複数件の示談対応で執行猶予判決を獲得
事案概要
依頼人は、あるアパートの一室で、他の共犯者とともに投資詐欺の掛け子に加担していました。非常に組織的かつ常習的な詐欺事件であり、10件以上の事案が起訴され、被害額は1000万円を超えました。当初は別の弁護人が選任されていましたが、先行きの不透明さから家族が当事務所に相談し、弁護人を交代することとなりました。
弁護活動のポイント
依頼人から事情を聞く限り、詐欺の故意を争って無罪を主張することは難しい事案でした。
それまでは前任弁護人の指示に従って黙秘をしていましたが、むしろ徹底的に捜査協力し、また被害者の方々への被害弁償を尽くすことで、執行猶予を狙うことを目標としました。
被害額が極めて高額の事案ですが、詐欺罪等の財産犯においては、全額の弁償を尽くすことで執行猶予が付されることがあるので、何とか被害者全員と示談を成立させることを目指しました。
弁護活動の結果
多くの被害者と示談を成立させ、被害金の受領を拒否された被害者の方に対しては供託を行いました。公判では、組織的な詐欺の全容について被告人質問で詳細に話した上、平行して行われていた共犯者の公判にも検察側証人として出廷し、真相解明に尽くしたことを徹底的に裁判官にアピールしました。
その結果、裁判所は、被害額全額の弁償や、被告人の捜査協力や真摯な反省の態度等を指摘したうえで執行猶予判決を下しました。