窃盗事件の逮捕・示談に強い弁護士|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

窃盗事件の逮捕・示談に強い弁護士 窃盗事件の逮捕・示談に強い弁護士
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窃盗事件の逮捕・示談に強い弁護士|刑事事件の中村国際刑事法律事務所 ひとくちに「窃盗」といっても,様々なものがあります。また,法律に詳しくない一般の方が「窃盗」だと思っているものが,法律上は「強盗」であったり,一般の方が「品物を返せば済むだろう」と思ったりするような事案が,実は厳しい処分がなされる事案であることもあります。
 このように,窃盗罪の場合,弁護士がつけば,最終的な結果が変わった可能性が高いのに,自己判断で「大丈夫だろう」と考えてしまったばっかりに厳しい結果となってしまったというケースも少なくありません。以下では,窃盗罪について,罪の内容や弁護活動の概要を示しました。しかし,繰り返しとなりますが,窃盗罪には軽いものから重いものまで様々なものがありますので,まずは,ご自身のケースについて,弁護士の意見を聞くことが先決です。

窃盗とは

 窃盗とは,「他人の財物を窃取」することをいいます(刑法235条)。
 「窃取」とは,簡単にいうと,物を管理している者の意思に反して,その物を自分の支配下に移すことです。「泥棒」はそのほとんどが窃盗罪に当たります。
 窃盗と関連する犯罪としては,強盗(236条),詐欺(246条),恐喝(249条),横領(252条),器物損壊(261条)などが財産犯として規定されています。

 続いて,窃盗と他の罪との区別の基準について簡単に説明します。

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  • ① 一定の強さの暴行・脅迫を用いて,他人の物を奪った場合には強盗罪になります。
  • ② 他人の意思に反して物を手に入れたのではなく,騙すなど,他人に誤った意思決定をさせて財物を交付させた場合には詐欺罪になります。
  • ③ 他人が管理しているのではなく,自分が管理している物を奪った場合は横領罪となります。ちなみに,他人の管理する物を奪った場合であっても,④その物を壊すつもりで奪ったのであれば,器物損壊罪になります。

 ①「強盗」と聞くと,刃物を用いたコンビニ強盗や,銀行強盗を想像される方も多いと思いますが,ひったくりをした際に無理やり被害者の持っている物を奪った場合や,万引きをしたところ警備員に発見され,追いかけてきた警備員に暴行を加えたような場合にも,強盗罪が成立することがありますので注意が必要です。なお,強盗罪の法定刑は,5年以上の懲役です。

窃盗の種類

 一口に窃盗といってもさまざまな種類に分けられます。

① 万引き

 店舗内,小売店内において,店員等の隙を見て商品を盗む行為をいいます。

② スリ

 屋内外を問わず,第三者の着衣内又は所持品内から財布等の物をひそかに盗む行為をいいます。

③ ひったくり

 主に屋外を通行中の第三者に対して,乗物を用いるなどして追い抜きざま,すれ違いざまに鞄等の物を盗む行為をいいます。
 ひったくり事件は,一定の強さの暴行を加えて奪った場合には強盗が成立するケースもあります。例えば,被害者と追い抜きざまに背後から押し倒して転倒させる,暴行を加えて被害者をよろけさせるなどして被害者の反抗を排除した場合が挙げられます。
 

④ 置引き

 第三者が屋内外の椅子,机,ベンチその他の場所に鞄などの物を置き忘れ又は置いたまま目を離した隙を見て物を盗む行為をいいます。
 置引き事件は,被害者が完全に財物を失念し,財物を管理していたとはいえない場合には,窃盗よりも軽い占有離脱物横領(254条)になるケースもあります。

⑤ 侵入盗,色情盗

 住宅,会社,学校などの建物に侵入して,建物内を物色して金品を盗む行為をいいます。この場合には別途,住居侵入(130条前段)又は建造物侵入(130条後段)も成立します。
 特に,被害者に対する恋慕,付きまとい,性的欲求のために住居,更衣室,ベランダ等に侵入して下着を盗む行為を色情盗といいます。

⑥ 電気窃盗(盗電)

 電力会社との電力供給契約を締結せず若しくは供給停止後に配線に手を加え,電気メーターを迂回するなどして電気を盗む行為又は店舗,住居等のコンセントにプラグを差し込んでスマートフォンを充電するなどして電気を盗む行為をいいます。電気窃盗は,「盗電」ともいわれています。

⑦ ゴト行為

 パチンコ店において,体感器,磁気等を用いてパチンコ遊戯機に不正な指示を与えて出玉を盗む行為をいいます。

⑧ 出し子

 特殊詐欺事案において,被害者から窃取若しくは詐取したキャッシュカードを用いて,銀行ATMから預金を引き出す行為です。被害者は引き出した銀行支店の店長となります。
 以上が挙げられ,手口,種類はさまざまです。
 その他,万引き事案,ひったくり事案などでは,被害者,目撃者に犯行が発覚したため暴行を加えた場合には,居直り強盗,事後強盗(238条)として強盗が成立する可能性があり,さらに被害者,目撃者に怪我を負わせた場合には強盗致傷(240条前段)が成立する可能性があります。

窃盗をしてしまったら(逮捕される以前の段階)

 次に,もしも窃盗をしてしまったらどうすれば良いかについて検討していきましょう。状況別に解説します。

窃盗行為が店舗に発覚したかわからない場合

 そもそも店舗に発覚したかどうかが分からない場合には,警察署へ自首すること,被害店舗に対して被害弁償を申し出ることを検討します。
 被害店舗は在庫の管理をしており,その際に,窃盗被害を受けたことが発覚し,場合によっては被害届を提出することがあります。

窃盗行為が店舗に発覚してしまっている場合

窃盗行為が店舗に発覚してしまっている場合 例えば,私服警備員や店員に万引きをした事が発覚して,万引きした物,氏名や住所などを伝えて帰された場合,万引きが発覚して声をかけられたものの振り切って逃げたとしましょう。
 この場合,被害店舗が,警察に被害届を提出することが考えられます。自首が成立するためには,捜査機関が犯罪事実を発覚する前に申告する必要があり(刑法42条1項),被害届が提出されて犯人を特定した後では成立しません。自首をすることにより,後日逮捕を避けられたり,刑の減軽がなされる可能性があります。自首をしたうえで,被害店舗に対する被害弁償を申し出る必要があるでしょう。

警察から連絡がきた場合

 この場合には,警察はあなたを万引きの被疑者として捜査をしていることから,適切な対応をしなければ,逮捕の可能性,刑事事件として起訴の可能性があります。逮捕を回避するため,起訴を避けるために弁護士に相談の上,示談交渉に臨む必要があるといえます。

窃盗事件で逮捕されないためには

 逮捕するかどうかは,事件の重大性や性質,犯行後の認否,身元を偽ったかどうかなどを踏まえて判断されます。
 犯行後に逃げたという事情があれば,逃亡のおそれがあるとして逮捕の可能性があるため,今後逃亡しない旨の誓約書,身柄引受書を提出の上,弁護人を選任することが有効になります。

窃盗事件の示談交渉

窃盗事件の示談交渉 犯人と被害者が直接面談して示談交渉に臨むことは,被害者の感情を逆なでしたり,被害者が威圧を受けることを危惧したりする可能性があり,一般的に得策とはいえません。また,被害者によっては,「犯人とは直接会わない」と,そもそも会うこと自体を断られることもあります。
 弁護人を選任した上で,交渉を行うべきです。

逮捕前における対応

 自首すべきかどうか,自首するとしてどのように行うか,被害者との対応をどのように行うかについては,事前に弁護士に相談すべきです。結果的に自分一人で自首することとなった場合でも,弁護士からのアドバイスに従って行動することで,結果がよいものになる可能性が高くなります。

窃盗罪で逮捕される経緯

 事案の性質,共犯者の有無などケースによりさまざまですので,以下では出し子とひったくりを例に検討していきましょう。

事例 ①
 Aが詐欺グループが被害者から騙し取ったキャッシュカードを銀行ATMにおいて差し込み,現金を引き出そうとした。

事例 ②
 Pは共犯者Qとひったくりをしようと計画し,住宅街を帰宅中の被害者に対して,スクーターで追い抜きざまに,被害者が右肩にかけていた鞄を奪ってそのまま逃走した。鞄の中には,財布(現金1万円,被害者名義の運転免許証等在中),パソコン,手帳などが入っていた。

事例 ①の場合

 逮捕には,大きく分けて現行犯逮捕による場合と後日逮捕による場合があります。

① 現行犯逮捕による場合

① 現行犯逮捕による場合 Aが銀行ATMから預金を引き出す前に,被害者が警察,銀行に事件を相談し,捜査が開始され,銀行口座取引を停止していたとしましょう。この場合,警察は周囲の銀行に対する張り込みや路上の巡回を行うなどして犯人検挙に警戒を強めていきます。そして,銀行口座取引が停止されていることを知らないAが銀行ATMにX名義のキャッシュカードを差し込み,預金を引き出す操作をしたところ,引き出すことができず,銀行員からの通報がなされました。この場合,被害者名義のキャッシュカードを差し込んだ段階で窃盗未遂が成立すると考えられていますので,窃盗未遂で現行犯逮捕になります。

② 後日逮捕になる場合

 Aが銀行ATMに被害者名義のキャッシュカードを差し込み,現金100万円を引き出しました。Aによる引出しの後,被害者が警察,銀行に事件を相談し,捜査が開始されます。警察は,銀行に対して,銀行取引履歴の照会,銀行設置の防犯カメラの解析,銀行付近や交通機関の防犯カメラ,ICカード使用履歴,自動車のナンバープレート等の解析によって,犯人の足取りをリレー方式で追跡します。特に,出し子や受け子の場合,特殊詐欺グループを一斉検挙するために捜査機関は緻密な内偵捜査,張り込みを進め,証拠が収集した段階で捜索差押え(ガサ入れ),令状逮捕に至ります。

事例 ②の場合

① 現行犯逮捕の場合

 P及びQが被害者の鞄を奪って逃走した後,被害者はひったくり被害に遭ったこと,鞄の中に財布(現金1万円,運転免許証等在中),パソコン,手帳などが入っていたこと,犯人は2人組のスクーターに乗っていたことを110番通報しました。
 110番通報を受けて,犯人が逃走していった方向に,警察官が周囲を巡回し,犯人の足取りを追っていたところ,110番通報がなされてから15分後,犯行現場から1キロメートル離れた地点で犯人の特徴と酷似するスクーターに乗った2人組を警察官が発見したため,職務質問を開始したところ,スクーターのかごの中に鞄を発見し,所持品検査が実施されました。
 鞄内の所持品検査を実施したところ,財布(現金1万円,被害者名義の運転免許証在中),パソコン,手帳等が発見されました。警察官が2人組に対して,鞄の所有者を尋ねたところ,「さきほど盗んできた」と答えたため,警察官は2人組を窃盗容疑で現行犯逮捕しました。

② 令状逮捕の場合

 P及びQがYの鞄を奪って逃走後,Yの鞄の中を物色し,財布から現金1万円を引き抜き,残りは川へ捨てました。
 Yはひったくり被害を受けたことを110番通報し,Yからの事情聴取を受けて警察は捜査を開始します。捜査に当たって,犯人の特徴,盗品,スクーターの種類,周囲の防犯カメラ映像,犯行現場に残された痕跡(指紋,足跡,唾液,体液)などから犯人を特定していくことになります。このとき,被害者の盗品についてもリストアップしているので,犯人が投棄した鞄が発見されると鞄から犯人の痕跡に迫ることもできますし,防犯カメラ映像やスクーターの登録情報から犯人を特定することもできます。こうして,犯人を徐々に絞り込んで特定して,内偵捜査を進め,ある日,突然,捜索差押え,令状逮捕に至ります。

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窃盗罪で逮捕されたら

窃盗罪で逮捕されたら 窃盗罪で逮捕された場合には,いち早く弁護士に接見を依頼する必要があると考えられます。
 警察が収集した証拠は,裁判になるまで被疑者が閲覧することはできないため,警察があなたの言い分を裏付ける証拠又は,あなたの言い分を排斥できる証拠を収集しているのかどうかを知ることができません。不合理な弁解が保釈の判断に影響したり,判決で不利に扱われることがあります。
 弁護人も裁判にまで証拠を閲覧することはできませんが,経験上,いかなる証拠が収集されているかを推測することが可能であり,場合によっては,検察官と面談をしていかなる証拠を収集済みかどうか探ることが可能です。
 また,逮捕後,被害者と示談交渉をしたいと考える場合もあると思いますが,弁護人を通さずに示談が成立することは困難です。そういった意味においても弁護人を選任するために弁護士に接見を依頼することが不可欠であると考えられます。
 ケースはさまざまであり,こうすれば必ず処分が軽くなるというものはありませんが,適切な弁護活動をすることによって,身柄釈放,不起訴処分,執行猶予判決を得ることもできます。
 法律の専門家である弁護士の助言のもと適切な弁護活動をする必要があるといえるでしょう。

逮捕後早期釈放のためにすべきこと

 弁護士に接見を依頼して,勾留の阻止を目指すことになります。
 具体的には,在宅捜査後の身柄引受人を確保すること,被害者との示談交渉に着手すること,会社員であれば勤務状況(勤続年数,地位,収入など),生活状況(住宅ローンの有無,配偶者及び子の有無,介護を要する親族の有無,同居の親族の有無,持病の有無など)に関する報告書の作成を検察官,裁判官に提出して,罪証隠滅,逃亡のおそれがないこと及び勾留の必要性がないことを説得することになります。もちろん,ここに挙げたものだけではなく,事案に応じて,様々な資料を用いて,検察官,裁判官を説得します。

逮捕後処分を軽くするためにすべきこと

逮捕後処分を軽くするためにすべきこと 検察官は捜査終結後,公判請求,略式請求,不起訴処分のいずれかの終局処分を決定することとなります。いずれの終局処分を選択するかどうかは検察官の裁量に委ねられており(起訴便宜主義),犯行の悪質さ,被害金額の大小,計画性,社会的影響力,犯行の動機,前科前歴及び余罪の有無,示談の成否,再犯の可能性などの様々な要素を踏まえて終局処分を判断します。
 検察官の終局処分には,専門的な判断が必要とされるため,終局処分を軽くするためには弁護人との綿密な打合せが必須となります。
 たとえば,窃盗の動機,原因が換金目的であったのか,貧困であったのか,窃盗症(クレプトマニア)であったのかによって,その後の弁護活動に影響します。以下では,逮捕後に考えられる弁護活動について検討します。

① 被害回復

 窃盗は,他人の財産権を侵害する犯罪であるので,財産被害が回復したかどうかは,最終的な処分にあたって重要視されます。この点から,被害者,被害店舗との間で示談が成立すれば,被害者の財産的被害が回復し,被害者の処罰感情が和らいでいるため,終局処分において有利に考慮されます。
 また,窃盗事件においては被害者,被害店舗が被害弁償に応じていただけない場合があり,その場合には供託手続も検討することになります。供託は,金銭の支払義務を負担している者が,その義務を履行しようとした場合に,被害者が受領を拒んだことにより,その義務の履行ができないときに,供託所に金銭を供託することによって,支払義務を免れることをいいます。
 もっとも,供託は,民事上の損害賠償義務を免れるものにすぎず,交渉によって被害者と示談が成立することが望ましいといえます。

② 贖罪寄付

 贖罪寄付とは,罪を償う気持ちを表明して一定の団体・機関に対して寄付行為をすることをいいます。贖罪寄付は,薬物犯罪,贈収賄犯罪など被害者がいない犯罪でなされることがありますが,窃盗においても被害者が被害弁償に応じていただけない場合や,多数の余罪が存在する事件ではなされることがあります。
 窃盗は,他人の財産権を侵害する犯罪ですが,他人の財産を自分のものにしようとする利欲的な意思があるために,刑事処罰をもって予防の必要性が高いと考えられています。そのため,本来支払うべきであった代金や窃盗によって不正に得た利益をすべて吐き出すことによって,刑事処罰の必要性が減少すると考えられます。

③ 再犯防止

③ 再犯防止 窃盗に限らず,犯罪行為に及んでしまった場合には,必ず動機や原因を明らかにする必要があります。窃盗に及んでしまった方は「魔が差した」「少しくらいなら大丈夫だと思った」「お金を浮かせたいと思った」と口を揃えることがあります。こうした場合には,窃盗被害によって被害者が負う不利益についての理解や遵法意識を涵養することが必要となります。
 また,いわゆるクレプトマニアと呼ばれる依存症となって窃盗を繰り返すことがあります。クレプトマニアは,しばしば重度のストレスから逃れるために,物を盗む行為のスリルや達成感を味わう目的でなされ,次第に物を盗む衝動を抑えることが困難になって,依存症へと至るものです。こうしたクレプトマニアの場合には,一種の依存症として医療機関での受診,治療に当たらなければ,根本的な解決には至りませんので,再犯防止のために医学的なアプローチが必要となります。

④ 就労支援,社会福祉支援

 経済的な事情から,窃盗行為に及ぶことがあります。
 こうした場合には,就職先を見つけて経済的に自立すること,生活保護を含めて自治体の支援につなげるなどして生活環境調整が必要となります。

窃盗の逮捕事例・裁判事例

レンタルDVD店で数百枚のDVDを窃取した逮捕事案

 捜索差押え(ガサ入れ)の際,他の店舗のDVDも数百枚押収されたもの。自白(認め)事件で,通常逮捕。
 勾留後,弁護人選任。被害店舗と示談交渉に着手し,勾留延長回避。
 被害店舗との間で販売価格にて買い取る旨の示談が成立。
 他の店舗のDVDは還付され,被害届を提出しない様子であったため,通常レンタルしたとすれば支払ったであろう代金に相当する金額を贖罪寄付し,不起訴処分を獲得した。

万引きと繰り返し逮捕され,執行猶予中の再犯であった裁判事案

 高齢の相談者は,お店で商品を数点(被害金総額数千円)万引きしたところ,警備員に発見され逮捕。相談者はこれまでも何度も万引きを繰り返しており,本件は執行猶予中の再犯であったため,警察や検事からは「今回は執行猶予がつかず,実刑になるだろう。」と言われていた。
 相談者は,金銭的に困窮していないのに万引きを繰り返すクレプトマニア(窃盗症)の特徴を有していた。
 窃盗症の専門クリニックを紹介し,保釈後に通院をしてもらった。担当医とも連携を取りながら,窃盗症治療の経過を観察した。また,相談者は高齢であり認知症の疑いもあったところ,万引きを繰り返してしまう方々の中には,認知症が主原因となっている事例もあるため,認知症の診察,治療も並行して受けてもらった。
 これまでは,相談者自身,家族に度重なる万引き行為を打ち明けず,一人で思い悩み続け,解決しようとしていたため,家族にも洗いざらい全て打ち明けてもらい,窃盗症の専門クリニックの通院等には家族に付き添ってもらった。そして,逐一報告を受け,通院日記も書いて,自身の犯行原因と向き合ってもらった。
 そして,これまでの万引きは,経済的目的ではなく,ストレス解消目的にあると判明したため,そのストレス要因となっていた株式投資や個人店経営などの身辺整理をしてもらい,ストレス要因となった原因をなくして再犯に及ばない環境作りを一緒に考えて,それを実行してもらった。
 裁判では,このような取り組みを主張した結果,裁判官は,「執行猶予中の再犯なので原則実刑。ただし,本件では更生に期待すべき特段の事情がある。」として,執行猶予中の再犯でありながら,再度,執行猶予判決が下された。相談者は,裁判が終わってからも,クリニック通院を続け,同じような万引きを繰り返さないようにと毎日日記をつけ,家族ともよく話し合いをしながら平穏な日常生活を送っている。

窃盗罪の時効

 窃盗罪の公訴時効は7年です(刑事訴訟法250条2項4号)。

窃盗事件の弁護活動ポイント

窃盗事件の弁護活動ポイント 先に述べたように,窃盗事件は,被害者への被害弁償が重要であり,いかに被害者とうまく示談交渉を行えるかがポイントなります。
 また,窃盗に至った動機や原因を分析し,再犯防止のためにそれに見合った弁護活動が必要となります。
 特に,クレプトマニアの場合は,一種の依存症であるため,本人は悪いことなので止めたいと思っていたとしても止められないので,反省を深めたとしても根本的な解決にはなりません。根本的な解決のためには,クレプトマニア治療を行うなど専門家のサポートが必須でしょう。

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罪を認める場合(自白)

 窃盗をしたことに間違いがない場合には,被害回復に努めるとともに,弁護人との間で,犯行の原因を見つめ直して再犯防止に取り組む必要があります。
 また,窃盗に伴って,捜索差押えがなされることがあり,捜査機関から余罪の追及を受けて,自分がやっていない犯行についても認めてしまうケースがあり,取調べの対応についても弁護人と打合せをする必要があるでしょう。

無罪を主張する場合(否認)

 いかなる理由で無罪を主張するのかを弁護人との間で綿密に検討する必要があるといえるでしょう。
 犯人ではない,身に覚えがないとして否認するのか,罪を認識していなかったとして故意を否認するのか,違法性,責任能力を争うのかによって黙秘をするのか,取調べに応じるのかといった対応や,弁護人がどのような証拠を収集すべきであるのかなどの弁護活動も異なってきます。
 具体的な弁護方針については,それぞれの事件によりますが,犯人ではないといって争う場合には,裁判所は,「盗品の近接所持の法理」という考え方を採用することが多くなっています。具体的には,犯行から時間が経たないうちに,犯行現場の近くで,盗まれた物を持っていた場合には,基本的には,その者が犯人であるとする,という考え方です。そのため,犯人ではない,身に覚えがないとして否認する場合には,「その盗品をいつ,どこで,誰から,どのように入手したのか」について積極的な立証活動が必要となり,弁護人との打合せが必須です。

窃盗事件の弁護士費用

 概ねHP記載のとおりです。事案によって,弁護士費用も変わってきますので,詳細は個別に弁護士と相談してください。

窃盗事件の示談金

 万引き事件では販売価額が,ひったくり事件であればその財物の相場価額が,現金であればその現金額のように,窃盗事件における示談金は概ね被害金額を基準とし,これに迷惑料を上乗せすることになります。
 最終的には,被害者が納得した額でないと示談は成立しませんので,弁護士が被害者と示談交渉を重ねることで,最終的な額が決まります。また,万引き事件等の場合,示談の際に店舗への出入禁止という条件が加えられる場合もあります。

窃盗癖(クレプトマニア,万引き依存症)の弁護について

 窃盗をする方の中には,「したくないのに窃盗を繰り返してしまう」人がいます。このような人は,万引き依存症・クレプトマニア,と呼ばれる病気であり,治療が必要だと考えられています。「自分の手で物を盗んでいるのだから,自分の意思で万引きをしているのではないか,意思が弱いだけではないか」と思われる方も多いかと思います。
 ですが,過食症をイメージして見てください。過食症は,食物を過剰に摂取する病気ですが,過食症の人も,最終的には自分の手で食物を口に運んでいます。しかし,過食症の人に対して,「意思が弱い」と思われる方は少ないはずです。クレプトマニアも,これと同じように,止めたくても窃盗が止められない状況なのです。
 クレプトマニアは,精神疾患の診断基準(DSM-V)に規定があり,以下の5つを満たすものをいうとされています。

  • A. 個人的に用いるのでもなく,またはその金銭的価値のためでもなく,物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
  • B. 窃盗におよぶ直前の緊張の高まり。
  • C. 窃盗を犯すときの快感,満足,または解放感。
  • D. 盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく,妄想または幻覚に反応したものでもない。
  • E. 盗みは,行為障害,躁病エピソード,または反社会性人格障害ではうまく説明されない。

窃盗癖(クレプトマニア,万引き依存症)の弁護について たとえば,中村国際刑事法律事務所で担当した事案の中には,犬を飼っているわけではないのにドッグフードを万引してしまう方や,「万引きをすると世界がぱーっと輝いて見える」とおっしゃる方もいました。
 中には,執行猶予付きの判決を受けており,「今度窃盗で事件化された場合には刑務所に行く可能性が非常に高いのに,それでも万引きをしてしまう」,という方もいらっしゃいます。
 これらの方について,反省を促したり,家族が厳しく叱ったりしても,その効果は限定的です。クレプトマニアの方については,専門のクリニックで,治療を受けることで,再犯可能性を下げることが可能であるとされます。
 クレプトマニアの事案において,弁護士は,専門のクリニックと連携し,依頼者の方に継続してクレプトマニアの治療を受けてもらうこと,そして,弁護士が,治療の経過や治療で学んだことを,裁判官の共感を得られる形で裁判上明らかにする活動を行います。
 中村国際刑事法律事務所では,クレプトマニア事案も多く扱っており,近隣のクリニックと連携して弁護活動を行った実績も多数ございます。

窃盗事件に関する相談・解決実績

 中村国際刑事法律事務所で解決した窃盗事件に関する,代表的な相談・解決実績をご紹介します。


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窃盗事件に関するご依頼者様の感謝の声

 中村国際刑事法律事務所で解決した窃盗事件に関する,代表的なご依頼者様の感謝の声をご紹介します。

窃盗事件に関する刑事事件Q&A

 窃盗事件に関する良くあるご質問について弁護士が回答します。

Q. 店で盗んだ商品を返せば,示談ということになりますか?

 盗まれた商品は,被害者からは価値が下がっている(もはや売物にならない)と見なされ,これを返すのではなく,買い取りを要求されることが多いと思われます。また,店舗側は窃盗事件の捜査のために警察対応を行う必要がありますので,その間の営業損害費用,人件費等を要求されることもあります。
 したがって,盗んだ商品を返すだけで必ずしも示談が成立するとは限らず,弁護士に被害店舗との示談交渉を依頼して完全な示談を目指す必要があります。

Q. クレプトマニアの診断書さえもらっておけばそれだけで刑が軽減されますか? また,クレプトマニアという診断によって,責任能力が否定されることはありますか?

 クレプトマニアは,アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5において「窃盗症」とされている精神障害です。
 現在では,クレプトマニアを中心とする依存症の治療を専門とするクリニックも増えており,万引きを繰り返してしまう方が医師からクレプトマニアとの診断を受けるケースは珍しくありません。
 一方で,刑事裁判においては,被告人がクレプトマニアにり患していることを理由に責任能力が限定的である(心身耗弱状態である)という主張が試みられてきましたが,事理弁識能力や行動制御能力が著しく減退していたとまではいえないと判断されて完全責任能力が肯定される事例が殆どです。
 重度のクレプトマニアにり患しているとして心身耗弱が認定された判例もありますが(東京地判令和2年4月3日),そのような事例は極めて珍しいといえます。
 窃盗の常習性が認められる事案において量刑の減軽を狙うためには,単にクレプトマニアとの診断を受けるだけでなく,被告人が家族等の協力のもとで通院治療を継続し,これを主張することが必要です。

まとめ

 これまで,窃盗罪について,様々なことを解説してきましたが,このページを最後まで読んでくださった方に再度,お伝えしたいことは,「とにかく自己判断をしない」ということです。もちろん,弁護士にご相談いただいた結果,弁護士をつける必要がない場合もあります。中村国際刑事法律事務所では,弁護士が必要ない事案であれば,「弁護士は必要ありません」とはっきりお伝えしております。後々になって,「弁護士をつければよかった」と後悔しないために,まず一度,弁護士にご相談ください。被害店舗に行ったり,警察に行ったりするのは,その後でも遅くありません。

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