宿泊先での複数名への盗撮容疑で不起訴
被疑者がホテルに数日間宿泊した際,ベランダから隣の部屋の風呂に入っていた被害者合計3名をスマートフォンで盗撮したという事例です。
被害者に気付かれ,現場のホテルに警察官が臨場し,警察署に任意同行した後,ご家族からのご相談により受任に至りました。
なお,被疑者はその前にわいせつ電磁的記録媒体陳列罪で書類送検,不起訴処分に至ったという前歴1件がありました。被疑者は国家資格を持つ立場であり,罰金以上の刑に至ると資格を失う可能性があり,前科がつかないようにしてほしいと希望しておりました。
弁護人は被害者3名との示談を早期に進めることとし,不起訴処分を目指しました。
被害者1名とは早期に示談が成立したものの、ほか2名は処罰感情が強いなどの事情から示談がなかなか進みませんでしたが,弁護人が粘り強く交渉した結果,示談成立に至りました。
弁護人は検察官にも不起訴意見を述べるなどして,結果的に不起訴(起訴猶予)処分を獲得しました。
被害者が複数であり,かつ,同種性犯罪の前歴ある場合,全ての被害者と示談できたとしても略式罰金は避けられませんが,本件では被害者全員と示談を成功させた上、検察官を説得して不起訴を獲得した事案でした。
こうした事案のポイントとなるのは,示談交渉における被害感情の強さ,憤りを被疑者にその都度フィードバックすることです。
その過程で,被疑者も,当初は自分が処罰されてしまうことばかり心配していたのが,被害者の精神的なショックや負担を真に理解し,それが検察官による取調べでも,素直な反省悔悟の気持ちとなって現れ,検察官をして,被疑者にもう一度チャンスを与えようという気にさせるのです。
執筆者: 代表弁護士 中村勉
代表パートナー弁護士(法人社員) 中村 勉
代表パートナー弁護士である中村勉は,北海道函館市出身,中央大学法学部(渥美東洋教授の刑事訴訟法ゼミ),コロンビア大学ロースクールLLM(フルブライト ...