特別背任罪とは|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

特別背任罪とは

刑事弁護コラム 特別背任罪とは

特別背任罪(会社法960条)とは

 取締役等,会社法960条1項各号に挙げられている,株式会社において一定の権限を有する者が自己若しくは第三者の利益のため,又は株式会社に損害を加えるために会社の任務に背く行為をし,会社に財産上の損害を加えた場合,特別背任罪が成立します。
 近年における典型的な背任事例は「不正融資」や「不良貸付」です。現場の融資責任者が,十分な担保も取らないまま,過剰に貸し付けたことが会社の任務に背くこととなります。
 ※会社法960条1項各号に挙げられていない者でも,挙げられている者の任務違背行為に加功すると,共犯として処罰されることがあります。融資の受け手が不正融資の前提となるスキームを提案し,担保物件の価値を大幅に水増しした不動産鑑定書を作らせるなどして,被害銀行の頭取に働きかけた事案では,背任罪の共同正犯が認められました(最決平成20年5月19日刑集62巻6号1623頁)。

法定刑

 取締役等による特別背任罪の法定刑は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」です。代表社債権者等についても特別背任罪が成立しますが,その法定刑は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金」です。
 ※法定刑…法律が定める刑罰の範囲。法定刑が定める範囲内で,個々の事件の個別の事情が考慮され,どのような刑罰が科されるか決まります。
 ※特別背任罪の法定刑は,1980年代後半から続いた会社不祥事を契機として,次第に加重されてきました(「会社法上の犯罪(2)-特別背任罪」佐久間修,ビジネス法務2011年3月号103頁)。

具体的な事例

(1)最決平成21年11月9日刑集63巻9号1117頁(拓銀特別背任事件)
 銀行の代表取締役頭取である被告人らが,実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し,合理的な再建・整理計画もないまま,実質無担保で追加融資したことが,特別背任罪における取締役としての任務違背にあたるとし,株式会社北海道拓殖銀行の代表取締役頭取を務めていた被告人AとBそれぞれが懲役2年6月とされた。

(2)最決平成17年10月7日刑集59巻8号1108頁(イトマン事件)
 中堅総合商社であったA社の代表取締役の地位にあった被告人が,共犯者らと共謀の上,ゴルフ場開発資金名目で,いずれも十分な担保を徴求することなく各融資を実行し,Aに損害を与えたことにつき,特別背任罪の成立を認め,懲役7年とした原判決を是認した。

(3)広島高裁平成16年9月21日
 親会社であるA社及びその子会社であるB社の代表取締役を兼務していた被告人が,B社に利益を得させる目的で,商品価値を失っていたB社の長期在庫品をA社に買い取らせ,同社に代金相当額の損害を生じさせたことにつき,特別背任罪の成立を認め,被告人を懲役2年6月,執行猶予4年とした。

 ※上記は裁判例の紹介であり,当事務所が扱った事例ではありません。

量刑を決める際に重視されている要素

  • 会社に対する任務違背行為を行った期間,回数等の行為態様
  • 会社に与えた損害額
  • 任務違背行為の計画性,巧妙さ
  • 動機(自己の利益を得るためかどうか)
  • 会社の社会的立場(銀行の役員等が任務違背行為をすると,社会的影響大きい)
  • 任務違背行為をした者が,今まで会社どのくらい貢献してきたか

などが挙げられます。


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