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最新判例平成28年8月25日

事案

傷害致死罪の裁判員裁判において、2週間のうちに7回の公判期日が行われた。弁護人は、公判調書が最終陳述までに作成整理されていないこと、及び、公判調書の整理期間を判決宣告日まで許容する刑事訴訟法48条3項が憲法31条に反すると主張したため、刑訴法48条3項と憲法31条の関係性が問題となった事案。

判旨(最判 平成28年8月25日)

公判調書は、…公判期日後、速やかにこれを整理することが求められている。しかし、正確な公判調書を作成し整理するに当たってはある程度の日時を要することは避けられないところ、そのために集中審理の実現が妨げられるということは刑訴法の想定するものではない。…公判調書を作成する本来の目的は、公判期日における審判に関する重要な事項を明らかにし、その訴訟手続が法定の方式に従い適式に行われたかどうかを公証することによって、訴訟手続の公正を担保することや、上訴審に原判決の当否を審査するための資料を提供することなどにあると解される。
そうすると、上記の公判調書を作成する本来の目的等を踏まえ、公判調書を整理すべき期間を具体的にどのように定めるかは、憲法31条の刑事裁判における適正手続の保障と直接には関係のない事項である。

コメント

刑訴法48条3項は、公判調書の重要性及び作成整理に時間を要することを考慮した上で、公判調書の整理期間を規定しています。
本決定は、裁判員裁判の導入を機に、書面主義の慣行を改め、本来の刑訴法が予定する口頭主義、直接主義に基づく集中審理を行うことを後押ししている点、公判調書の作成の目的につき、説示した点、及び、憲法31条に関係のない事項である旨を判示した点において、裁判実務に与える影響が大きいといえます。

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