事案
被告人が、勤務する高等学校の校内で同校の生徒である被害児童(当時16歳)との性的接触を開始し、共にホテルに入って性交に及んだという、児童福祉法違反が問われた事案。
判旨(最判 平成28年6月21日)
「児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」「させる行為」(中略)、に当たるか否かは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である。(中略)(上述した)事実関係の下では、被告人は、単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず、同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められる」。
コメント
「淫行をさせる行為」とは、「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」とされています(最判昭和40年4月30日)。本判決は、「淫行をさせる」ことの考慮事情を具体的に挙げたうえで、被告人が被害児童の通う高等学校の常勤講師であること、被害児童が当時16歳であったこと、同高等学校内から性的接触を開始してほどなくホテルに入室したことといった事情から、「淫行をさせた」ということができると判断しました。
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