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贈収賄の定義・量刑を弁護士が解説

2022年7月、法律上公務員とみなされている東京五輪・パラリンピック大会組織委員会元理事の関連会社が、大会スポンサーから多額の資金提供を受けたとして、東京地検特捜部の捜査の対象となっていると報道されました。同特捜部は、贈収賄罪を視野に捜査をしているものとみられます。

以下では、贈収賄罪の内容、法定刑、贈収賄罪における弁護活動等について弁護士・中村勉が解説いたします。

贈収賄とは

贈収賄とは、収賄罪と贈賄罪を併せた呼称です。
収賄罪には、後述するように「単純収賄罪(刑法第197条1項本文)」「受託収賄罪(同項後段)」「事前収賄罪(同条2項)」「加重収賄罪(同法第197条の3)」などがありますが、共通して言えるのは、公務員が職務に関し他人から賄賂を収受・要求・約束(以下、「収受等」といいます。)した行為だということです。賄賂には、金銭のみならず、物品、サービス等も含まれます。

受託収賄罪、単純収賄罪

上記のうち、受託収賄罪(同法第197条1項後段)とは、公務員が他人から一定の職務を行うことの請託を受けて賄賂を収受等するなどの行為です。例えば、警察官が、飲食店等の経営者から、風営法違反の摘発をしないとの請託を受けて、当該飲食店における接待を受けた場合などが考えられます。
こうした場合、公務員が実際に請託に従った職務を行わなかったとしても、受託収賄罪が成立します。また、左様な請託を受けずとも、公務員が賄賂を収受等すれば、単純収賄罪(同法1項前段)が成立します。

事前収賄罪

また、賄賂収受等の当時公務員ではなくても、公務員となることが内定している者など「公務員となろうとする者」が、公務員として採用される前に賄賂を受け取り、その者が公務員となった場合、事前収賄罪(同法第197条2項)が成立します。

加重収賄罪

そして、これらの収賄の罪を犯した者が、不正行為に及び、又は本来行うべき職務を行わなかった場合などには、加重収賄罪(同法第197条の3)が成立します。

そのほか、第三者供賄(同法第197条の2)、事後収賄(同法第197条の3第3項)及びあっせん収賄(同法第197条の4)の規定が存在します。
一方、贈賄罪とは、これら収賄罪に規定する賄賂を供与・申込・約束をした場合に成立し(同法第198条)、通常、収賄者とセットで摘発されます。

贈収賄の法定刑

以下のとおり、単純収賄罪、事前収賄罪、第三者供賄、事後収賄罪及びあっせん収賄罪の法定刑は5年以下の懲役、受託収賄罪は7年以下の懲役、加重収賄罪は1年以上(20年以下)の有期懲役です。

刑法第197条
1 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
2 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、5年以下の懲役に処する。

同法第197条の3
1 公務員が前2条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、1年以上の有期懲役に処する。
2 公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
3 公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。

同法第198条
第197条から第197条の4までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。

贈収賄事件の弁護活動

贈収賄事件は、密行犯罪であって、目撃者がいるのは稀です。人の見ている前で賄賂を受け取る人はあまりいないでしょう。
また、たとえば賄賂となるべき金員の流れは客観的に立証できるとしても、その金員収受の趣旨が客観的に立証できるとは限りません。そこで、贈収賄の捜査は、いきおい、贈収賄者の自白、あるいは、関係者の供述中心の捜査とならざるを得ません。

そうした自白・参考人供述中心の捜査には弱点が常に内在しています。捜査官の先入観や思い違い、専門的知識・感覚の不足等に基づく事件と証拠の「筋読み」のミスにより、誤った自白・参考人供述を獲得してしまうことがあり得るということです。

中村国際刑事法律事務所の検事出身弁護士は、多くの贈収賄事件を扱い、「筋読み」の訓練を受け、地方検察庁の特別捜査部(特捜部)・特別刑事部(特刑部)、警視庁・都道府県警の捜査二課の考え方や発想も理解しています。依頼者のみが真実を知っています。その真実を捜査機関の「筋読み」のミスに焦点を当てて解明していくことができるのが、中村国際刑事法律事務所の弁護士です。

贈収賄事件で逮捕されたら

贈収賄事件で逮捕された場合の手続を説明します。
まず、警察官が被疑者を逮捕した場合、身柄拘束から48時間以内に、身柄を釈放しない限り、検察官に送致します(刑事訴訟法第203条)。検察官は、身柄を留置する必要があると判断した場合、身柄を受け取ったときから24時間以内(身柄拘束から72時間以内)に、釈放又は公訴提起をしない限り、裁判官に勾留請求をします(同法第205条)。

一方、検察官が警察官を介さず直接被疑者を逮捕(いわゆる「検事逮捕」)することもありますが、その場合、検察官は、身柄拘束から48時間以内に、釈放又は公訴提起をしない限り、裁判官に勾留請求をします(同法204条)。
裁判官が勾留を相当と判断すると、まずは10日間の身柄拘束が認められ、さらに、やむを得ない事情があれば、最長10日間にわたる勾留延長がなされることになります(同法第207条、第60条、第208条)。

逮捕から勾留まで最長23日間も身体拘束を受けることになれば、それだけで信用を失い、会社をクビになるなど、その後の人生に多大な影響が及びます。
このように、ひとたび勾留決定がなされてしまうと、身柄拘束が長期化しかねません。したがって、逮捕から勾留決定がなされるまでに捜査機関に課された厳格な時間制限の中で、勾留決定を阻止し釈放を目指すことが、弁護活動の一つの大きなポイントであり、この短い時間の中で迅速かつ的確な弁護活動を行う必要があります。

贈収賄事件でお悩みの方はいち早く弁護士に相談を

贈収賄を疑われている方、その参考人として事情を聞かれている方など贈収賄事件でお悩みの方、対応が遅れ、又は対応を誤ると、最悪の結果を招きかねません。少しでも早く、上記のような経験に裏付けられた専門的知識を持つ弁護士にご相談ください。

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当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
  • 会社を解雇されるのだろうか
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  • 不起訴にはならないのだろうか
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上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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