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最新判例平成28年8月1日

事案

米軍人が沖縄県で強制性交等(旧 強姦)致死・殺人・死体遺棄を起こし、那覇地方裁判所に起訴された事案において、裁判員裁判を行う際に裁判員を沖縄県人から選ぶとすると、被告人の自白内容やそれを補強する証拠の存在を知り、被告人に対して有罪との心証を抱いており、かつ、厳罰に処すべきとの予断を有する者も居る中から裁判員を選ばなければないことになる。
そうだとすれば、「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」(刑訴法17条1項2号)に該当するとして、管轄を東京地裁に移転させるという請求に対して、その請求を棄却した事案。

判旨(最判 平成28年8月1日)

裁判員裁判対象事件を取り扱う裁判体は、公平性、中立性を確保できるよう配慮された手続の下に選任された裁判員と、身分保障の下、独立して職権を行使することが保障された裁判官とによって構成され、裁判員は、法令に従い公平誠実にその職務を行う義務を負っている上、裁判長がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならないとされていることなども考慮すると、公平な裁判所における法と証拠に基づく適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されているといえる。
このような裁判員裁判の仕組みの下においては、那覇地方裁判所において公平な裁判が行われることが期待し難い事情とはいえないから、…刑訴法17条1項2号…に当たらない。

コメント

本件は、沖縄県に米軍基地があることにより不利益を受けている県民が少なからずいることや、米軍人が引き起こした事件に対して厳しい処罰感情を抱く人がいる等の沖縄県の現状に鑑み、管轄移転の請求をしたものです。
補足意見でも、この点に触れてはいますが、裁判員裁判の公平性の担保を述べて、法廷意見に賛成しています。

裁判員は検察官弁護人双方から犯罪事実の認定や量刑に関する証拠など被告人にとって有利不利の両側面からの主張を聞き、判断します。
また、上述のように裁判員は公平誠実に職務を行う義務を法令上負っており、裁判長は裁判員が職責を十分に果たすことができるように配慮すべきとされている上、公判廷に出される証拠等は報道されるそれよりも具体性を帯びているものといえるため、報道や風評等に流されることなく、判断できます。
このような制度の下では、被告人に対して個人的な体験等により強い憎悪感や好感情を抱くような特別な場合を除き、裁判員による公平な判断は妨げられないでしょう。

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