中村国際刑事法律事務所 | 刑事事件の実力派弁護士集団 中村国際刑事法律事務所
お急ぎの方へ メニュー

刑事判例紹介(94)

事案

覚せい剤中毒の疑いがある被告人に対して職務質問を行い、ポケットに手を入れてプラスチック・ケース入りの注射針1本とちり紙の包みを取り出した。ちり紙の中身が覚せい剤であることが判明したため現行犯逮捕したが、違法な証拠収集活動によって得られた証拠には証拠能力が認められないのではないか、と争われた事案。

判旨(最高裁昭和53年判決)

憲法35条、31条等の保障に照らすと証拠物の押収等の手続に、憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法捜査抑止の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるものと解すべきである。

コメント

前提として、本件の取り出し行為は捜索に当たり所持品検査の許容限度を超えているため、これに引き続いて行われた逮捕や差押え手続は違法です。違法収集証拠排除法則については刑訴法上明文の規定がないため、その判断基準が問題となりますが、本判決は違法集証拠排除法則の要件として、①違法の重大性と②排除相当性が認められる場合には証拠能力が否定されると判示しました。①に関しては、手続違反の程度や令状主義潜脱の意図等が考慮され、②に関しては違法の重大性を前提として事件の重大性や証拠の重要性等を考慮して決せられることになります。

更新日: 公開日:

経験豊富な弁護士がスピード対応

刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

このページをシェア