傷害事件でお悩みの方は一刻も早く弁護士にご相談を
「傷害事件で逮捕」「傷害などにより起訴」といったニュースを耳にしたことはあるでしょう。
特に多い事例は,酔って駅員に対して暴行や傷害を与えるケースです。コロナ禍で外出や飲酒の機会が減り数年は減少傾向にありましたが,大手鉄道各社の発表によれば,2020年に比べ,2021年は増加に転じたそうです(2022年7月5日日経新聞報道)。そして,加害者の50%以上が酔った客との統計も出ています。普段は真面目なサラリーマンも,お酒に酔うと気が大きくなり,暴行・傷害事件を起こして逮捕されることがあります。
万が一,自分や家族が傷害罪で逮捕・起訴等された場合に,どのような弁護活動がポイントとなるのか,示談をすることでどのような効果が期待できるのか,傷害事件解決のために知りたいことが多数あるかと思います。不安に思ったら,まずは傷害事件の経験豊富な中村国際刑事法律事務所の弁護士にご相談ください。
傷害事件に強い弁護士の見極め方
逮捕された場合には,国選弁護士,もしくは私選弁護士のいずれかの弁護士と連絡し,弁護士を選任する必要があります。では,どのように傷害事件に強い弁護士を選任すれば良いのでしょうか。選ぶ際のポイントは以下2点です。
- 1. 土日,祝日でも弁護士の対応が可能
- 2. 傷害事件の解決実績
1. 土日,祝日でも弁護士の対応が可能
逮捕された場合,身柄解放のためには初動の72時間が重要となります。
しかし,逮捕は土日・祝日関係なく行われます。一般的に法律事務所は土日・祝日は営業していないことが多いので,土日・祝日に逮捕されてしまった場合は弁護士へのアクセスが困難でしょう。
当事務所では,平日に限らず土日・祝日も営業しており,弁護士の対応が可能です。
土日に逮捕!接見に動ける弁護士へ無料相談
土日・祝日でも接見に動きます|中村国際刑事法律事務所の代表弁護士中村勉が解説 土日・祝日など一般の法律事務所がお休みのときでも接見に急行します ...
2. 傷害事件の解決実績
傷害事件は,示談を成立させることで早期の身柄解放や不起訴処分の獲得,減軽処分(より軽い刑による処分)または執行猶予の獲得等の効果が期待できます。
そのため,示談交渉を得意とする弁護士に依頼することが重要です。
中村国際刑事法律事務所には,元検事である弁護士をはじめ,傷害事件の経験豊富な弁護士が多数在籍し,早期に示談交渉に取り組み身柄解放や不起訴処分獲得を目指します。
傷害事件で適正金額にて示談成立
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事件の概要 公立中学校内における,生徒に対する暴行,教師に対する傷害で現行犯逮捕された少年のご両親からのご依頼。 少年は,いわゆるADHD(発 ...
目次
傷害罪とは
傷害罪は,刑法第204条に規定されています。
刑法第二百四条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
傷害罪は,傷害の程度や動機,凶器の有無などの諸事情により,重い場合には起訴され裁判にかけられますし,軽い場合は略式罰金で済むこともあります。示談ができれば不起訴処分になることもあります。起訴された場合には情状により執行猶予判決となることもありますが,同種前科がある場合や計画的で悪質なケースでは実刑となります。
「傷害」とは
傷害罪における傷害とは,法律上「人の生理機能に障害を与えること」と定義されています。いわゆる擦り傷や打撲,骨折などの怪我はもちろん含まれますが,これに限らず,失神,めまい,嘔吐,病毒への感染,中毒症状や,PTSD(心的外傷後ストレス障害)なども傷害罪に該当します。
最近の事件では,職場の同僚の飲み物に睡眠薬を入れて意識障害を生じさせた男性が,傷害罪で逮捕されました。このように,一見すると出血や怪我がないような事案でも,「生理機能に障害」があると評価できるならば,傷害罪となります。
傷害罪と暴行罪の違い
暴行罪と傷害罪の区別は,暴行により,相手方に傷害結果が生じたか否かによります。相手方に傷害結果が生じていなければ暴行罪,傷害結果が生じていれば傷害罪です。相手に怪我をさせるつもりではなく,暴力を振るうだけのつもりでも(つまり,暴行の故意しかない場合),結果的に相手方に傷害結果が生じた場合には傷害罪が成立します。
ちなみに,睡眠薬を飲ませて意識障害に陥らせる場合など,暴行によらずに傷害罪が成立することもあります。
なお,相手方に傷害結果が生じた場合でも,相手方が診断書を取得せず,診断書を捜査機関に提出していない場合には,傷害の結果が立証できないとして,傷害罪ではなく暴行罪として捜査がされ,罰せられることもあります。
暴行事件に強い弁護士へ無料相談
暴行事件となってしまった場合は一刻も早くご相談ください このページでは,暴行罪とはどのような罪で,どのような手続きにより,どのような刑事罰が科され ...
傷害事件は約半数が逮捕される
傷害事件で逮捕されると,警察は48時間以内に検察へ送致し,検察は24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留請求をする場合が多いです。
勾留請求が認容された場合には,原則として10日間,勾留の延長がなされる場合には最長20日間の長期にわたり身体を拘束される可能性があります。
令和3年版犯罪白書によれば,令和2年の傷害事件の総数は20,192件ですが,そのうち,警察で逮捕される等して身柄を確保された件数は10,071件であり,その割合は約49.9%となっています(令和3年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節)。
つまり,2件に1件の割合で身柄を確保される計算となります。
傷害事件は逮捕後,約9割勾留される
令和2年の傷害事件のうち,検察官が勾留請求した件数は9,083件となっており,検察官の勾留請求率は約90.2%もの高い割合となっています。
このうち,勾留が認容された件数は8,569件であり,勾留率(検察官の勾留請求件数のうち勾留請求が認容された割合)はなんと約94.3%もの非常に高い割合となっていることが分かります。
これに対し,検察官が勾留請求をしたものの弁護士が反対意見を述べる等して勾留請求が却下された件数はわずか514件であり,その勾留却下率は約6%にすぎないのです。
つまり,傷害事件で逮捕されると,その後はほとんどの事件で勾留請求され,さらに検察官が勾留請求すると,約9割以上もの事件が勾留されることとなるのです。
ちなみに,中村国際刑事法律事務所において,傷害罪を含めたすべての取り扱い事件における平成28年1月から令和4年11月までの勾留請求却下件数は130件です。
傷害事件で逮捕・勾留を回避するためには
傷害事件で逮捕・勾留を回避するためには,以下のような弁護活動が必要となります。
- 逮捕を事前に回避する(自首など)
- 逮捕されてしまった場合,勾留を回避するための弁護活動を行う(示談など)
一度逮捕されると,その後の勾留率は非常に高いものとなっているため,予め弁護士に相談等することができる場合には,逮捕を事前に回避するための弁護活動を開始することができます。
中村国際刑事法律事務所では,事案によっては,弁護士が警察署へ同行し,自首の間警察署で待機するといった自首同行も行っていますので,検討している方はお早目に弁護士に相談し,自首すべきかどうかアドバイスを得ることが望ましいでしょう。
逮捕されてしまった後でも,早期に弁護士を選任し,迅速に示談交渉を開始する等の必要な弁護活動を直ちに開始することで,その後の勾留や勾留延長を回避できる場合があります。
自首と出頭に強い弁護士
自首と出頭に強い弁護士へ無料相談 「自首」とは,被疑者が誰であるか分からない段階で,自分が被疑者であると名乗り出ることであり,刑法で任意的に減軽さ ...
傷害事件の弁護活動ポイント
傷害事件の弁護活動のポイントは,認め事件の場合は,身柄解放(逮捕時)と示談交渉です。身柄解放と示談とに分けて解説します。
身柄解放について
被害者の怪我の程度が重大な場合や,凶器を使用した場合,逃亡のおそれがある場合等には,逮捕される可能性が高いといえます。
逮捕されると,その後,勾留決定がなされることで,短期で約13日間,勾留が延長されると最大約23日間もの間,留置施設に身柄を拘束されることになります。
その間,学校や会社に行くことはできず,携帯電話の使用は禁止され,家族との連絡も接見により限られた日時でしか行うことができません。
このような不利益は社会生活の基盤を奪いかねない重大な損失となりかねません。そのため,早期に身柄を解放するよう捜査機関や裁判所に対して迅速かつ的確に申し立てる必要があります。
そして,この身柄解放の申立は,単に「早く解放してほしい」と嘆願するだけでは足りません。法律上の根拠を積極的に集めて「身柄を拘束するべきではない(早く解放すべきである)」という法的に論拠のある申立を行わなければなりません。
具体的には,罪証隠滅のおそれがないことや逃亡のおそれがないことを疎明するのです。警察は,逮捕の準備として,被疑者には被害者への圧力や働きかけ,さらには証拠破壊などの罪証隠滅のおそれがあることを示す事情や証拠を収集します。また,逃亡のおそれがあることも主張します。これに対し,弁護士は,そのような罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことを反証して身柄解放を図るのです。
身柄解放のため,弁護士が行うことのできる身柄解放の申立には,以下の例があります。
- 勾留請求回避の申立
- 勾留決定回避の申立
- 勾留決定に対する異議申立(準抗告)
- 勾留延長請求回避の申立
- 勾留延長決定回避の申立
- 勾留延長決定に対する異議申立(準抗告)
- 勾留取消の申立
- 起訴後は保釈請求 等
事案に応じて,他にも様々な申立があります。
傷害事件の示談交渉について
傷害事件の場合,けがの程度によって事件の重大性が大きく変かわり,やはり,けがの程度が重い事件ほど逮捕や起訴の可能性が高まります。
しかし,けがの程度が重くとも,早急に被害者と示談すれば,逮捕回避や起訴回避はもちろん,送検を回避できるケースもあり,当事務所でもそうした解決実績があります。
なぜ,示談交渉が,量刑上,重要な弁護活動の一つなのでしょうか。
それは,傷害罪が,被害者の方の身体を直接に害する(正確には「生理機能を害する」)犯罪であるために,警察や検察官,裁判官は被害者の感情を特に重視するからです。
そして,傷害罪のように怪我を負わされた場合,被害者の方は,通常は直接には犯人とは会いたくないでしょう。被害者からすれば,自分を傷つけてきたような犯人の存在は「恐怖」であり「何をしてくるかわからない」のです。犯人だけでなく,犯人側の家族が謝罪するとしても「結局犯人が有利になるように謝罪してきているだけではないか」などの疑念を持つ場合も少なくありません。
したがって,そのような場合には弁護士をつけなければ,示談を行うチャンスが失われてしまうといえます。
示談交渉について弁護士が解説
示談交渉について弁護士が解説 人間社会の紛争解決に欠くことのできない手段として「示談」があります。 過失で相手に損害や傷害を与えた場合はもちろ ...
喧嘩で双方傷害を負った場合,こちら側も被害届を出せるか
相談者の方の質問によくあるのですが,「喧嘩をしてお互いが怪我をしたのですが,相手が私に対して被害届を出してきたのですが,私も傷害罪で被害届が出せますか」というものがあります。
警察は双方が怪我をしたとしても,捜査初動では,怪我の程度が重い方を被害者と捉え,その被害届を受理する傾向があります。もちろん,相手が先に被害届を出した場合であっても,こちらも怪我をしているなら被害届を出すことは可能です。特に,正当防衛に当たると考える場合には被害届を提出する方向で考えるべきでしょう。
もっとも,注意が必要なのは,もし被疑者とされた側も相手に対して傷害の被害届を提出した場合,被疑者とされた自分の事件について示談成立が困難となることです。怪我をして警察に被害者と認めてもらい,被害届を出して相手に謝罪を求めている者に対し,こちら側も被害届を出すということは,謝罪のための話し合いのテーブルにはつかない意思表示であると思われますので,示談交渉は難しくなるのです。
それでは,双方被害届が出されて,示談もそれぞれできず,結局,事件が検察庁に送致されて処分が検討される際,検察官は,双方が被害届を出し,お互い様なのだから双方ともに不可罰として不起訴になるかというと,そうではありません。怪我の程度が重い方,つまり,警察により先に被害者と認定された方は,仮に加害者とされた方に暴行をふるい怪我をさせたとしても,その程度が軽い場合には不起訴になる可能性はあります。
しかし,先に傷害の被疑者とされ,相手にも重い怪我を負わせた方が,仮に後から自分も怪我をしたとして被害者届を出したとしても,不起訴になるケースはほとんどありません。多くは,双方が傷害罪で略式ないし正式起訴されて,双方前科がつきます。
これは,お上には(検察官には),日本古来の「喧嘩両成敗」という考え方があるからです。忠臣蔵ではないですが,喧嘩は双方処罰しないと不公平だという考えです。戦前の不利判例の中には,判決文の中で喧嘩両成敗に言及したものもあるのです。
暴行・傷害の示談金の相場
暴行・傷害の示談金の相場はどれくらいでしょうか。結論を言うと,ケースバイケースとなります。金額でいえば,例えば10万円で合意する例もあれば,200万円前後,あるいはもっと高額の金額で合意する例もあります。
治療費等の実費を支払うのは当然として,心身の苦痛に対する慰謝料は必要でしょうし,休業損害等を要する場合もあるでしょう。実費や休業損害については,客観的な資料からある程度確定出来ますが,問題は慰謝料です。心身の苦痛はなかなか客観的に計算できず,被害者のお気持ち次第という面があるからです。一般には,犯した罪の法定刑の軽重,犯行の態様,怪我の部位・重大さなど生じた結果・その程度等をもとに,加害者・被害者の社会的立場,示談することに対するそれぞれの意欲・メリットその他様々な事情により定まりますが,実務上,相場や基準というのはないに等しいと言わざるを得ません。
交通事故なら入通院期間に基づく慰謝料等の基準があるにはありますが,それが直ちに暴行・傷害等の故意犯に適用されるべきか,被害者のお気持ちがそれで済むか,という問題があります。
一般に,被害弁償・示談金を決める事情には以下のようなものがあります。
- 怪我の程度
- 治療費等の金額
- その他損失の金額
- 行為の悪質さ
- 犯人及び被害者の属性
その他にも,事案に応じて,様々な事実が加味されるので,上記に列挙したものはあくまで一例となりますが,以下,これらにつき,簡単に解説します。
怪我の程度
金額を決める事情はいくつかありますが,まず一番重要なのは怪我の程度です。比較的軽微な擦り傷や痣ができた程度の場合,診断書に記載される加療日数は1,2週間程度となることが多いです。これは,通常は比較的軽微な事案と評価されます。
これに対し,怪我の程度として比較的重度なものは,骨折などによる手術が必要となるもの,顔面や利き手等に対する重大な怪我を負わせてしまったことでその後何かしらの後遺症が残るもの等があります。
そして,この怪我の程度を示してくれる主な証拠の例は,怪我の写真と診断書のような客観的な証拠です。
診断書については上にも述べましたが,事件によっては,「相手に当たったとは思うが大した怪我は負っていないと思う」等,事件当時の自分の感覚や記憶から相手の怪我の程度を推し量ろうとする犯人もいますが,そのような自分の記憶(=主観証拠)は,怪我の程度を直接に証明する証拠にはなりませんので,注意が必要です。
つまり,「大した怪我ではないと思う」と犯人側が思っているという事実それ自体は,実は怪我の程度には大きく関係しません。
通常は,上記の客観証拠に基づいて怪我の程度が決定されるということです。
したがって,例えば,怪我の程度がはっきりしない等の理由により暴行罪として事件の捜査が開始したとしても,事件後に被害者の方が病院へ行き,診断書等を取得し,これを捜査機関に提出した場合には,捜査機関が適法な診断書であると判断すれば,暴行罪から傷害罪へ切り替えられる場合も少なくないのです。
そのため,当初は暴行罪として事件の捜査が開始したとしても,「相手は怪我していなかった」「傷害罪にはならない」などと安易に思い込まず,弁護士や捜査機関に対し,今後自分に対する捜査の方針が傷害罪となる見込みがあるのか否かにつき,常に確認する必要があります。
治療費,手術費,通院費の金額
上記の怪我の程度と重複する部分もありますが,これら治療費等も示談金額を決する上で重要な要素の一つとなります。
弁護士が示談交渉をする場合には,捜査機関が押収している証拠以外にも実は支出している治療費等がないか,あるいは今後通院を開始する予定がないか等,被害者の方に確認することが少なくありません。
その他損失の金額
事件や怪我の治療等のために会社を休まざるを得なかった休業損害,事件の際に被害者の車や所持品等も破壊してしまった場合の弁償費,犯人と近所で今後の生活が脅かされるのを恐れて転居を余儀なくされた場合等の転居費用等,事案に応じて様々な損失が生ずることがあります。
これらの事情は,捜査機関が全てを把握していない場合も少なくないため,弁護人を通じて,失礼のないよう,被害者の方にどのような損失が生じたかできる限り直接お聞きするのが最善といえます。
行為の悪質さ
一般的に,積極的な悪意や害意を有した行為や,バットやナイフ等の危険な凶器を使用した行為等の悪質な行為は,強く非難され,また相手に与える身体的・精神的苦痛の程度も通常はより大きくなるので,示談金の相場は高くなるといえます。
犯人及び被害者の属性(性別,体格,年齢,特に高齢や未成年か等)
前記の行為の悪質さと重複しますが,一般的に,体力差のある者が非力な者や抵抗力の少ない者(高齢者や若年,非力な女性等)を狙ったような犯行である場合には,非難の程度が高く,また相手の苦痛も大きいといえ,示談の相場は高くなるといえます。
駅員に対する傷害事件での示談について
特に扱いの多い事例として,酔っぱらったまま電車に乗ろうとして,駅員とトラブルになり駅員を押し倒してしまい,怪我をさせたというケースがあります。
近時,駅員に対する暴行事件が増えており,鉄道会社各社は,毅然とした対応ととるところが多く,ほとんどの場合,警察に被害届を提出しています。また,会社の方針として示談交渉に応じない場合が多いです。もっとも,怪我をしたのは駅員という個人ですので,その個人が加害者から謝罪を受けたり,示談金を受け取ることを勤務先の鉄道会社が阻止することはできません。当事務所でもそのような主張を行って示談を成功させ,不起訴処分となった事例があります。
傷害罪で無罪を主張する場合(否認)の弁護活動について
傷害罪の否認事件の例としては,
- 犯人性の否定(自分ではない)
- 傷害の故意の否定(腕を振り払ったら当たってしまった等)
- 正当防衛(相手の攻撃から身を守るためやむを得ず行った行為) 等
実務的に最も多い否認の態様としては,「記憶がない」という否認です。これは,傷害事件の多くは,お酒に酔って引き起こされるからです。泥酔状態で喧嘩をし,相手に傷害を負わせたが,警察に逮捕されて留置場で一晩寝て,朝には酔いも冷め,起きてみると昨晩のことは何も覚えてないというものです。当事務所で扱い事例で最も多いパターンです。勾留するかどうかを決める検察官の立場としては,「覚えてない」という弁解も,「やっていない」という弁解と同じく,否認事件として扱われ,勾留請求します。勾留後の捜査で,引き続き,覚えてない,思い出せないという主張を繰り返すと,否認事件として起訴されてしまいます。
被疑者が記憶にないと主張し,自白がなかったとしても,被害者・目撃者といった事件関係者の証言がはっきりしており,防犯カメラなどの客観的証拠も十分であれば起訴されます。起訴リスクが非常に高いのです。自白がないなら起訴されないだろうと考えるのは間違いです。起訴されて裁判となった場合に,記憶がないとして無罪を取れるかというと,それはほぼ不可能です。
そこで,記憶にない場合の弁護活動は,捜査機関がどのような証拠をどれくらい集めているのかを随時把握することから始まります。起訴前は証拠開示を受けることができないので,担当警察官や検察官からどれだけ情報を引き出せるかが重要になります。
そして,検察官面接などを通して,傷害の証拠が明らかであり,事実は間違いないと弁護士が判断した場合には,早期の身柄解放や示談成功を目指して,事実を争わない方針を採ります。といっても,本人が覚えてないのに「覚えている」と話す必要はなく,覚えていないのに犯行の状況を話すことは無理な話です。検察官も泥酔者の傷害事件の特徴は分かっています。検察官も人の子ですから事件は起こさないにしても飲みすぎて前の日のことをよく覚えていないという経験はあるでしょう。ですから,そういう場合には,弁護士として,次のようにアドバイスします。「当時,お酒に酔って詳細を覚えていませんが,被害者の方がそのように言っているのであればおそらくそうなのだと思います」と。決して「記憶にある,間違いなくやりました」と嘘を言わない,しかし,事件を争わないという姿勢が大切です。というのも,このように事件を争わないという姿勢を見せたとしても,例えば,示談成立にいたらなかったなどの事情で起訴されることがあり,その場合,「記憶喪失」イコール責任能力無しないし限定責任能力しかないなどといった争う余地を残しておくことが大切だからです。捜査段階の取調べで「覚えています」と一旦言ってしまいますと,起訴されて裁判になったときに,「実は覚えていません」と主張したところで,それは信用できない,虚偽であると一蹴されてしまうからです。
酔って覚えていない場合の刑事責任
酔って覚えていないとの主張について 新型コロナウイルスの感染拡大により,ここ数年ほど緊急事態宣言やまん延防止措置が繰り返し出され,飲み会の自粛ムー ...
否認事件の弁護活動を解説
否認事件の場合の弁護活動と解決事例を紹介します 否認事件とは 刑事事件においてよく耳にする「否認事件」とは一体何のことでしょう。 否認事件と ...
傷害罪で正当防衛など正面から事実を争う場合について
酔って覚えていないというケースではなく,人違いである,あるいは,正当防衛であるといった典型的な冤罪を主張する場合には,弁護士としては,早期に証拠保全に動かなければなりません。人の記憶や防犯カメラ映像,現場の状況といった重要な証拠は,時の経過とともにすぐに消えたり散逸してしまいかねないものなので,早急に確保・保全する必要があるのです。
その際,注意すべきは,警察に捜査妨害ないし罪証隠滅行為を疑われないことです。特に,被害者や目撃者への接触には十分に注意すべきです。
正当防衛と認められる基準を弁護士が解説
正当防衛と認められる基準を弁護士が解説 皆さんは「正当防衛」という言葉を聞いたことがありますか。おそらく,多くの方がどこかで耳にしたことがあるので ...
傷害事件の時効について
傷害事件の時効には,刑事事件としての時効と,民事事件としての時効の2種類があります。
刑事事件としての時効とは検察官による公訴権が消滅するまでの期間をいい,民事事件の時効としては被害者側による損害賠償請求権が消滅するまでの期間をいいます。
刑事事件の時効
刑事事件における傷害事件の時効は10年です。
つまり,傷害事件を起こしても,10年間起訴されずに経過すれば,検察官は当該事件を起訴することができなくなります。
民事事件の時効
これに対して,民事事件における傷害事件の時効は,被害者が事件とその加害者を知ってから5年,または事件が起きた時から20年となります。
時効の「ずれ」
このように,刑事事件と民事事件における時効の期間は異なります。
したがって,例えば,被害者側から何ら請求なく仮に5年を経過した場合,民事上の損害賠償はなされないとしても,その後に刑事事件としての捜査が及ぶことも考えられます。
逆に,事件から10年が経過し,刑事上の時効が成立したとしても,その後に民事訴訟を提訴され,被害者側から損害賠償を請求される場合もあり得るのです。
傷害事件に関する刑事事件Q&A
傷害事件に関するよくあるご質問について弁護士が回答します。
Q1: 怪我をした被害者が亡くなってしまった場合はどうなりますか?
人に傷害を負わせ,その傷害によって被害者を死亡させてしまった場合,傷害罪の加重された罪として,傷害致死罪が成立します。傷害罪の加重累型です。
傷害致死罪が認められるには,傷害行為と死亡結果との間に因果関係があれば足り,「死亡させる故意」は不要とされています。
刑法第二百五条(傷害致死)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
Q2: 傷害事件を起こした場合,報道されてしまうのでしょうか。報道を防ぐためにはどうすれば良いでしょうか。
一般的に,報道のリスクが高いタイミングは逮捕時や起訴時なので,逮捕回避や起訴回避に向けた活動が報道のリスク回避につながることになります。
傷害事件の場合,けがの程度によって事件の重大性が大きく変わり,やはり,けがの程度が重い事件ほど逮捕や起訴の可能性が高まります。
しかし,けがの程度が重くとも,早急に被害者と示談すれば,逮捕回避や起訴回避はもちろん,送検を回避できるケースもあり,弊所でもそうした解決実績があります。自分で示談交渉することに行き詰まった際には,早急に弁護士に相談することを推奨します。
Q3: 傷害事件の弁護士費用はいくらくらいですか?
傷害事件の弁護士費用は,在宅捜査や事案簡明などの比較的軽微な事件の場合には,着手金は20万円から30万円前後となることが多いですが,逮捕された身柄事件や難易度の高い事件では50万円以上の場合もあります。また,接見日当もかかるでしょう。
成功報酬は,事案の複雑さや結果の内容等に応じて着手金の同額程度になります。
なお,弁護士費用の他に,被害者の方への被害弁償・示談金等が別途必要となります。
傷害事件に関するご依頼者様の感謝の声
中村国際刑事法律事務所で解決した傷害事件に関する,代表的なご依頼者様の感謝の声をご紹介します。
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準抗告により勾留取り消し,そして示談成立し起訴猶予 結論から言いますと,こちらの事務所にお願いして本当に良かったと思います。 夫が思いもよ ...
当事務所の特徴
「4つ」の強み
当事務所は,「刑事事件に強い」法律事務所として,「4つの強み」を有しています。
ご依頼の流れ
ご相談
まずはお電話やお問い合わせフォームよりご相談ください。
依頼 ~ 弁護活動開始 – スピード感ある弁護活動が特徴です
当事務所は,傷害事件の弁護体制として「即応機動班」を設置しています。
ご依頼いただく場合,即座に機動班の弁護士が警察署に急行,接見(面会)し,経験豊富なチーム内弁護士と共に弁護方針を打ち立て,弁護方針を定めます。
迅速な身柄解放活動 – 元検事による刑事弁護戦略
身柄を解放するため,様々な弁護活動を迅速に展開します。
具体的には,ご家族に身柄引受書をご作成いただき,ご本人に対して身体拘束から解放された後の生活を指導します。
これらの内容を踏まえた意見書を作成・提出し,身体拘束から解放するように検察官・裁判官を説得,身柄解放を試みます。
中村国際刑事法律事務所の特色
中村国際刑事法律事務所では,年間3000件を超えるご相談電話に対応し,そして,数多くの身柄解放,不起訴処分,執行猶予判決を獲得してきました。こうしたご依頼者様から,多くの感謝の声が寄せられ,ご評価いただいております。
中村国際刑事法律事務所に寄せられたご依頼者様からの感謝の声をぜひご覧ください。
中村国際刑事法律事務所がお約束すること
- 簡易な相談は無料でご相談を承ります。
- 初回相談では事件の見通しや手続の流れを丁寧に説明し,勤務先対応についても助言します。
- 弁護士委任契約では,報酬や費用を明記します。契約書に記載のない追加報酬は求めません。
- 受任した場合,即日接見に行きます。
- 担当弁護士の携帯番号を教え,常に連絡が取れるような体制をとります。
事務所に電話しても担当弁護士が捕まらない,折り返しがない,報告がないということはありません。事件進捗に応じて必ず報告します。 - 適切な頻度で接見し(自白事件では少なくとも3日に1回,否認事件では毎日か1日おき),接見したときには必ず状況を報告します。
- 検事や裁判官と交渉し,身柄の早期釈放に努めます。
- 事案によっては,勾留決定に対して準抗告(不服申立)をして再判断を仰ぎます。
- 起訴された場合には,自白事件では起訴当日に保釈請求書を提出し,迅速な保釈の実現に努めます。
- 公判には十分な準備をし,防御と適正な量刑獲得のために全力を尽くします。
- 依存症犯罪(薬物犯罪,性犯罪,窃盗症など)には,専門クリニックと共同で再犯防止のための方策を立案し,裁判に反映させます。
- 判決を受けた後,控訴すべきかどうか,その見通しをアドバイスします。
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当事務所は,刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており,警察捜査の流れ,被疑者特定に至る過程,捜査手法,強制捜査着手のタイミング,あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し,判決予測も可能です。
- 逮捕されるのだろうか
- いつ逮捕されるのだろうか
- 何日間拘束されるのだろうか
- 会社を解雇されるのだろうか
- 国家資格は剥奪されるのだろうか
- 実名報道されるのだろうか
- 家族には知られるのだろうか
- 何年くらいの刑になるのだろうか
- 不起訴にはならないのだろうか
- 前科はついてしまうのだろうか
上記のような悩みをお持ちの方は,ぜひご相談ください。
すぐに対応していただいたことで迅速に対応できた点で,安心できました。
すぐに対応していただいたことで迅速に対応できた点で,安心できました。 休日夜間にホームページから連絡したが,すぐに対応していただいたことで迅速に対 ...
深夜の依頼にも関わらず,翌朝には書類作成,裁判所に出向いていただき,迅 ...
深夜の依頼にも関わらず,翌朝には書類作成,裁判所に出向いていただき,迅速にご対応いただけ,本当に感謝しております。 深夜の依頼にも関わらず,翌朝に ...
世の中の動きが悪くなっている中でも迅速に対応いただけて解決まで早かった ...
世の中の動きが悪くなっている中でも迅速に対応いただけて解決まで早かったです。 初めての出来事でどのように事件の対応が進んでいくのかも全く分からなか ...