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強制わいせつ罪で起訴されたら – 代表弁護士中村が解説

本コラムは代表弁護士・中村勉が執筆いたしました。

強制わいせつ罪は重い犯罪です

強制わいせつの法定刑は、6月以上10年以下の懲役刑です(刑法176条)。
どのような量刑となり、執行猶予が付されるかどうかは、犯行態様のほか、犯人の反省状況、前科の有無、示談の成否・その内容等様々な事情を基に判断されることになりますが、この種事犯の場合、実刑の可能性は相当にあると言わざるを得ません。

しかしながら、強制わいせつ等の性犯罪事件では、とりわけ被害者のご心情と示談の成否・その内容が量刑に大きな影響を与えます。示談ができなければ、執行猶予付き判決は難しいです。もちろん、単に示談をしさえすれば執行猶予となる訳でなく、心から反省し、被害者に許していただくなど、真摯な努力が必要です。
検察官から開示された証拠を入念に検討し、弁護人自ら有利な証拠を集め、裁判官を説得する戦略を構築して弁護活動を行っていくことになります。

強制わいせつ罪で示談を成立させるために弁護士ができること

性犯罪被害に遭われた方が、精神的にも肉体的にも深く傷ついていることは当然ですが、事件の影響によって、例えば、その捜査協力によって生活に重大な支障が生じていることも珍しくありません。取調べに何時間も時間を費やし、同じことを聞かれ、あってはならないことですが、心無い捜査官に責められるようなこともあります。いわゆる二次被害(セカンドレイプ)です。

弁護人が被害者の方に連絡する際には、細心の注意を払い、豊富な示談交渉の経験に基づいて、被害者の方の心情に配慮した対話を心がけます。時には、依頼人の方が起こしてしまった犯罪の悪質さや、被害者の方が被った苦痛の大きさについて弁護人が共感を示し、被害者の感情に寄り添うことも必要になります。

弁護人が口頭で、あるいは依頼人の謝罪文を手渡して依頼人の謝意を被害者に伝えます。謝罪文の作成にあたっては、依頼人の真摯な気持ちを少しでも被害者の方に伝えられるよう、性犯罪の刑事事件の豊富な経験に基づいて被害者の苦しみを伝え、罪の重さを十分理解していただきます。依頼人の方が無実を主張している場合であっても、迷惑料として一定の金銭を被害者の方に支払って示談することがあります。
とにかく、強制わいせつ罪などの性犯罪事案は、示談の際には丁寧な交渉が必要です。

強制わいせつ事件で冤罪・無罪を主張するために弁護士ができること

強制わいせつ罪の事例では、依頼人の方が「そもそもわいせつ行為はしていない」「相手が同意していた」「相手が同意していると思っていた」などの供述をしている場合には、その主張に沿って、捜査段階から無実を主張します。それにもかかわらず、検察官が公判請求し、刑事裁判となった場合、弁護人は持ち得る経験と知識を駆使して全力で戦います。

起訴後、弁護人は、検察官から証拠の開示を受けられるようになります。しかし、平成17年11月から一定の重大事件について公判前整理手続という制度が実施されるようになるまで、検察官は、裁判において有罪を立証するために請求する証拠以外の手持ちの証拠について、法定の証拠開示義務はありませんでした。

現在でも、公判前整理手続を経ない裁判では、検察官に証拠開示義務はありません。この場合、弁護人が検察官による任意の証拠開示を請求して証拠開示を受けることができますが、検察官がどのような証拠を持っているのかを正確に把握することはできず、無罪を主張するための十分な証拠開示を受けられるとは限りません。
そのため、少なくとも無罪を主張する事件では、弁護人が公判前整理手続に付すことを請求し、刑事訴訟法に基づいて検察官に証拠開示を求めて、できるだけ多くの証拠を集める必要があります。

十分な証拠開示を受けたら、弁護人において入念に証拠を検討し、依頼者にも証拠を見てもらって、当事者でなければ分からないポイントや意見を述べてもらいます。
証拠の綿密な検討を終えたら、無罪を勝ち取るための公判戦略を立て、その戦略に基づいて、弁護人が無罪の立証のために請求する証拠の選定や、検察側証人の反対尋問、弁護側証人の主質問、被告人質問の準備などを行います。

特に、強制わいせつ罪の成立が争われる事案では、基本的に被害者が検察側証人として出廷することになり、弁護人が被害者の供述が信用できないことを明らかにしなければ、無罪判決を得ることは困難である場合がほとんどです。
刑事裁判の豊富な経験を有する弁護士が、専門的な尋問技術を用いて、被害者から被告人にとって有利な証言をいかに引き出せるかが無罪判決を得るポイントとなります。

裁判の終盤には、検察官による論告・求刑と弁護人による弁論が行われます。検察官は、なぜ被告人に強制わいせつ罪が成立するかを語り、最後に求刑を述べます。これに対して、弁護人は、なぜ被告人が無罪であるか弁論を行うことになります。全ての証拠を説明する説得的な弁論によって裁判官を納得させる必要があります。
強制わいせつ致傷罪が争われる場合には、裁判員裁判となり、裁判官だけでなく裁判員に対しても理解し易い弁論を行うことで、無罪判決を目指します。

まとめ

以上、強制わいせつ罪で起訴された場合について、解説いたしました。
強制わいせつ罪で起訴された場合に、弁護士による速やかな弁護活動が必要不可欠になります。

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