略式手続とは|略式起訴・略式命令,罰金や手続きの流れを徹底解説します|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

略式手続とは|略式起訴・略式命令,罰金や手続きの流れを徹底解説します

刑事弁護コラム 略式手続とは|略式起訴・略式命令,罰金や手続きの流れを徹底解説します

略式手続とは|略式起訴・略式命令,罰金や手続きの流れを徹底解説します

略式手続とは|略式起訴・略式命令,罰金や手続きの流れを徹底解説します 一口に「刑事裁判」というと,法廷の真ん中に立った被告人と,その両脇の弁護士と検察官,彼らを見下ろすように座る裁判官,という4人の登場人物がイメージされます。
 ドラマや映画でお馴染みのように,検察官が被告人の犯罪を追及し,それに対して被告人と弁護人が釈明や反論を行い,最終的に裁判官が両者の主張の合理性を吟味して結論を下す,というのが刑事裁判のあらましです。このように検察官サイドと被告人・弁護人サイドが互いに対等な立場で主張をぶつけ合うのが正式な刑事裁判のかたちです(専門的には「当事者主義」といいます)。上に挙げた登場人物以外にも,事件の「目撃者」として法廷に呼ばれる証人や,裁判の行方を見守る傍聴人も正式な刑事裁判ならではのキャストと言えるでしょう。
 もっとも,日本で起きているすべての刑事事件が正式なかたちの裁判によって裁かれているわけではありません。むしろ,ドラマや映画のなかで繰り広げられる刑事裁判の光景は少数派であり,刑事事件全体の半分を遥かに下回ります。大半の事件は,不起訴処分となったら不起訴とならなかったとしても「略式手続」という正式な裁判とは異なる形式の裁判によって処分されているのです。
 以下,「略式手続」について,メリット・デメリットを踏まえながらご説明していきます。

略式手続とは

略式手続とは|略式起訴・略式命令,罰金や手続きの流れを徹底解説します 略式手続は,文字どおり「簡略なかたち」の手続であり,おおざっぱな言い方をすると「裁判を書面だけで済ませてしまう手続」です。
 冒頭でも述べましたが,「正式な刑事裁判」は,法廷という舞台にたくさんの登場人物が出演します。
 ところが,これだけのキャストを抱えることは,裁判所にとって多大な手間が生じることを意味します。実際のところ,日本で発生する全ての刑事事件を正式なかたちとコストで処分しようしたら,裁判所は人手も時間も場所も不足してパンクしてしまいます。
 こうした裁判所の事情からつくられた制度が,「略式手続」です。法廷という公開の舞台を設けず(専門的に言えば「公判を開かず」),非公開の書類審査だけで処分を決定します。
 さきほど「傍聴人」というキャストが出てきましたが,略式手続は非公開なので傍聴することはできません(そもそも観るべき舞台が設けられません)。なお,元々すべての国民には「公開の裁判を受ける権利」が憲法で保障されているわけですが,ここではその権利が放棄されていることになります。
 月並みな例えをすれば,就職試験において,面接試験が設けられずに「ペーパーテストだけ」で結果が決まるイメージでしょうか。それが評価・判断をする側にとってもっとも手っ取り早い方法であることはお分かりになると思います。
 これは転じて,結果は問わずともかく早い試験終了を望む受験者にとってもメリットになるのです。
 しかし,どんな刑事事件も見境なく書類審査だけで簡便に処分されてしまってはもちろん大変なことになりますので,「略式手続」を行うことができる刑事事件は法律で決められています。
 くだいた言い方をすると,軽めの法律違反だけがその対象になるのです。具体的には,課される処分が「100万円以下の罰金」となる法律違反(簡易裁判所が処分をするような事件)において,略式手続が選択され得ることがあるのです。実例を挙げれば自動車運転中のスピード違反や,小競り合い程度の暴行・傷害致傷事件等になるでしょう。
 さて,いくら上記のような軽微な犯罪であっても,すぐに略式手続が採用されるわけではありません。略式手続が開始されるには次のような条件が設けられています。
 すなわち,「法律違反をした本人(『被疑者』と呼ばれます)が,略式手続が行われることに同意していること」です。つまり,憲法で保障されている公開裁判を受ける権利を公開裁判を受ける権利を放棄することが必要なのです。
 摘発された法律違反が「略式手続」の対象である場合,その取調べを担当する検察官は被疑者に対してそのことを知らせ,略式手続開始に同意するかどうか確認を行います。そこで被疑者が同意をすれば,略式手続が開始されることになります。
 ここで注意しなければならないのが,「略式手続開始の同意」には,被疑者が自ら有罪を認めていること,つまり検察官によって今回追及されている法律違反は全て真実で争いようがないと,いわば観念している状態が前提になっているという点です。
 もし,被疑者の方で「今回検察官に追及されている件は事実無根で,自分は無罪だ」,あるいは「たしかに法律違反はしたが,検察官の指摘はかなりオーバーで事実と異なっている」といったような認識を抱いているのなら,略式手続の開始には同意してはいけない,ということになるのです。

略式起訴とは

略式手続とは|略式起訴・略式命令,罰金や手続きの流れを徹底解説します まず「起訴」とは,一般的にはある事件を捜査した検察官がその事件について刑事裁判を開くことを裁判所に求める行為です。つまりこの行為によって,冒頭に述べた法廷というステージが裁判所に設けられ,キャストたちも各々の役割を果たしていくことになります。
 なお,正式なかたちの刑事裁判は終了するまでにだいたい数か月以上を要し,ケースによっては被告人はその間ずっと身柄を拘束されることになります。
 一方,「略式起訴」とは上述した「略式手続」の請求,つまりペーパーテストだけの実施を裁判所に求めることを指します。この際,検察官は略式手続の請求と同時に,対象となっている事件(有罪)の証拠一式も裁判所へ送り込みます。
 正式な刑事判であれば,事件の証拠は起訴後しばらく経ってから開かれる法廷(公判)において改めて時間をかけて吟味されることになるのですが,「略式」の場合は手続の開始後すぐに証拠が評価され,2週間以内には結論(処分の内容)が決定されます。

略式命令とは

 「判決」という言葉は裁判における結論としてあまりに有名ですが,略式手続においてこの言葉は登場しません。略式手続の結論は「略式命令」という言葉によって表されます。
 略式手続の開始に同意した被疑者は,検察官がその手続開始を裁判所に求めてからおおよそ2週間以内に,「略式命令」というタイトルの書面(略式命令書)を裁判所から交付(郵送か手渡し)されます。
 略式命令書には,命令の内容(罰金の金額)と命令の原因となった法律違反の内容が記載されており,命令を受けた人(被疑者)はそれに従って処分を受ける(指定の罰金を納める)ことになります。
 このとき,一度は「略式手続」の開始に同意したものの,「やっぱりこの命令には従えない」などと不服が生じた場合には,2週間以内であれば「正式裁判」を改めて開くことを求めることができます。

コラム「待命式略式命令手続」

 ご説明したとおり,公判を受ける権利の放棄と引き換えに行われる略式手続は社会生活上の負担を抑えることができますが,その略式手続のなかでも,もっとも迅速な形式は「待命略式」あるいは「在庁略式」と呼ばれます。
 通常,罰金の金額等が書いてある「略式命令書」は,ある程度時間をかけて郵便で被疑者(問題を起こした本人)に送られますが,この「待命式略式~」ないし「在庁略式」は本人を裁判所へ出頭させて,命令書を「手渡し」で交付します(本人が逮捕されている場合もこの方式が取られることがあります)。
 命令書を受け取った本人がそのまま当日中に検察庁で支払い手続を済ませれば,1日ですべての手続を終えることもできます。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。
 以上のように負担なく速やかに手続きを終えることができ,社会生活への影響を回避できるのが「略式手続」ですが,その「簡易・迅速性」というメリットは,さきほども述べたとおり,公開裁判を受ける権利を放棄して初めて得られるものです。
 そもそも犯罪に心当たりがない,誤解を受けている,前科を付けたくない,という場合には,正式裁判の請求を視野に刑事事件に精通した弁護士に相談してみるべきでしょう。


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