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談合で逮捕されたら – 罰則や弁護活動を刑事事件に強い弁護士が解説

ニュースで時折耳にする「談合事件」は、端的に言えば官庁、企業間での取引(いわゆる入札)における不正行為のことです。官庁あるいは企業で入札に携わる方にとって特に関心が高いであろうこの種事案につき、弁護士が規制(処罰規定)や弁護活動を解説します。

本コラムは弁護士・中村勉が執筆いたしました。

談合とは

「談合」の文字どおりの意味は「相談する、話し合う」というものですが、普段私たちがニュース等で耳にする「談合」は、以下に説明する犯罪行為のニュアンスで用いられます。

ところで、官庁(国又は公共団体)が道路、水道施設等の公共工事その他の公共事業を行うに当たっては、いわゆる競争入札という手続によって同事業を発注する企業(事業者)を決定します
この競争入札という制度は、入札に応募した、通常は複数の事業者(応札者)の中から、基本的には最も有利な条件を示して(入札した)事業者と契約することによって、不当に高額であるなど不利な契約を回避し、限られた(公的資金)の無駄遣いや不正な支出をなくすことを目的としています。

この制度の趣旨を台無しにしてしまう行為が、いわゆる「談合」です
公共事業の競争入札において、もし入札を予定している複数の事業者が互いに示し合わせ、特定の事業者が指名されるように連携し、それぞれの入札額を事前に調整したらどうなるでしょうか。

入札予定の各社は、他社の入札価格が分からない中で、自由競争原理に基づき経費・利益を絞るなど互いに鎬を削り、発注者に対して競合他社より有利な条件(基本的には、同一の品質における最も安い値段)を提示する努力をし、その結果、最も有利な条件を提示して入札した事業者が晴れて落札できるというのが本来あるべき競争入札の姿なのですが、談合をする事業者がいると、入札する全部の事業者が談合をすれば上記のような企業努力は行われず、発注者にとってより不利な条件(高い値段)で契約をせざるを得ない状況に陥りかねません

また、必ずしも当該入札における落札価格が不当に高いとは言えなかったとしても、一部の事業者が談合をすれば、談合に加わらない真面目な事業者の努力が報われず、談合に参加した事業者の一つが落札する結果となり、その真面目な事業者が当該種類の公共事業から次第に排除されていき、結局、不公平・不公正で、自由競争を阻害する事態となるばかりか、その後の競争入札において、排除された事業者以外の事業者により、結局、発注者がより不利な条件(高い値段)で契約をさせられ、先ほどと同じ状況に陥るおそれもあります。

大抵の場合、談合した事業者同士、競争入札ごとに落札する業者を決め、そのローテーションを組んでいますから、当該競争入札で落札出来なくても、ローテーションが回ってくれば確実に落札出来ますし、上記のとおり談合に加わらない事業者は、次第に排除されていきかねませんから、発注者がせっかく適正な契約を締結するために競争入札を実施しても、その制度の趣旨が活かされず、不正行為と公的資金の無駄遣いが続くことになります。これが談合です。

そして、このような場合に、発注者(入札の主催者)である国又は公共団体に所属している人(例えば入札を担当する公務員)が、入札を予定している事業者に対し、「これくらいの金額での落札を予定している」などと、当該公共事業に関する機密情報を漏洩するようなことも生じ得ます。(情報を漏洩する者には、接待、賄賂などの見返りが提供されることもあります)。

漏洩先事業者は、この情報を談合に利用し、自社あるいは落札予定事業者に落札予定価格ギリギリの絶妙な条件を提示させ、同社側に都合良い形で契約を得るなど、不公平・不公正で、自由競争を阻害する事態となります。
このような行為は、機密情報を握る国又は公共団体の構成員が関与することで漏洩先はより確実な機密情報を事前に知ることができ、不公平・不公正で、自由競争を阻害すること著しく、結局、深刻な公的資金の無駄遣いに通じる点で悪質であり、「発注する側の公務員が関与する談合」として、一般に「官製談合」と呼ばれます。

談合で該当する罪と罰則

公契約関係競売等妨害罪(刑法第96条の6)
偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。

偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、「公契約関係競売等妨害罪」(刑法第96条の6第1項)によって処罰されます。
「公正」とは、競売・入札における自由競争を確保するため、その手続の公正を図ることです。
そして、「偽計」とは、人の判断を誤らせる術策を用いることであり、競争入札における予定価格を漏洩することは偽計に当たるとされています。また、「威力」とは、人の意思の自由を制圧する勢力のことであり、例えば、入札場所において特定の参加者に何らかの圧力を加えてこれを閉め出すなどの行為がこれに当たります。

以下のとおり、談合罪は、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で」、「談合」行為をしないと成立しませんが、公契約関係競売等妨害罪は、その目的にかかわらず、あるいは談合行為がなくても、この条文による処罰の対象となります。

いわゆる刑法の談合罪(刑法第96条の6第2項)

この罪の成立には、まず、公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的を有することが必要です。
「公正な価格」とは、競売・入札において談合が行われず、公正な自由競争によって形成されたであろう競落価格又は落札価格をいいます。
「公正な価格を害」する目的とは、公正な価格を殊更に引き下げ(競売)、又は引き上げる(入札)意図をいい、「不正の利益を得る」とは、当該契約上の不当な利益、又は落札業者から儀礼の範囲を超える談合金等の利益を得ることをいいます。

次に、「談合」をしたことが必要です。「談合」とは、競売・入札の競争に加わる者が通謀して、特定の者を競落者、落札者とするために、他の者は一定の価格以下又は以上に入札又は付け値をしないことについての協定をいいます。

この罪は上記の目的をもって談合をしたときに成立するので、現実に公正な価格が害され、又は不正な利益を得なくとも、あるいは、競売者・入札者が談合の内容どおりに行動しなくても成立します。

独占禁止法における罰則

独占禁止法は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止することによって公正かつ自由な競争を促進し、消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的としています。独占禁止法においては、事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない(3条)とされ、該当する者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されます(89条1項1号)。また、入札談合を実際に行った者のほか、事業者および事業団体に対しても5億円以下の罰金が科されます(独占禁止法第95条1項1号)。

独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)
第3条(私的独占又は不当な取引制限の禁止)
事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。
第2条6項(不当な取引制限)
この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
第89条(私的独占、不当な取引制限による競争の実質的制限の罪)
次の各号のいずれかに該当するものは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。
一 第3条の規定に違反して私的独占又は不当な取引制限をした者
第95条1項(両罰規定)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務又は又は財産に関して、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、当該各号に定める罰金刑を科す。
一 第89条 5億円以下の罰金刑

ここでいう「不当な取引制限」とは、①事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、②他の事業者と③共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限するなど、④相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、⑤公共の利益に反して、⑥一定の取引分野における⑦競争を実質的に制限することをいいます(同法第2条6項)。

以下で①~⑦の要件について詳しく説明します。

①事業者、②他の事業者

この法律における「事業者」とは、「商業、工業、金融業その他の事業を行う者」(同法2条1項)、例えば、小売業者、製造業者、保険会社等はこれに当たります。また、「その他の事業を行う者」の「事業」は、何らかの経済的利益の供給に対応し、反対給付を反復継続して受ける活動を指し、それを行う者は事業者に該当することになります。つまり、商業、工業、保険会社以外でも幅広い職業が該当します。

「他の事業者」とは実質的に競争関係が認められる事業者をいいます。官公庁や地方自治体では主に一般競争入札が入札方法として採用されていますが、指名競争入札(官公庁や自治体があらかじめ選んだ業者だけで競争入札を行う方式)が行われることもあります。この場合、非指名業者は、当該指名競争入札による市場において競い合う関係にないため、形式的には競争関係には立ちません。しかし、指名業者を意のままに操ることで談合に関与しており、非指名事業者の意思が当該談合の実現に不可欠になっている場合には、当該非指名業者も実質的な競争関係に立っているといえます。

③共同して

「共同して」とは、意思の連絡があったことをいいます。入札談合における意思の連絡は、事業者同士で入札談合の方針を決める基本合意がこれにあたります。そして、基本合意を踏まえ、個別の入札案件でどの事業者が受注予定者となるかを調整する個別調整が行われます。

④相互にその事業活動を拘束し、又は遂行する

「相互にその事業活動を拘束し、又は遂行する」とは、事業者間で形成された合意に基づき、自己が当該合意に従った事業活動を行なえば、他の事業者も当該合意に従った事業活動を行うであろうという期待のもとに、各事業者が当該行為に従った事業活動を行うことをいいます。拘束の内容は同じである必要はなく、目的の共通性があればよいとされています。

⑤公共の利益に反して

「公共の利益に反して」とは、独占禁止法が直接の保護法益としている、「一般消費者の利益の確保とともに、国民経済の民主的で健全な発展を促進する」という目的(1条)に反することです。

ただし、最判昭和59年2月24日は、例外的にこの要件に該当しない場合があると解釈し、「独禁法2条6項の『公共の利益に反して』とは、原則としては同法の直接の保護法益である自由競争経済秩序に反することを指すが、現に行われた行為が形式的に右に該当する場合であつても、右法益と当該行為によつて守られる利益とを比較衡量して、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という同法の究極の目的(同法第1条参照)に実質的に反しないと認められる例外的な場合を右規定にいう『不当な取引制限』行為から除外する趣旨と解すべき」としています。

⑥一定の取引分野

「一定の取引分野」とは、競争が行われる市場のことを指します。入札談合においては、一定期間内に、商品、役務を官公庁が発注する入札市場です。

⑦競争を実質的に制限すること

「競争を実質的に制限すること」とは、市場支配力のことを指しています。入札談合は、事業者間で受注者、受注額を決めるなど、競争を制限することによって、入札市場で事業者が自由に落札者や価格をコントロールできる状態になります。したがって、競争を実質的に制限している状態ということになります。

官製談合

官製談合の場合、更に以下のような処罰規定があります。

入札談合等関与防止法(入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律)
第1条(趣旨)
この法律は、公正取引委員会による各省庁の長等に対する入札談合等関与行為を排除するために必要な改善措置の要求、入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償の請求、当該職員に係る懲戒事由の調査、関係行政機関の連携協力等入札談合等関与行為を排除し、及び防止するための措置について定めるとともに、職員による入札等の公正を害すべき行為についての罰則を定めるものとする。
第2条
5 この法律において「入札談合等関与行為」とは、国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(以下「職員」という。)が入札談合等に関与する行為であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること。
二 契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。
三 入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が入札談合等を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを、特定の者に対して教示し、又は示唆すること。
四 特定の入札談合等に関し、事業者、事業者団体その他の者の明示若しくは黙示の依頼を受け、又はこれらの者に自ら働きかけ、かつ、当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、又はその他の方法により、入札談合等を幇ほう助すること。
第8条(職員による入札等の妨害)
職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。

入札談合等関与防止法は、各省庁地方自治体の職員が入札談合に関与することを防止する目的で、平成18年12月に成立し、平成19年3月14日から施行された法律です。入札談合を指示したり、予定価格などの情報を漏洩して入札談合を容易にしたりして入札談合に関与した職員が対象となります。職員がこのような行動をとり、入札等の公正を害すことになった場合には、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処せられます。

収賄罪(刑法第197条~197条の4)・贈賄罪(刑法第198条)

公務員が競争入札等に関する情報を漏洩することを約束してその報酬を供与させ、又はその要求若しくは約束をした場合は、請託の有無、賄賂の供与先、その行為が不正なものか否か、他の公務員に対する斡旋行為によるものか否かなどにより、収賄罪(刑法第197条~第197条の4)の一つが成立することがあり、各条文に従って処罰されます。
贈賄側には、贈賄罪(刑法第198条)が成立します。

第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)
1.公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
2.公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、5年以下の懲役に処する。
刑法197条の2(第三者供賄罪)
公務員が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。
刑法197条の3(加重収賄罪・事後収賄罪)
1.公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、1年以上の有期懲役に処する。
2.公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
3.公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。
刑法197条の4(あっせん収賄罪)
公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。
第198条(贈賄罪)
第197条から第197条の4までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。

談合ケースファイル(過去の談合事件)

大手ゼネコン4社リニア談合事件

総工費約9兆円の大規模談合事件。
2014年4月から2015年8月にかけて、JR東海が発注していたリニア新幹線品川、名古屋両駅の建設工事の入札において、国内大手ゼネコン4社であるO組,T建設,K建設,S建設が事前に入札業者を決め、入札額を調整したとされる談合事件。O組,T建設,K建設,S建設は、JR東海から合わせて7割以上の工事を受注しており、その受注内容に統一性があるとして談合の疑いが向けられました。

2018年3月23日、公正取引委員会から刑事告発を受けた東京地検特捜部は、法人であるO組,T建設,K建設,S建設とT建設の元常務、K建設の専任部長を独占禁止法違反で起訴しました。その後の判決で、起訴内容を認めていたO組は罰金2億円、同じく認めていたS建設は罰金1億8千万円。起訴内容を否認していたT建設、K建設は、それぞれ罰金2億5千万円。T建設元常務、K建設専任部長にそれぞれ懲役1年6月、執行猶予3年の判決が下りました。
なお、O組、S建設の当時の幹部が起訴されず、また、罰金額がやや低い理由は、独占禁止法に規定される「課徴金減免制度」に基づいて談合を公正取引委員会に自主申告したこと。O組、S組は捜査に協力したと評価されたことが影響しています。

医薬品卸入札談合事件

医薬品卸業大手4社が入札談合を行ったとされる事件。
A社、T薬品、S社、M社は、2016年6月と2018年6月に競争入札される予定であった医薬品約8千品の入札について談合を行いました。2019年11月、公正取引委員会がA社、T薬品、S社、M社の4社を家宅捜査。2020年12月、談合を自主申告したM社を除く3社と起訴された3社の幹部であった人物7名が東京地検特捜部に刑事告発され、起訴されました。
判決は3社にそれぞれ罰金2億5千万円。3社元幹部は執行猶予付き有罪判決
課徴金はA社が1億7千万円、T薬品が約1億6千万円、S社が8千6百万円の処分が下りました。

府中市官製談合事件

2019年8月頃、府中市議の2名、M市議会議員とU市議会議員が、市内の公園整備、道路拡張工事の最低制限価格(最低落札額)を 府中市内の土木業者”社に漏洩したとされる事件。同年8月と9月に、ほぼ最低制限価格での落札が2件続いたことを不信に思った同市職員が内部調査を開始。

府中市環境整備部部長が両議員に最低制限額を漏洩し、両議員が土木業者2社に最低制限額を漏洩したことが発覚しました。同市から相談を受けた警視庁は、2020年6月、市議会議員2名、土木業者役員3名を公契約関係競売入札妨害の疑いで、元府中市環境整備部参事1名(元部長)を官製談合防止法違反の疑いで逮捕しました。

四国中央市官製談合事件

2020年6月、海岸保全施設改良工事の入札において、四国中央市農林水産課課長補佐が、土木会社に対して入札価格を漏洩したとされる事件。2021年、元課長補佐と土木会社元社長は逮捕起訴されました。同年7月に元課長補佐に懲役2年執行猶予4年、土木会社元社長に懲役1年6月執行猶予3年の判決が下りました。

談合等の事件で逮捕されたら

談合等の事件は、その罪質上、秘密裏に行われ、多人数が関与するわりに証拠が残りにくく、不正な利益収受の有無・その動き・金額等についてその客観的証拠があったとしても発見しづらく複雑な場合も多いので、調査・捜査機関としては、当該公共事業の規模・契約金額、社会的影響の大小等にもよりますが、慎重かつ広範な内偵調査・捜査により客観的な証拠関係を集められるだけ集めた後、関係者を幅広に逮捕するなどしてその供述を得、事案全体の真相を解明しようとするでしょう。

上記のような談合等事案の性質上、一旦逮捕されれば、身に覚えがあるとないとにかかわらず、逮捕だけでなく勾留・勾留延長もされ、その身柄拘束が長引く傾向にあります。しかしながら、当該談合等の事件に関与していないことが明らかな場合はもとより、関与している場合でも、上記のようなその事案自体の状況、当該業界における公共事業の入札・落札の状況、当該事案への関与の程度・内容・関与に至る事情、得た利益の有無・内容・額、調査・捜査への協力の有無・程度その他の状況に加え、身元引受人の有無、反省の程度その他逮捕者側の事情によっては、早期に釈放されることもなくはありません。

談合事件での弁護活動ポイント

談合等の事件においては、上記のとおり一旦逮捕されれば身柄の解放を勝ち取るには困難が伴いますが、それでも早期釈放を目指して、身に覚えのない場合には、そのことを示す事情を探し出す一方で、関与を示す証拠が希薄であることなどを明らかにする弁護活動をすべきでしょう。それは、嫌疑をかけられた事業者側に必要な弁護活動でもありましょう。

逆に身に覚えがある場合、嫌疑をかけられた事業者側としては、当該業界特有の事情、地域的事情、談合等に関与するに至った経緯・関与の程度、落札等の有無・落札率・利幅、調査・捜査への協力の状況、談合により形成された談合システム・合意の解消・再発防止策の策定状況等の事情の中から事業者側に有利なものとその証拠を探し出し、これを調査・捜査機関に対して明らかにしていくほか、独占禁止法違反の事案の場合、場面に応じて課徴金減免等制度の利用の可否を早期に検討すべきでしょう。

嫌疑をかけられた個人については、上記の事情に加え、所属する事業者内における立場、当該個人の事案への関与の状況・関与に至る事情、当該個人としての調査・捜査への協力の状況等のほか、身元引受人の有無その他早期釈放に結びつく当該個人の個別事情とその証拠を明らかにする弁護活動をすべきです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。談合等の事案は、専ら個人の犯罪というより、事業者ぐるみ、あるいは当該業界全体の問題であることが多いと思われます。事業者に雇用されている個人の立場としては、このような不正行為に関与しないことが事実上なかなか困難な事情もありましょうが、いつかは明るみに出るれっきとした犯罪として捉え、早期にこの種事案に精通した弁護士に相談し、対策を採る必要があります。

更新日: 公開日:
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