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横領事件に強い弁護士が解説

企業内で起こることの多い横領罪
横領罪とはどのような犯罪で、どのような捜査が進むのか、対策はどうすればよいかなど、代表弁護士・中村勉が解説いたします。
行為者側だけでなく、被害者側に参考としていただける記述もありますので、ご参考になれば幸いです。

横領罪は、私が検事時代にも多く扱いましたが、単純な事案なら別ですが、何回も反復累行する事案で、かつ、会社内の事案では立件のハードルは高く、確実な証拠がないと起訴に持ち込むのは難しいです。
しかし、一旦証拠が揃えば、反復ケースでは高額な被害額となるため、逮捕そして実刑は避けられません。

このような性質を有する横領事案は、示談交渉による解決が起訴の阻止に最も効果があります。そして、示談交渉は、被害会社の顧問弁護士が相手となるので、弁護士を付けずに太刀打ちできません。被害と称するものの中には身に覚えのない使途不明金が含まれてるのが普通だからです。横領の疑いをかけられたら、身に覚えがあるときもないときも、早急に弁護士にご相談ください。

横領罪とは

横領罪とは、自己の占有する他人の物を自分の物にすることです。

横領罪の類型

刑法においては、①(単純)横領(同法252条)、②業務上横領(同法253条)及び③占有離脱物(遺失物)横領の3罪が定められています。

業務上横領罪と窃盗罪(刑法235条)との関係

上記のとおり自分が占有している他人の物を勝手に自分の物にするのが横領罪ですが、窃盗罪は、他人が占有する財物を自分の物にすることです。したがって、ある行為に上記の両罪が成立することはありません。

業務上横領罪と詐欺罪(刑法246条)との関係

自分が占有している他人の物を勝手に自分の物にする際に人を欺く行為をしても、横領罪だけで問擬され、詐欺罪は成立しないとするのが判例です。

業務上横領罪と背任罪(刑法247条)との関係

どちらも本人(被害者)と行為者との信任関係に背くという財産犯ですが、判例上、横領罪が成立するときには背任罪は成立しないとされています。

まず、横領罪の対象は財物であり、債務の免除、サービスの提供など財産上の利益については横領罪は成立しません。そして、その行為が本人(被害者)の名義・計算で行われれば背任罪の成立を、そうでなければ横領罪の成立を検討すべきと考えます(「条解刑法」前田雅英ほか編・弘文堂参照)。

業務上横領罪の刑の重さ

単純横領罪の法定刑が5年以下の懲役、占有横領罪の法定刑が1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料と定められているのに対し、業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役とされています。

業務上横領罪の時効

7年と定められております(刑事訴訟法250条2項4号)。

業務上横領罪の判例

上記した業務上横領罪と背任罪との関係についての判例を2つ挙げます。
なお、下記判例2は、一見判例1に反するようにも感じられますが、判例2は、当該行為がおよそ本人(被害者)の権限としてもなし得ない事例であって、本人名義でなされたとしても本人のためとは認められず、自己の計算でなされたものに等しいと解釈して、背任でなく業務上横領罪の成立を認めたものと言えるのではないでしょうか。

出典: 裁判所ホームページ

1. 最高裁昭和33年10月10日判決

信用組合の支店長等が、支店の預金成績の向上を装うため、預金者に対し、自己の業務上保管する組合の金員中から預金謝礼金名下に勝手に支出交付した行為、及び、同謝礼金を補填するため、正規に融資を受ける資格のない者に対し、前同様組合の金員を貸付名下に高利をもつて勝手に支出交付した行為は、いずれも、自己の計算においてなされた限り、業務上横領罪を構成する。

2. 最高裁昭和34年2月13日判決

社団法人たる森林組合の組合長らが、法律により組合員への転貸以外のいかなる用途にも流用できない金員を第三者たる地方公共団体に貸し付けた行為は、同貸付が組合名義をもつて処理されているとしても業務上横領罪が成立する。

当事務所で扱った業務上横領罪の事例

当事務所で扱った事例は多数あり、その内容は千差万別ですが、いくつか実例を挙げます。その他企業の財産を着服した業務上横領的な事案につき、結局、背任、詐欺、電子計算機使用詐欺等で問擬された事案も多数扱っています。

  1. 企業の総務・経理担当者が、自己の業務上管理する企業の銀行口座から自己の口座にほしいままに金員を振り込んだとされた事案。ただし、インターネットバンキングを通じて架空の給与を装って振込をしたとされた部分は、刑法246条の2の電子計算機使用詐欺とされた。
  2. ホームセンターの店長が業務上管理する企業の現金を着服し(キャンセルによる返金を装っ)たとされた事案。
  3. リサイクル業者の経理担当者が、業務上管理する企業の現金を着服し(架空のリサイクル品買取を装っ)たとされた事案。
  4. 中古車販売店店長が、業務上管理する店の中古車を販売し、売却代金を着服したとされた事案。
  5. 食品販売業者の経理担当者が業務上管理する企業の現金を着服したとされた事案。

業務上横領罪は必ず逮捕されるのか

必ずしもそうとは言えません。逮捕されるか否かは、横領した金額の額弁償の有無手段・方法の悪質性常習性の有無・程度社会的影響の程度犯行についての認否の状況証拠の有無・内容余罪の有無(犯行の全容の規模)のほか、被疑者側の罪証隠滅・逃亡のおそれの有無・程度等により、逮捕の有無・時期が違ってきます。任意の事情聴取を経た上で逮捕されるケースもあります。

業務上横領罪で逮捕されやすいケース

横領金額が多額であり、手段・方法が悪質、常習性があり、社会的影響が大きく、余罪もあって規模の大きな事案であり、それに伴って被疑者側に罪証隠滅・逃亡のおそれがあると判断されるなどの場合は、逮捕の可能性が高くなります。

業務上横領罪で逮捕されるまでの流れ

捜査機関は、通常、被害者側からの被害相談被害届又は告訴の受理被害者側が提出できる証拠の精査金融機関等への捜査関係事項照会被害者側関係者からの事情聴取共犯者の存否に関する捜査被疑者らの人物特定・行動確認等の内偵捜査を経た上で、逮捕状を取り、逮捕に着手します。
上記のとおり、被疑者らの任意の取調べを先行させることもあります。

業務上横領罪で逮捕されてからの流れ

特に他の事件と変わることはありませんが、相当時間が経過した後の多数にわたる横領行為が存在する可能性があるこの種の事犯に関する取調べの特徴としては、被疑者の記憶のみにより供述を求めても、(どんなに被疑者が事実関係を認めていたとしても)真実に基づく正確な供述を得ることは困難なので、取調べ当初の概括的供述を得る場面はともかく、ある時期からは、通常、被害者側や金融機関から既に取り寄せて捜査機関において精査済みの証拠を順次被疑者に示し、記憶を喚起させつつ、事実関係を供述させ、事実を特定していくという手法が用いられることが多いと考えられます。

業務上横領罪と再逮捕・追起訴

この種事犯は、経理担当等の社会的身分に基づいて反復・継続して常習的になされることが多いので、その場合は、事件単位(数件まとめての場合もあります。)で再逮捕され、都度追起訴されることがあり得ます。

業務上横領罪と保釈

業務上横領罪自体は長期10年以下の懲役に当たる事案ですので、それだけなら必要的保釈(刑事訴訟法89条3号)に当たると言えますが、長期10年を超える前科があるとき(同条2号)、常習として当該横領罪を犯したとき(同条3号)、被告人に罪証隠滅のおそれがあるなど必要的保釈の一般的除外事由(同条4号ないし6号)があるときには必要的保釈の対象とならず、裁判所が適当と認めるときに職権で保釈を認めることができます。

また、起訴された事案以外に余罪があるときでも、保釈の判断は、当該起訴された事案により判断されますが、とはいえ、当該事案でせっかく保釈にて釈放を勝ち得ても、余罪により再逮捕されて保釈が事実上無意味に帰することもあり得ます。
当該事案の保釈の要件だけでなく、余罪が立件される可能性などを幅広く考慮の上、保釈請求の時期等を検討する必要があります。

業務上横領罪と刑事裁判・民事裁判

まず、業務上横領罪は、刑事裁判となる可能性があります。横領金額、犯行態様、前科の有無、弁償の有無等にもよりますが、業務上横領罪は、単純横領罪や占有離脱物(遺失物)横領罪より法定刑が重く、起訴される可能性も高くなります。
起訴されるとなると、占有離脱物(遺失物)横領罪以外は法律上罰金刑以下の定めがなく、略式請求・罰金では済まず、公判請求・正式裁判とならざるを得ません。

業務上横領を犯した場合(単純横領、占有離脱物《遺失物》横領の場合でも同じですが)、民法709条の不法行為とされて損害賠償義務を負い、弁償をしなければ被害者側から民事裁判を提起され、その被告となる可能性があります。

業務上横領罪の場合、企業等の組織が被害者となって、企業等の経営陣において株主等の意向も視野に置く必要があるときもあって、そう簡単に示談ができず、公判請求されて刑事事件となるとともに、民事裁判も起こされ、刑事的責任・民事的責任の双方を追及される可能性が高いでしょう。よって、刑事・民事双方を睨んだ解決を目指す必要があります。

業務上横領罪の弁護活動ポイント

業務上横領罪の罪を認める場合(自白)

横領罪は財産犯ですから、可能な限り早期に被害者側に弁償を行うことが決定的に大切です。被害者側が捜査機関に被害申告・告訴等をする前に弁償し、被害者側の許しを得て、刑事事件化しないよう示談する必要があります。それが上記の民事的責任を果たすことにもなります。

弁償額は横領額全額とするのが原則(でないと、当然のことながら、通常、被害者側に納得してもらうのは困難)ですが、それだけでなく、民法上、行為の日からの遅延損害金の支払義務もありますし、被害の調査費用等が請求される可能性もあります。

横領行為と因果関係のある被害金額全額を早期に一括で弁償するのが刑事・民事の事件化を防ぐ最も効果的な方針ということになりますので、ご自身の財産のほか、ご家族・親戚の助力も仰ぐことが出来れば、恥を忍んでもお願いするのがよいと考えますが、その方法を採れない場合やそれでも足りない場合は、被害者側に分割弁済や人的・物的担保の提供を申し出るなどし、示談を模索していくことになります。

業務上横領罪の無罪を主張する場合(否認)

基本的には、横領の成立を否認し、刑事・民事の両方で争っていくことになります。
刑事事件としては、一般に、捜査機関が被害者からの被害届・告訴を受理すると捜査が開始されますが、その前からでも、被害者側に対してはその誤解を解く説明や、捜査機関に対しては無実であり刑事事件化するような証拠はないことの主張をしていくことになります。

それでも捜査機関が被害届・告訴を受理し、捜査が開始されれば、否認事件ですから、罪証隠滅や逃亡のおそれが大きいなどとして逮捕・勾留される可能性も高まりますが、そのおそれは少ないことなどを主張して勾留の裁判に対する異議申立等をすることはできます.

仮に勾留が継続されても、起訴不起訴を決する権限を持つ検察官に対して無実であると根拠を持って主張し、不起訴(嫌疑不十分)・釈放を勝ち取る活動を行います。罪を認める場合に比して示談は格段に困難ですが、手にした財物の返還だけは行っておくという方針もないことはありません。
不幸にして公判請求されても、保釈請求をして身柄を解放するともに、検察官から提出される証拠を精査し、公判廷において必要な証人尋問を実施するなどし、有罪とするに足りる証拠はないことを明らかにしていきます。

横領額は刑罰に影響するか

横領した額は刑罰に大いに影響します。横領罪は財産犯であり、横領額を中心とした財産的損害の大きさは、結果の重大性として量刑の重さに直結します。

その他量刑に影響を与える要素

動機・犯行に至る事情犯行態様の悪質・巧妙性横領の前提となる信任関係とその違背の経緯被害者側の管理体制の状況横領金の使途財産的損害以外の有形・無形の損害の有無・程度その他被害者への影響事件の社会的影響のほか、前科・前歴、弁償の有無反省の状況家族等の監督者の存否就労可能性再犯可能性などの一般的情状が量刑を定める上で総合考慮されます。

業務上横領罪は家族間でも成立するか

業務上横領罪には刑法244条が準用され(同法255条)、親族間の場合は刑が免除され、又は親告罪となります(単純横領罪も占有離脱物横領罪も同じ)。
ただし、業務上横領罪と単純横領罪の場合、行為者と横領された物の所有者との間だけでなく、行為者と委託信任者との間にも親族関係があることが必要との見解があります(前出「条解刑法」参照)。
また、被害者が法人の場合、たとえその法人の代表者が親族であったり、親族の一人企業であったとしても、同法は適用されません(不起訴の一事情にはなり得るでしょう)。

業務上横領罪は刑事事件に強い弁護士に相談を

業務上横領罪で弁護士を選ぶタイミング

上記のとおり、財産犯である業務上横領罪においては、早期かつ完全な弁償と示談が決定的に重要であるところ、行為者ご本人やその親族が被害者側と示談交渉をしようとしても、そもそも会うこと自体を拒否されることも珍しくなく、そうでなくても、刑事・民事が交錯するこの種事犯の困難な示談交渉とその締結・解決には、刑事・民事双方にわたる法的知識と広範な経験を持つ弁護士が、事件発覚の当初から直接・間接に関与することが必要不可欠です。

業務上横領罪は数年後逮捕に至る可能性もある

業務上横領は、上記のとおり企業等の組織の中で敢行されることが多い上、行為者が組織との信任関係に基づく占有を侵害することに本質がありますから、証拠の多くがその組織内部に存在するという事情があるのは勿論、もともと組織の信頼を得ていた者の不正ゆえそもそもその行動をチェックする態勢が甘く、その者により予め帳票書類の破棄・改変、帳簿操作等の罪証隠滅工作がなされている場合もあり、特に、横領された物が金銭であり、かつ、行為者が当該業務を一人で行っていた場合などはその傾向が顕著です。
したがって、その者自身の自供がなければ不正行為の全貌やそれを客観的に証明する証拠の所在さえ明らかにならないことが珍しくなく、これらを客観的な証拠を持って白日の下に晒すことは通常容易ではありません。

そうすると、これを捜査する警察としては、実態も分からず証拠も不明のまま行為者を取調べるわけにいきません(そんなことをすれば、更なる罪証隠滅を招いたり、証拠を持っていないことを知っている行為者にうまく弁解をされ、真相を解明する前に事件化が不可能になりかねません)から、行為者を取調べる前に、その行為者がしそうな弁解を潰していくことを頭に置きながら、まずは被害者側からの事情聴取・証拠提出金融機関捜査、(行為者の共犯者・協力者であると疑われない限り)関連取引先等関係者からの事情聴取・証拠提出等のいわゆる内偵捜査を先行させ、客観的な横領金・横領物の動き、その隠ぺい工作、横領金の使途・横領物の行方、共犯者の存否等の実態を出来る限り明らかにしていくのが常套手段と言えます。
行為者の話を聞くことができないと言う意味で手探り状態のままその犯行の実態を相当程度明らかにしてから、行為者の取調べ、逮捕・捜索差押等の強制捜査に移行せざるを得ないのです。こうした捜査は、相当な時間がかかるものです。

警察は、特に複雑・重大な事犯であれば、その被害届・告訴の受理前、あるいは事件を送検する前に、起訴・不起訴の独占的決定権を持つ検察官に事件相談をすることが多いのですが、事件相談を受けた検察官も、上記のとおり行為者の弁解を潰すことができることを念頭に置いた証拠収集、事案の実態解明等が一定程度なされているかという観点から事案を検討しますから、不足があればその点の捜査を警察に指揮し、それが完了しないと事実上事件送致を受け付けません。こうした事情から、業務上横領罪等の経済事犯の捜査は一般に長時間を要する上、警察も、日々現行犯的事犯の捜査を平行して実施せざるを得ませんから、警察の動きが遅いと感じられることになります。当事務所で扱った案件でも、警察が数年にわたる捜査の後に逮捕等の強制調査に着手した事案もあります。

業務上横領事件に関する刑事事件Q&A

横領事件に関する良くあるご質問について弁護士が回答します。

Q. 横領罪の示談のポイントはなんですか?

誠意を持って、できる限り早期に、横領した金額のできれば全額を弁償することです。

Q. 会社のお金を預かっている経理担当者から頼まれて、横領金の振込口座を貸してやりました。私は、経理を担当していませんし、会社のお金を預かってもいません。それでも業務上横領の共犯になりますか?

業務上横領罪(刑法第253条。10年以下の懲役)の共犯となり得ます(同法第65条1項)。ただし、貴殿は、経理という「業務」上のお金の占有者とは言えませんから、同条2項が適用され、単純横領罪(刑法第252条1項)の刑(5年以下の懲役)で処断されます(最高裁昭和25年9月19日判決、最高裁昭和32年11月19日判決)。

Q. 業務上横領で自首する場合、先に勤務先に申告すべきですか?

どちらにもメリットデメリットがあり、一概にどちらがいいとは言えません。
すなわち、警察に先に犯罪事実を申告すれば、法律上の「自首」となり、刑が減軽されたり、身柄拘束を回避できたりする可能性があります。一方で、勤務先に先に申告し、両者の間で示談ができれば、そもそも刑事事件化しない可能性があります。また、どちらか一方だけしかできない訳でもありません。

弁償ができる資力があるかなど貴殿側の事情のほか、会社側の処罰感情その他の事情、会社側の捜査機関への相談・届出等の有無・状況など様々な事情により、いつ何をどうすべきか千差万別です。事案に応じた高度な判断が必要ですので、是非早急にそうした事案の経験豊富な弁護士にご相談ください。

Q. 業務上横領でどの段階で弁護士さんにお願いすべきですか?

早ければ早いほどいいでしょう。会社内部の犯罪特に横領等の財産犯は、被害を弁償し、あるいはそのために会社と適切に示談し、話をまとめることで、そもそも刑事事件になることを回避できる可能性が相当にあります。

そのため、初動対応が非常に重要になります。警察沙汰になってから考えればいいと悠長に構えてしまうことで、そもそも刑事事件化を回避できる可能性を自らつぶしてしまうことになりかねません。
会社側は、顧問その他の弁護士に対応を依頼することがありますので、こちら側も弁護士をつけたほうが円滑かつある程度対等に交渉ができます。弁護士をつけたほうがいい状態なのか分からない場合にも、まずはご連絡ください。

Q. 会社が刑事告訴すると言っています。避ける方法はありますか?

被害弁償について適切に交渉し、会社と示談することで、刑事告訴を避けることができる可能性があります。会社としても、横領したお金を返してほしいという思いが当然にあります。

そのため、刑事告訴をする前に示談交渉に応じてくれる場合もあります。その過程で、横領金額を特定し、一括弁済を申し出たり、それが無理でも分割支払いの現実的な計画を立てたりして交渉することで、最終的に刑事告訴を回避できる可能性があります。

Q. 刑事罰を問われるほかに、会社側から私に何か法的な請求がされることはありますか?

横領行為は、民法上は不法行為(民法709条)に当たりますので、不法行為に基づく損害賠償請求という、民事上の責任追及がなされることがあります。また、会社側から懲戒処分がなされ、最悪解雇される可能性もあります。

もっとも、民事的請求に関しては、刑事手続の段階でその損害賠償等について会社側と示談が成立し、示談書の中で「会社との間で示談金以外の債権債務関係がない」などという条項(「清算条項」とよばれています。)を定めた場合には、それ以上会社から民事上の責任追及がなされることはありません。
弁護士に依頼して会社と示談交渉をすることで、刑事・民事両面の解決を図り、懲戒処分に関しても可能な限り寛大に取り計られる期待も生まれます。

まとめ

警察が動く前などできるだけ早く弁護士に依頼すべき

これまで書いてきたような事情がありますから、行為者側としては、犯行が発覚し、組織内の調査・捜査機関の捜査等が開始された兆候を掴んだ場合は、犯行を認めるか否かにかかわらず、いち早く、刑事・民事の双方に精通した、この種事案の処理の経験豊富な弁護士に依頼することが必要不可欠です。そして、上記のとおり、犯行を認めるなら一刻も早い弁償・示談交渉が必要ですし、否認するにしても、被害者側の誤解を解き、捜査機関に無実の主張とその根拠を提示することを急ぐ必要があります。

被害者側としても、上記のとおり横領は刑事・民事が交錯する事案であり、被害の実態解明のためにいかなる内部調査を行い、いかなる証拠を整え、いかなる対応手段を採り得るか、行為者に対しては勿論、警察・検察・裁判所等に対していかなる証拠に基づきいかなる主張をしていくかなどにつき、被害届・告訴受理の可能性、民事事件提訴の可否・必要性、事件が処理されるまでにかかると見込まれる時間、被害額の回収可能性等を睨みながら専門的な検討を加え、行為者等に毅然と対峙していかねばなりません。したがって、やはりいち早く上記のような弁護士への依頼が必要不可欠です。

ご依頼の流れ

ご相談

まずはお電話やお問い合わせフォームよりご相談ください。

依頼 ~ 弁護活動開始 – スピード感ある弁護活動が特徴です

当事務所は、横領事件の弁護体制として「即応機動班」を設置しています。
ご依頼いただく場合、即座に機動班の弁護士が警察署に急行、接見(面会)し、経験豊富なチーム内弁護士と共に弁護方針を打ち立て、弁護方針を定めます。

迅速な身柄解放活動 – 元検事による刑事弁護戦略

身柄を解放するため、様々な弁護活動を迅速に展開します。具体的には、ご本人の誓約書の作成に加え、ご家族に身柄引受書をご作成いただき、ご本人に対して身体拘束から解放された後の生活を指導します。
これらの内容を踏まえた意見書を作成・提出し、身体拘束から解放するように検察官・裁判官を説得、身柄解放を試みます。

当事務所の特徴

「4つ」の強み

当事務所は、「刑事事件に強い」法律事務所として、「4つの強み」を有しています。

  1. 元検事率いる実力派
  2. スピード感ある弁護活動
  3. 親身な相談・報告
  4. 高い解決実績や感謝の声

元検事率いる実力派弁護士チームが、ご依頼者様を強力弁護します。豊富なキャリアと実績に裏打ちされた「今後の見通し」を提案します。刑事事件はスピードが命。迅速な事件解決が当事務所の最大の目標です。即日接見によるスピード解決の実績も多数存在し、24時間365日ご相談を受け付けております。
ご依頼者様に沿った弁護を大切に対応します。ご依頼いただいた方は担当弁護士の携帯番号にいつでも連絡が可能です。親切丁寧な対応を心がけております。

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当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
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上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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