家出少女を家に泊めて逮捕|未成年者略取罪について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

家出少女を家に泊めて逮捕|未成年者略取罪について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

刑事弁護コラム 家出少女を家に泊めて逮捕|未成年者略取罪について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

家出少女を家に泊めて逮捕|未成年者略取罪について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

 近年,スマートフォンや小型ゲームの普及により,またSNS(会員制交流サイト)やオンラインにより,不特定多数の者と手軽にコミュニケーションが取れるようになっています。
 その反面,「未成年者と一緒に家で過ごしたい」などの思いから,オンラインを通じて,未成年者と連絡を取る手口の犯罪も近年増加しています。中には,「相手が自分の家に来たいと言っているから犯罪にはならないだろう」などと思ってしまう場合もあるかもしれません。
 そのような場合には罪にならないのか,未成年者拐取とはどのような罪なのかなどについて,以下解説いたします。

未成年者拐取とは

 未成年者拐取とは,未成年者に対する略取・誘拐の罪の総称をいいます。
 未成年者とは,20歳未満の者をいいます(民法3条)。婚姻した未成者は,民法上は成年に達したものとみなされますが(民法753条),刑法上は客体からは除外されないものとされています。
 本罪を犯した場合の刑罰は,3月以上7年以下の懲役と規定されています。

未成年者略取及び誘拐 第224条

 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

未成年者略取と未成年者誘拐の違い

 「略取」は,他人をその生活環境から離脱させ,自己・第三者の事実的支配下に置く行為のうち,暴行・脅迫などの強制的手段を用いるなどして人の意思を抑制して行うものをいいます。
 これに対して,「誘拐」は,暴行・脅迫などの強制的手段などにはよらず,偽計・誘惑を手段とするなどして人に誤った判断をさせて行うものをいいます。

親や本人の同意があっても誘拐なのか

 親(保護者)や本人の同意があっても,本罪は成立し得ます。
 本罪の保護法益は,未成年者の自由だけでなく,親(保護者)の監護権も含まれます。そのため,これらの法益を害する場合には,本罪が成立します。
 まず,本人とは,未成年者であり,基本的に20歳未満の者をいいます(民法3条)。
 判断能力の未熟な未成年者が,抵抗できなかったり,うまいことを言われて誘い出されたりすることを罰する犯罪です。そのため,未成年の者の同意があるとしても,犯罪の成立には影響しないといえます。
 また,親(保護者)である別居中の父が,母の監護養育下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去ったという事案において,判例は,略取罪が成立するとしています。
 例外的に,このような行為に出ることにつき,その子の監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情がある場合や家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内に止まる場合には,違法性が阻却されるとされています。

未成年者略取・誘拐の判例

 多くの事件は,犯人による被害者に対しての直接・間接の声掛けをきっかけに,略取・誘拐に発展していきます。
 近年は,スマートフォンや携帯オンラインゲームの普及により,未成年者がSNS(会員制交流サイト)や通信機能を通じて,犯罪者からメッセージを受け取ることで事件へ発展するケースが多いです。

佐賀地方裁判所令和2年12月23日判決

 犯人(39歳男性)は,同様のツイッターで「JK」「家出」などの検索をしたところ,「家に帰りたくない」などと書き込みをしていた被害者(16歳,高校生)を見つけ,「家に来てくれる子はいないかな」などのメッセージを送り,車で連れ回したあと,自宅でわいせつな行為に及びました。同様の前科による執行猶予が下されてからわずか4カ月後の再犯であったこともあり,前刑の懲役刑1年6月に加えて,新たに懲役1年6月の実刑が科されました。

直接の声掛けによる誘拐事件(令和2年12月20日逮捕事案)

 犯人(36歳男性)は,午後4時半頃,顔見知りである近所の男子(13歳,中1)とスーパーで会った際に,「一緒にゲームをして遊ぼう。遊んでくれたらお金をあげる。」などと声を掛け,翌日午前3時半頃まで自宅に連れ込んだ事実で逮捕されました。
 母親から「息子が帰ってこない」との通報を受けた捜査員が,防犯カメラの映像などから男の自宅にいることを突き止めました。

オンラインゲームを通じた横浜市女児誘拐事件(令和2年9月5日逮捕事案)

 犯人(38歳男性)は,オンラインゲームを通じて,「一緒にゲームをやろう」などのメッセージを女児(小4)に送り,9月2日,女児を車でつれ回し,自宅に連れ込んだあと,「家に帰さない」「静かにしろ」などの脅迫的な発言を行いながら,同月5日未明まで女児を誘拐したなどの事実で逮捕されました。

未成年者略取・誘拐で逮捕されたら

 未成年略取・誘拐罪の刑罰は懲役刑のみであり,罰金刑などはありません。起訴された場合には懲役刑が科されることとなる重罪です。したがって,判決の懲役刑の減軽や,執行猶予の獲得を目指すためには,早期からの弁護活動が必要となります。
 弁護活動の中で中心となるのは,主に,被害者側である親(保護者)との示談交渉と,犯人の更生に向けた環境調整となります。
 まずは,被害に遭われた被害者の方に謝罪を申し上げるのが,犯罪を犯してしまった者の最初に行うべき贖罪と言えます。起こしてしまった事実を後から変えることはできませんが,新たな行動により,罪を悔い改めることはできます。
 未成年の方とは示談をすることができないため,示談交渉の相手は未成年の親(保護者)となります。
 事件からの経過が長い程,お詫びの気持ちも伝わり辛くなりますので,行動を起こす場合には早めに弁護士に相談いただくことが大切です。
 また,犯人の更生に向けた環境調整については,事案に応じて,二度と罪を犯さないために必要な対策を一緒に検討・実施していきます。
 事案によっては,わいせつ目的であるなど,性犯罪衝動を有している場合があり,その場合には,性依存症に対する専門治療と平仄を合わせて,対策を講じていきます。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。
 最近のオンライン化の普及により,簡単に未成年者の方と接触できてしまう世の中となってしまっているため,「相手が来たいと言っているから犯罪にはならないだろう」と思ってしまうのは誤りであることが分かったかと思います。どのような状況であっても,未成年者の方を連れ去ることはまず犯罪になり得るということを常に頭に置いておく必要があります。

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公開日: 更新日:

「未成年者略取及び誘拐」に関する刑事弁護コラム

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