である等、有罪判決を期待しうる合理的根拠がない場合には違法となり得るという姿勢を明らかにしており、捜査機関による逮捕・起訴の適法性にも限界があることを示しています。

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