事案
犯行現場の防犯カメラに映っていた犯人と被告人が同一人物であるかどうかを確認するために、公道を歩いている被告人をビデオカメラで撮影した他、パチンコ店にいる被告人を小型カメラで撮影した。被告人は当該撮影方法について、十分な嫌疑もないなかで行われたものであり不当にプライバシーを侵害するものであるとして上告した。
判旨(最高裁平成20年判決)
「被告人が犯人である疑いを持つ合理的理由が存在していたものと認められ、…犯人の特定のための重要な判断に必要な証拠資料を入手するため、これに必要な限度において、…被告人の容ぼう等を撮影したものであり、いずれも、通常、人が他人から容ぼう等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所におけるものである。以上からすれば、これらのビデオ撮影は、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われたものといえ、捜査活動として適法なものというべきである。」
コメント
「みだりに撮影されない自由」を侵害するような撮影については、令状がなくても許容されており、任意捜査として認められるものと解されています。そして、任意捜査として、捜査の必要性が認められ、その範囲において相当性が認められる限度において、適法性が認められます。本件は、現行犯を撮影している場合とは異なりますが、犯人と被告人が同一人物であるか否かを確認するために、本件のような撮影態様について相当性が認められると判断されました。