窃盗事件に強い弁護士
窃盗とは
窃盗とは,「他人の財物を窃取」することをいいます(刑法235条)。
「窃取」とは,簡単にいうと,物を管理している者の意思に反して,その物を自分の支配下に移すことです。「泥棒」はそのほとんどが窃盗罪に当たります。
窃盗と関連する犯罪としては,強盗(236条),詐欺(246条),恐喝(249条),横領(252条),器物損壊(261条)などが財産犯として規定されています。
続いて,窃盗と他の罪との区別の基準について簡単に説明します。
- ①一定の強さの暴行・脅迫を用いて,他人の物を奪った場合には強盗罪になります。
- ②他人の意思に反して物を手に入れたのではなく,騙すなど,他人に誤った意思決定をさせて財物を交付させた場合には詐欺罪になります。
- ③他人が管理しているのではなく,自分が管理している物を奪った場合は横領罪となります。
ちなみに,他人の管理する物を奪った場合であっても,④その物を壊すつもりで奪ったのであれば,器物損壊罪になります。
①「強盗」と聞くと,刃物を用いたコンビニ強盗や,銀行強盗を想像される方も多いと思いますが,ひったくりをした際に無理やり被害者の持っている物を奪った場合や,万引きをしたところ警備員に発見され,追いかけてきた警備員に暴行を加えたような場合にも,強盗罪が成立することがありますので注意が必要です。
なお,強盗罪の法定刑は,5年以上の懲役です。
本コラムは代表弁護士・中村勉が執筆いたしました。
窃盗をしてしまったら(逮捕される以前の段階)
次に,もしも窃盗をしてしまったらどうすれば良いかについて検討していきましょう。状況別に解説します。
窃盗行為が店舗に発覚したかわからない場合
そもそも店舗に発覚したかどうかが分からない場合には,警察署へ自首すること,被害店舗に対して被害弁償を申し出ることを検討します。
被害店舗は在庫の管理をしており,その際に,窃盗被害を受けたことが発覚し,場合によっては被害届を提出することがあります。
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窃盗行為が店舗に発覚してしまっている場合
例えば,私服警備員や店員に万引きをした事が発覚して,万引きした物,氏名や住所などを伝えて帰された場合,万引きが発覚して声をかけられたものの振り切って逃げたとしましょう。
この場合,被害店舗が,警察に被害届を提出することが考えられます。自首が成立するためには,捜査機関が犯罪事実を発覚する前に申告する必要があり(刑法42条1項),被害届が提出されて犯人を特定した後では成立しません。自首をすることにより,後日逮捕を避けられたり,刑の減軽がなされる可能性があります。自首をしたうえで,被害店舗に対する被害弁償を申し出る必要があるでしょう。
警察から連絡がきた場合
この場合には,警察はあなたを万引きの被疑者として捜査をしていることから,適切な対応をしなければ,逮捕の可能性,刑事事件として起訴の可能性があります。逮捕を回避するため,起訴を避けるために弁護士に相談の上,示談交渉に臨む必要があるといえます。
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窃盗事件で逮捕されないためには
逮捕するかどうかは,事件の重大性や性質,犯行後の認否,身元を偽ったかどうかなどを踏まえて判断されます。
犯行後に逃げたという事情があれば,逃亡のおそれがあるとして逮捕の可能性があるため,今後逃亡しない旨の誓約書,身柄引受書を提出の上,弁護人を選任することが有効になります。
窃盗事件の示談交渉
犯人と被害者が直接面談して示談交渉に臨むことは,被害者の感情を逆なでしたり,被害者が威圧を受けることを危惧したりする可能性があり,一般的に得策とはいえません。また,被害者によっては,「犯人とは直接会わない」と,そもそも会うこと自体を断られることもあります。
弁護人を選任した上で,交渉を行うべきです。
逮捕前における対応
自首すべきかどうか,自首するとしてどのように行うか,被害者との対応をどのように行うかについては,事前に弁護士に相談すべきです。結果的に自分一人で自首することとなった場合でも,弁護士からのアドバイスに従って行動することで,結果がよいものになる可能性が高くなります。
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窃盗罪で逮捕されたら
窃盗罪で逮捕された場合には,いち早く弁護士に接見を依頼する必要があると考えられます。
まずは弁護士に接見を依頼して,勾留の阻止を目指すことになるでしょう。
具体的には,在宅捜査後の身柄引受人を確保すること,被害者との示談交渉に着手すること,会社員であれば勤務状況(勤続年数,地位,収入など),生活状況(住宅ローンの有無,配偶者及び子の有無,介護を要する親族の有無,同居の親族の有無,持病の有無など)に関する報告書の作成を検察官,裁判官に提出して,罪証隠滅,逃亡のおそれがないこと及び勾留の必要性がないことを説得することになります。
もちろん,ここに挙げたものだけではなく,事案に応じて,様々な資料を用いて,検察官,裁判官を説得します。勾留阻止のほか,不起訴を目指して積極的な弁護活動を展開します。
警察が収集した証拠は,裁判になるまで被疑者が閲覧することはできないため,警察があなたの言い分を裏付ける証拠又は,あなたの言い分を排斥できる証拠を収集しているのかどうかを知ることができません。不合理な弁解が保釈の判断に影響したり,判決で不利に扱われることがあります。
弁護人も裁判にまで証拠を閲覧することはできませんが,経験上,いかなる証拠が収集されているかを推測することが可能であり,場合によっては,検察官と面談をしていかなる証拠を収集済みかどうか探ることが可能です。
検察官は捜査終結後,公判請求,略式請求,不起訴処分のいずれかの終局処分を決定することとなります。いずれの終局処分を選択するかどうかは検察官の裁量に委ねられており(起訴便宜主義),犯行の悪質さ,被害金額の大小,計画性,社会的影響力,犯行の動機,前科前歴及び余罪の有無,示談の成否,再犯の可能性などの様々な要素を踏まえて終局処分を判断します。
検察官の終局処分には,専門的な判断が必要とされるため,終局処分を軽くするためには弁護人との綿密な打合せが必須となります。
たとえば,窃盗の動機,原因が換金目的であったのか,貧困であったのか,窃盗症(クレプトマニア)であったのかによって,その後の弁護活動に影響します。以下では,逮捕後に考えられる弁護活動について検討します。
示談による被害回復
窃盗は,他人の財産権を侵害する犯罪であるので,財産被害が回復したかどうかは,最終的な処分にあたって重要視されます。この点から,被害者,被害店舗との間で示談が成立すれば,被害者の財産的被害が回復し,被害者の処罰感情が和らいでいるため,終局処分において有利に考慮されます。
また,窃盗事件においては被害者,被害店舗が被害弁償に応じていただけない場合があり,その場合には供託手続も検討することになります。供託は,金銭の支払義務を負担している者が,その義務を履行しようとした場合に,被害者が受領を拒んだことにより,その義務の履行ができないときに,供託所に金銭を供託することによって,支払義務を免れることをいいます。
もっとも,供託は,民事上の損害賠償義務を免れるものにすぎず,交渉によって被害者と示談が成立することが望ましいといえます。
窃盗事件の示談金
万引き事件では販売価額が,ひったくり事件であればその財物の相場価額が,現金であればその現金額のように,窃盗事件における示談金は概ね被害金額を基準とし,これに迷惑料を上乗せすることになります。
最終的には,被害者が納得した額でないと示談は成立しませんので,弁護士が被害者と示談交渉を重ねることで,最終的な額が決まります。また,万引き事件等の場合,示談の際に店舗への出入禁止という条件が加えられる場合もあります。
贖罪寄付
贖罪寄付とは,罪を償う気持ちを表明して一定の団体・機関に対して寄付行為をすることをいいます。贖罪寄付は,薬物犯罪,贈収賄犯罪など被害者がいない犯罪でなされることがありますが,窃盗においても被害者が被害弁償に応じていただけない場合や,多数の余罪が存在する事件ではなされることがあります。
窃盗は,他人の財産権を侵害する犯罪ですが,他人の財産を自分のものにしようとする利欲的な意思があるために,刑事処罰をもって予防の必要性が高いと考えられています。そのため,本来支払うべきであった代金や窃盗によって不正に得た利益をすべて吐き出すことによって,刑事処罰の必要性が減少すると考えられます。
再犯防止
窃盗に限らず,犯罪行為に及んでしまった場合には,必ず動機や原因を明らかにする必要があります。窃盗に及んでしまった方は「魔が差した」「少しくらいなら大丈夫だと思った」「お金を浮かせたいと思った」と口を揃えることがあります。こうした場合には,窃盗被害によって被害者が負う不利益についての理解や遵法意識を涵養することが必要となります。
就労支援,社会福祉支援
経済的な事情から,窃盗行為に及ぶことがあります。こうした場合には,就職先を見つけて経済的に自立すること,生活保護を含めて自治体の支援につなげるなどして生活環境調整が必要となります。
窃盗事件の弁護士費用
概ねHP記載のとおりです。事案によって,弁護士費用も変わってきますので,詳細は個別に弁護士と相談してください。
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当事務所は,刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており,警察捜査の流れ,被疑者特定に至る過程,捜査手法,強制捜査着手のタイミング,あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し,判決予測も可能です。
- 逮捕されるのだろうか
- いつ逮捕されるのだろうか
- 何日間拘束されるのだろうか
- 会社を解雇されるのだろうか
- 国家資格は剥奪されるのだろうか
- 実名報道されるのだろうか
- 家族には知られるのだろうか
- 何年くらいの刑になるのだろうか
- 不起訴にはならないのだろうか
- 前科はついてしまうのだろうか
上記のような悩みをお持ちの方は,ぜひご相談ください。
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まとめ
これまで,窃盗罪について,様々なことを解説してきましたが,このページを最後まで読んでくださった方に再度,お伝えしたいことは,「とにかく自己判断をしない」ということです。もちろん,弁護士にご相談いただいた結果,弁護士をつける必要がない場合もあります。中村国際刑事法律事務所では,弁護士が必要ない事案であれば,「弁護士は必要ありません」とはっきりお伝えしております。後々になって,「弁護士をつければよかった」と後悔しないために,まず一度,弁護士にご相談ください。被害店舗に行ったり,警察に行ったりするのは,その後でも遅くありません。
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