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刑事判例紹介(19)

事案

賭博罪の嫌疑(事実①)にてA警察署に逮捕・勾留され、常習賭博等の罪で起訴された後に保釈された被告人について、A警察署による逮捕以前に行われた別個の常習賭博罪の嫌疑(事実②)が発覚したため、被告人は、事実②についてB警察署に逮捕され、勾留決定を受けた。これに対して、被告人の弁護人は勾留の取消しを求めた。

判旨(仙台地裁昭49年決定)

(事実②についての)本件逮捕勾留は、同時処理の可能性のある常習一罪の一部についての逮捕勾留であるから、一罪一勾留の原則を適用すべきである。…本件は常習賭博中の一部の事件である関係上、…再逮捕再勾留の適否が問題となる。刑訴法199条3項、刑訴規則142条1項8号は、…不当な逮捕のむし返しを防ぐという司法抑制の実効性を確保するための措置であり…裁判官の判断を誤らせる虞れを生じさせるものであるから、右記載を欠く逮捕状請求にもとづく逮捕状は違法無効であり、逮捕の前置を欠くことになるのでその勾留も違法とすべきである。

コメント

逮捕・勾留の基礎とされた事実と同一の事実については一個の逮捕・勾留しか許されず(一罪一逮捕・一勾留の原則)、同一の事実についての再度の逮捕・勾留は厳格な要件の下でのみ認められるとされています。本決定は、実体法上一罪の観点及び同時処理の可能性の観点から同原則が及ぶとした上で、被告人が保釈後も任意の取調べに応じていることより再逮捕の必要性に乏しい点と、逮捕状請求の方式に重大な違法の存する点を理由に、再逮捕・再勾留はいずれも違法であるとして、事実②の勾留決定を取り消しており、捜査機関に対して十分かつ適正な捜査・手続を行うことを要求しています。

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