被疑者になるとどうなるか弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

被疑者になるとどうなるか弁護士が解説

刑事弁護コラム 被疑者になるとどうなるか弁護士が解説

被疑者になるとどうなるか弁護士が解説

 突然警察から呼び出しを受けたら,あなたはどうしますか。
 警察から呼び出される心当たりがある方もない方も,自分が突然呼び出しを受けた場合には動揺してしまうのではないでしょうか。テレビや新聞で見るように,「容疑者」となってしまうのでしょうか。呼び出しを受けた場合,どうすれば良いのでしょうか。

 今回は,こういった将来の見通しや弁護士に依頼する必要性について,弁護士・岩崎哲也が解説します。

被疑者の定義

 「被疑者」とは,警察や検察などの捜査機関が犯罪の疑いをかけ,捜査の対象としている者を指します。逮捕の有無に関わらず,在宅捜査の場合でも捜査対象とされていれば被疑者となります。テレビのニュースや新聞等の報道機関において聞き覚えのある「容疑者」とは,通常「被疑者」を指す言葉です。
 なお,被疑者とは,警察による捜査の対象となっているものを指し,犯人と決まったわけではない場合を含むため,必ずしも「被疑者」=「犯人」というわけではありません。

被疑者と被告人の違い

 被疑者も被告人も犯罪の疑いをかけられているということは同じですが,捜査・公判の段階によって呼び名が変わります。具体的には,起訴の前後によって呼称が変わります。
 被疑者として捜査を受けていて,検察官が起訴をした場合,起訴後は被告人となります。被疑者であっても,必ず立件・起訴されるわけではなく,弁護人の活動等によって立件・起訴されずとも捜査が終了する場合もあります。
 なお,捜査機関から呼び出しを受けている場合であっても,「被疑者」でなく単なる「参考人」の場合もあります。単に警察から連絡が来ていることそれ自体をもって,自らが「被疑者」としての扱いを受けているとは限りません。逆に,「被疑者」として取調べを受けたとしても,実質は「参考人」に過ぎない場合もあります。
 しかし,呼び出しを受けているということは,捜査機関から,事件に何らかの関係があるとみられていることになります。目撃者・被害者ではないにもかかわらず捜査機関から呼び出しを受けている場合には,捜査機関が自分を当該事件においていかなる立場とみて呼び出しをしているのか,その立場に応じて今後いかなる対応を取るべきなのかなどにつき,事前に弁護士に相談するのがいいでしょう。

被疑者として立件されてからの流れ

 当該事件が立件されたものの,逮捕されず在宅で捜査される場合もありますが,その場合でも,被疑者が警察官からの呼び出しに応じれば取調べが行われます。
 被疑者が逮捕された場合は,警察で捜査した事件であれば逮捕手続きは基本的に警察官が行い,逮捕後すぐに警察官の取調べ(少なくとも弁解録取)が行われます。その場合,警察官は,48時間以内に釈放するか,検察官へ身柄付きで事件を引き継ぐ(「送致」といいます)ことになっています。
 送致後は,警察だけでなく検察官からの取調べも受けることになります。検察官は,送致から24時間以内に,被疑者の勾留の必要の有無を判断し,釈放するか,裁判官に勾留の請求を行います。
 勾留が認められると,まずは請求の日を含めて10日間身柄が拘束され,その後引き続き勾留したうえでの捜査が必要なやむを得ない事情があれば,さらに最大10日間身柄が拘束される(つまり,最大20日間の身柄拘束があり得る)ことになります。
 ちなみに,身柄拘束が必要ないと判断されて釈放されても,それだけで捜査終了とはなりません。身柄が釈放されてからも,検察官が処分を決するまでは,在宅事件として捜査が継続されます。
 在宅事件の場合,逮捕された場合のような身体拘束を受けるわけではありません。しかし,捜査機関からの取調べを受ける立場にあることには変わりなく,捜査機関の要請があった場合に取調べに応じるか否かを判断することとなります(任意捜査ですから拒否できなくはないですが,拒否すれば逮捕されるおそれがあります)。
 被疑者を起訴するかどうかは,検察官によって決せられます。起訴不起訴の判断は,身柄が勾留されている場合は通常勾留期間満了までになされますが,在宅事件の場合はそのような期間の縛りはなく,検察官の判断によります。
 起訴後は,前述のとおり被疑者から被告人の立場となり,裁判が開始されます。

被疑者となったら前科がついてしまうのか

 被疑者となったとしても,必ず前科がつくということではありません。前科とは,判決で有罪の言い渡しを受け,それが確定した場合をいいますから,起訴を回避し,不起訴処分を得ることができれば(あるいは起訴されても無罪判決が確定すれば),前科とはなりません。
 前科がついた場合,法律による資格制限,就職活動への制限など,今後の人生における多大な影響が考えられます。前科がつくかつかないかは被疑者の最大の関心事であり,弁護士に依頼し,不起訴処分等の獲得に向けて具体的に活動をするべきです。
 被疑者が犯行を認めていて,起訴されれば有罪となる(したがって,前科がつく)ことが避けられないような場合であっても,裁判に向け,被害回復等事件への適切な対応,被疑者の生活環境の調整等の対応を採ることで,執行猶予判決の獲得や,刑の軽減につながります。

被疑者になってしまったら

 被疑者となった以上,逮捕されているか在宅事件であるかにかかわらず,捜査機関による捜査が進んでいきます。在宅事件であっても警察や検察官からは取調べのための呼び出しがなされ,必要に応じて供述調書が作成されることになります。この際作成された供述調書は,今後の裁判等の手続きにおいて証拠として扱われます。
 そもそも取調べで黙秘すべきか,話すとしてもどんな話をすべきか,調書作成の際に気を付けるべき点は何か,調書に署名すべきかなど,あらかじめ弁護士に相談し,将来の自分にとって何が利益・不利益になるか,事前にしっかり検討したうえで取調べに臨むべきです。これらの点の検討は,法律の専門家であり刑事事件の経験が豊富な弁護士とともに行うに越したことはありません。
 ちなみに,呼び出しなどを受けた場合,証拠の隠滅や逃走は,逮捕・勾留を相当とする理由とされたり,当該事件の犯意を推認されたりするなど,被疑者にとって不利になることが多いので,やめるべきです。

身柄はどうなるのか

 前述のとおり,逮捕された場合,勾留が決まるまで,まずは最大72時間の身柄拘束が考えられます。その後,勾留の決定がなされると,10日間の身柄拘束が予定され,やむを得ない事情があれば,更に最大10日間の勾留延長が認められることがあります。
 勾留中に起訴の判断がされた場合,通常,保釈の請求が認められない限り,身柄拘束が続くことになります。
 このような場合の弁護活動としては,専門的知識と経験をもとに,保釈等による身体拘束からの解放を求める書面を作成し,検察官や裁判官に対し,その件が直ちに釈放されるべき事案であることを説明・交渉することになります。

弁護士ができること

 被疑者としての扱いを受けている場合,まずは弁護士に相談をするべきです。
 逮捕されれば,少なくとも逮捕直後は,家族等であっても弁護人以外の者が被疑者との面会が許されることは多くはありません。被疑者から事前に事情を聞いている弁護士が逮捕後直ちに接見に行くことができれば,被疑者や家族にとって何より安心ですし,取調べに向けた適切なアドバイスや,身柄解放のための活動を直ちに開始することができます。
 したがって,捜査機関から被疑者として見られていると感じた場合,いち早く弁護士に相談し,逮捕や取調べに備えておくことが必要です。
 早期に弁護士に相談することは,逮捕等への対策だけでなく,被害者がいる事件なら,被害者との間でいち早く示談交渉を開始し,示談を成立させることなどにより,逮捕回避,早期の身柄解放,不起訴処分の獲得等につながり,仮に起訴が予想される事案の場合でも,いち早く減刑の事情を発見し,これを実現・証拠化する準備を早期に始めることにもつながります。
 事案の内容にもよりますが,被害者は,基本的に,被疑者に対して恐怖心,嫌悪感,敵愾心等を抱いており,被疑者やその家族等関係者に連絡先その他の個人情報を教えることをしばしば拒否しますので,被疑者本人やその関係者では示談交渉さえ開始できないこととなりかねません。
 しかし,弁護士という第三者を間に挟むことで,被害者側も,弁護士限りという限定つきで連絡先等を教えてくれ,示談交渉をスムーズに開始できる可能性が高まります。

まとめ

 仮にあなたやあなたの家族が「被疑者」の立場になったとしても,これをもって犯人であると決まったり,必ず前科がつくことになるとは限りません。
 しかし,今後取調べが行われることはほぼ必須であり,今後にとって最善の道を選ぶためにも,弁護士を入れ適切な対応をすることが求められます。警察から連絡があったが自分は今どのような立場なのか分からないとか,この程度で弁護士を入れることが妥当なのかとか,被害者にどういった対応をすべきかなどといったお悩みも,いち早く弁護士にご相談ください。不安の解消や,適切なサポートをすることができます。

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 当事務所は,刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており,警察捜査の流れ,被疑者特定に至る過程,捜査手法,強制捜査着手のタイミング,あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し,判決予測も可能です。

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「被疑者」に関する刑事弁護コラム