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暴行・傷害被害でお悩みの方へ – 暴行・傷害被害について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

見知らぬ人から暴力を振るわれて怪我をした…。
友人と口論になり、友人から殴られた…。
元交際相手から無言電話がかかってきて、ノイローゼになってしまった…。

このページでは、あなたが受けた被害について刑法上「暴行罪」「傷害罪」のいずれが成立するのか、そして、あなたが受けた被害に対して弁護士の力を借りるとどのようなことができるのかを説明していきます。

なお、配偶者や交際相手から暴力を振るわれて傷ついている方は、こちらのページだけでなく、当事務所の「DV被害でお悩みの方へ」のページも併せてご覧ください。

暴行・傷害とは

まず、暴行罪(刑法第208条)と傷害罪(刑法第204条)がどのように区別されるのかをご説明します。簡単に言えば、被害に遭われた方に傷害結果が生じたか否かによります。傷害結果が生じていなければ暴行罪、傷害結果が生じていれば傷害罪が成立します。ただし、後述するように、傷害罪は、暴行がなくても成立することがあります。

なお、被害に遭われた方に傷害結果が生じた場合でも、傷害結果の診断書を医療機関で取得せず、診断書を捜査機関に提出していない場合には、傷害の結果が立証できないとして、傷害罪ではなく暴行罪として捜査がされてしまうこともありますので注意しましょう。

暴行・傷害に関する法令について

それでは次に、暴行罪と傷害罪の条文を確認し、暴行罪と傷害罪がそれぞれ成立する要件について詳しく見ていきましょう。暴行罪につき、刑法第208条には、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定されています。すなわち、暴行罪の成立要件は、①「暴行を加え」ること、②「傷害」結果が発生しなかったこと、の2つです。

①について、「暴行」とは、他人の身体に対する不法な有形力の行使のことをいいます。有形力の行使とは物理力すなわち力学的作用のほか、音、光、熱等のエネルギーの作用を人に及ぼすものも有形力の行使に含まれます。例えば、相手の胸ぐらをつかんだり、突き飛ばしたり、殴る・蹴るなどの暴力を振るったりするなどの直接的な暴力は、もちろん「暴行」に当たります。しかし、それだけでなく、直接相手の身体に当たらないような間接的な暴力、すなわち、相手に向かって石を投げたり、傘を振り回したりするなどの暴力も「暴行」に当たります。

②について、「傷害」とは、判例上、人の生理的機能に障害を生じさせることをいうとされています。すなわち、相手の身体に怪我を負わせることだけでなく、相手を失神させたり、病気を感染させたりすることも「傷害」に当たるとされ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に罹患させたことを「傷害」に当たるとした判例もあります。したがって、このような「傷害」結果が相手に生じなかった場合に限り、暴行罪が成立するのです。

傷害罪については、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と刑法第204条に規定されています。すなわち、傷害罪の成立要件は、相手に対して「傷害」結果を生じさせることをいいます。

「傷害」の定義については、先ほど暴行罪のところで説明したとおりです。
そして傷害罪には、暴行罪のように、条文上、相手方に「暴行を加え」るという文言がありません。すなわち、傷害罪が成立するのは、相手方に「暴行を加え」た場合に限られません。例えば、隣の家から大音量でテレビや音楽を流され続け、極度な精神的ストレスによって睡眠障害や慢性頭痛などに罹患してしまった場合や、睡眠薬を飲まされて意識障害や昏睡状態に陥ってしまった場合なども、相手方に傷害の故意があれば傷害罪が成立し得ます。

罰則については、先ほど紹介した条文に記載してあるとおり、暴行罪については「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」(刑法第208条)が科せられ、傷害罪については「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法第204条)が科せられます。

暴行・傷害被害の相談窓口・支援センター

ここでは、公的機関による、犯罪被害の相談窓口・支援センターを簡単に紹介します。
暴行・傷害被害に遭い、どこに相談したらよいかわからない、何をすべきかわからないという方は、ひとまずこれらの窓口に相談することで、今後の見通しなどが見えてきて、不安な気持ちが和らぐはずです。

警視庁による警察相談電話窓口

「#9110」(シャープ きゅう いち いち まる)という全国共通の短縮ダイヤル番号を押すと、発信された地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります(もちろん、発信された地域を管轄する各都道府県警察本部等の相談電話窓口に個別にダイヤルをして相談することもできます)。

こちらの窓口では、相談業務を専門に担当する「警察相談員」などの職員が、相談者のプライバシー保護や心情・境遇などに配慮しつつ相談に対応してくれます。場合によっては、医療機関などの専門機関を紹介してくれるので、どこに相談したらよいかわからない場合に、まず警察の相談窓口を利用するのも手です。

検察庁による被害者ホットライン

被害者の方が検察庁へ暴行・傷害被害等に関する相談を行えるように設けられた、検察庁による相談電話窓口です。被害者支援員を配置している全国の検察庁に相談電話窓口が設置されています。

暴行・傷害被害のご相談は弁護士へ

暴行・傷害被害に遭われた方は、身体的な苦しみはもちろん、精神的な苦しみも負っておられると思います。特に、傷害被害に遭い、医療機関での継続的な通院や入院が必要になった方は、このような金銭的負担をどうすればよいか、途方に暮れているかもしれません。被害に遭ったことで一定期間仕事を休まなければならなくなってしまった方もいるでしょう。
このようなあなたの苦しみを少しでも軽減するために、弁護士として何ができるかを一緒に考え、行動を起こしていきましょう。

暴行・傷害被害で弁護士ができること

ここでは、刑事手続の段階に分けて弁護士としてできることを説明していきます。もちろん、どの段階においても、私たち弁護士は暴行・傷害被害に遭って傷ついているあなたの話をじっくり聞き、心身に対するケアをしながら、あなたの味方として活動していきます。

1.事件が立件される前に弁護士ができること

まず、暴行・傷害被害に遭われた方が警察に相談に行く際のアドバイスをします。具体的には、警察に行く前にどのような証拠を残すべきか(なるべく早期に怪我の写真を撮影しておく、病院に行って診断書を取得するなど)、警察にどのような話をすべきか、などです。必要があれば、弁護士があなたに陳述書を作成してもらい(もちろん弁護士が全面的に手助けいたします。)うなどした上、警察署に同行することもあります。

また、弁護士が警察に捜査を促したり、捜査状況等を聞き出すこともあります。
警察が事実上捜査をしているが、残念ながら立件困難である場合には、(犯人が特定されていなければその特定を試みた上、)示談交渉により接触禁止や金銭的解決を得られるように活動することもあります。

2.事件が立件されてから裁判が行われる前に弁護士ができること

引き続き、暴行・傷害被害に遭われた方が、警察・検察へどのように対応するのが良いかアドバイスをします。また、弁護士が警察・検察に対して捜査を促したり、捜査状況等を聞き出すこともあります。検察は法律の専門家であり、事件の起訴・不起訴の処分を決める権限を持ちますから、弁護士から検察に対して事件の処分の見通しを聞くこともあります。
犯人あるいは犯人側の弁護人から示談の申し入れがあった場合には、被害者のご意向を逐一確認しつつ示談交渉を進め、あるいは拒否します。

ここで、示談交渉の際に、被害者が弁護士をつけるメリットを2点ご説明します。
1点目は、交渉能力の対等性です。仮に、法律の専門家でない被害者本人が、犯人側の弁護人と直接示談交渉をすると、専門家でないがゆえに、身体的・精神的被害の程度や傷ついたお気持ちにそぐわない条件で示談が成立してしまうおそれがあります。この点、被害者側も弁護士に依頼し、対等に示談交渉を進めることで、このようなおそれを回避し、ご意向を示談に反映することが可能となります。

もちろん、示談交渉着手前、あるいは示談交渉の節目節目で、当該事案の処分の見通しや、示談条件の妥当性、その時々で示談することのメリット・デメリット等をきちんと説明します。特に、検察が事件について不起訴処分(証拠が不十分、事案が軽微など)を考えている場合や、略式手続(正式な刑事裁判が開かれず、裁判を書面審理のみで終わらせる簡略な手続き)を考えている場合には、不起訴処分又は略式手続の後に自分から民事裁判を提起せざるを得なくなる可能性が高く、検察が処分を決定する前に示談をすることのメリットが大きいので、弁護士が事案やタイミングを見極めて示談交渉をする必要があります。

2点目は、精神的負担の軽減です。被害者本人が、犯人または犯人側の弁護士と直接連絡を取って示談交渉をするのは、大きな精神的負担となります。この点、弁護士が被害者の代わりに交渉に当たれば、あなたに傷害を負わせた怖い相手と直接会ったり交渉したりすることなく日常生活を送ることができます。

3.裁判中に弁護士ができること

犯人の暴行の態様、被害者の負った傷害の程度、前科の有無等によっては、犯人を罰するための手続として、略式手続で終わってしまうことがあります。しかし、そうでなければ正式な裁判手続が行われることもあります。

正式な裁判手続が行われる場合には、裁判中にも、犯人側の弁護士と示談交渉を継続する場合があります。弁護士が示談交渉の窓口となるメリットは、上記2でご説明したとおりです。特に、被害者に対して、判決前に示談を成立させることのメリット・デメリットと、判決後に民事上の損害賠償訴訟等を利用する場合のメリット・デメリットを事案に応じてわかりやすく説明し、示談に応じるか・応じないかの判断材料を提供します。

4.裁判後に弁護士ができること

暴行・傷害事件は、法律上、損害賠償命令制度(裁判で犯人の有罪の言い渡しをした後で、刑事事件を担当した裁判官が、引き続き損害賠償請求についての審理も行い、犯人に損害の賠償を命ずることができる制度。有罪とされた刑事裁判の記録をもとに審理が行われるので、被害者が自ら証拠を収集・提出等しなければならないという立証の負担が軽減され、より迅速な解決が期待でき、犯罪被害者の被害回復を図ることができる。)の対象事件ではありませんので、裁判が終わるまでに示談をしなかった場合犯人に損害賠償を請求するためには、民事上の調停か、損害賠償請求訴訟を起こすことになります。

損害賠償請求訴訟等では、傷害の治療のためにかかった入通院費、そのための交通費等の実費だけでなく、被害に遭ったことで一定期間仕事に行けなかった場合の休業損害、さらには被害を受けたことで被った精神的損害に対する慰謝料等を犯人に対して請求していくことになります、

初期の段階から事件に携わり、事件の全体像を把握している弁護士に民事訴訟等を依頼することで、より効果的な主張・立証を行うことができます。また、被害者本人が訴訟を起こした場合には、本人自身が民事訴訟等の期日に裁判所に行かなければなりませんが、弁護士に民事訴訟等を依頼した場合には、本人尋問が行われる場合以外には裁判所に行く義務がないので、日常生活を送るうえでの支障が少なく済みます。

暴行・傷害被害でお悩みの方へ弁護士からメッセージ

暴行・傷害被害に遭ったことに対する肉体的苦痛・精神的苦痛をすぐに取り除くことはできないかもしれません。ですが、その苦しみを少しでも和らげるための手助けを、私たち弁護士にさせてくれませんか。被害による損害が回復されるよう、一緒に戦ってみませんか。あなたからのご相談を、私たち弁護士はいつでもお待ちしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、暴行罪と傷害罪とはどのような場合に成立するのか、暴行罪と傷害罪の違いとは何か、暴行罪・傷害罪の犯人はどのような刑罰を受けるのか、暴行・傷害被害に遭われた方に対して弁護士ができることを説明してきました。私たち弁護士が、暴行・傷害被害に遭われた方のためにできることはたくさんあります。暴行・傷害被害を受けて苦しんでいる方は、いつでも私たち弁護士にご相談ください。

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経験豊富な弁護士がスピード対応

刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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