風俗店の個室で性的サービスを受けている際に盗撮してしまい,10万円払うように言われています。支払うべきでしょうか。
風俗店の個室で盗撮をした場合,迷惑防止条例に抵触するかが問題になります。
かつては,盗撮行為の禁止される場所は,不特定多数の人が出入りする「公共の場所」に限られていました。しかし,近年,スマートフォンの小型化等に伴い,上記の「公共の場所」にとどまらず,住居や学校の教室,会社内等の平穏を害するような新たな迷惑行為の事例が相次いだことから,2019年頃より処罰範囲を拡大する条例改正が各地でなされ,「住居」における盗撮も罰則の対象となりました(一部県を除く)。
例えば東京都の場合,「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」において,「人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」は迷惑防止条例違反となりますので,風俗店の個室での盗撮も条例違反となり得ます。
そのため,被害者が被害届を出せば,刑事事件として立件され得ますので,それを回避するには示談を検討するのがよいと考えられます。
ただし,盗撮が発覚した場合に風俗店が犯人に対してどのような対応をしてくるかは店によって異なります。店として請求しているのか,被害者の代わりに請求しているのか,店長個人として請求しているのかといった当事者の問題や,示談金額ほか示談の条件がどうなっているのかといった問題があり,場合によっては,お金を払っても,刑事手続上は全く意味がなく,お金を払ったのに立件され,前科がついてしまうこともあります。まずは,請求に応じる前に,弁護士に相談すべきです。