暴漢に絡まれた恐怖を客観証拠や証人尋問で明らかにし、執行猶予を獲得
事案概要
依頼者の方が友人と歩いていたところ、路上でいきなり友人に絡んできた見知らぬ相手に対し、1度だけ殴って抵抗したところ相手が転倒してしまい、相手の打ちどころが悪く亡くなってしまったという不幸な事案です。
弁護活動のポイント
逮捕後、依頼者の方や現場にいた友人から、相手方が突然絡んできたため、抵抗するために1度だけ殴ったという経緯が判明しました。
捜査段階では、検察官に対して、相手方の加害行為に対して身を守るために行った防衛行為であり、正当防衛や過剰防衛が成立すると主張していましたが、検察官は過剰防衛すらも成立しないと判断して起訴しました。
裁判では、防犯カメラ映像や、現場にいた友人らの証言から、依頼者の方が友人の身を守るためには1度だけ殴ることが必要な状況であったと主張する必要がありました。
傷害致死罪ということで裁判員裁判になりましたので、法理論だけでなく、一般市民の目から見て、同じ立場になった時に思わず反撃してしまう状況であることを裁判員に感覚的にも理解していただく必要がありました。
弁護活動の結果
専門業者に依頼して防犯カメラ映像を解析したところ、相手方が先に依頼者の友人を押していることや、友人の腕を掴んでいることが確認できました。
また、友人らの証人尋問の準備を入念に行い、相手方の暴行や脅迫が非常に恐怖を抱かせるものであったことを具体的に立証しようとしました。
法廷では、防犯カメラ画像を示すなどして証人尋問で相手方の暴行や脅迫を明らかにし、最終弁論では同じ立場に立った際に非常に強い恐怖を抱くであろうことを説得的に論じました。
その結果、相手方による違法な侵害が差し迫っていたことが認められ、過剰防衛が認定されて、執行猶予付きの判決を獲得しました。