裁判員裁判の対象事件で逮捕されたら|裁判員裁判の流れや弁護士の選び方を弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

裁判員裁判の対象事件で逮捕されたら|裁判員裁判の流れや弁護士の選び方を弁護士が解説

刑事弁護コラム 裁判員裁判の対象事件で逮捕されたら|裁判員裁判の流れや弁護士の選び方を弁護士が解説

裁判員裁判の対象事件で逮捕されたら|裁判員裁判の流れや弁護士の選び方を弁護士が解説

 2009年からスタートした裁判員裁判。毎年1000人前後の方が裁判員に選ばれています。まだ選ばれたことが無い方も近い将来,もしかすると今日にでも,裁判所から候補者通知が届くかもしれません。テレビや新聞で見聞きするだけの他人事ではないのです。そして,いざ自分が裁判員に選ばれたとき,そもそも裁判員裁判とは何か,どんな事件をどんな流れで審理するのか,通常の裁判とは違うのか等,様々な疑問が生じ,不安に思うかもしれません。その疑問を解消し,また不安を取り除く一助となるよう,以下,ご説明いたします。
 また反対に,自分が裁判員裁判対象事件の被告人になってしまったとき,その手続きの大枠を知っていることは大切です。もしかすると「そんなの依頼した弁護士に聞けば教えてもらえるだろう」と思われるかもしれません。しかし,そもそもどのような弁護士に依頼するのが良いのか,それを判断するためにも手続きの特色を知っていることは有用です。そこで,そのような観点をも踏まえたご説明をいたします。

裁判員裁判とは

 裁判員裁判とは,国民の中から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加し,裁判官と共に有罪無罪や量刑を判断する制度です。裁判員制度は一定の重大事件について,国民の中から選任された裁判員が,裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することによって,司法に対する国民の理解及び信頼を高めることを趣旨として導入されたものです。

裁判員裁判の対象事件

 対象となるのは,法律で定められた一定の重大犯罪に関する事件です。
 具体的には,①死刑や無期懲役・禁錮に当たる罪に関する事件,②地方裁判所で合議体で取り扱う事件のうち,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関する事件,の2種類が対象となります。
 例えば,殺人,強盗致死傷,現住建造物等放火,傷害致死,保護責任者遺棄致死,危険運転致死などに関する事件がこれに当たります。

裁判員裁判と通常裁判の違い

 裁判員裁判では,裁判員が審理に直接参加し,有罪無罪や量刑の判断まで行わなければなりません。それに伴い,裁判員の社会生活上の影響をできるだけ少なくするため,短期間で集中的に公判が開かれています。
 また,審理を短期間で行えるよう,裁判官・検察官・弁護人の三者で公判前整理手続きという事前準備の手続きを行い,そこで争点や証拠を整理することになります。

裁判員裁判の流れ

 裁判員裁判の大まかな流れは,まず裁判官・検察官・弁護人が公判前整理手続きを行い,それを踏まえて,裁判員が参加し公判期日評議判決を行うというものです。

(1)公判前整理手続き

 裁判員裁判では審理に必要な期間等が明らかになっているとともに,その負担を最小限にする必要があり,そのためには事前に十分な争点及び証拠の整理を行い,連日的な開廷を可能にする審理計画を策定する必要性が高いため,公判前整理手続では,争点整理,証拠の開示,取り調べる証拠の決定,スケジュールの決定が行われます
 まず検察官が証拠によって証明する犯罪の事実を明らかにするとともに,その証拠の取り調べを請求し弁護人に開示(閲覧やコピーの機会を与えること)します。これに対して弁護人は,その証拠を公判で取り調べてよいか意見を述べなければなりませんが,その前提として検察官が持っている他の証拠も見て検討する必要があります。そこで弁護人は,検察官の持つ特定の証拠のうち重要なものを指定して,開示するよう請求することができます(これを類型証拠開示といいます)。こうして開示された証拠をもとに弁護人は,検察官が請求した証拠が本当に事件と関係があるか,事実認定を誤らせるような問題のあるものでないか等を検討し,その証拠を公判で取り調べてよいか意見を述べます。
 次に弁護人が自らの主張を明らかにするとともに,その証明に用いる証拠の取り調べを請求し検察官に開示します。これを受けて検察官が,その証拠を公判で取り調べてよいか意見を述べます。

(2)公判期日

 裁判員は前述の公判前整理手続には参加しませんので,この公判期日から公判に参加することとなります。期日は数日から一週間以内であることがほとんどです。公判は皆さんがテレビドラマなどで見たことがある刑事裁判での法廷シーンをイメージしていただければ良いと思います。
 公判の流れをおおまかに説明しますと,まず,冒頭手続きが行われます。次に証拠調べが行われた後,最後に,検察官の論告求刑と,弁護人の最終弁論,という流れとなります。
 冒頭手続きでは,被告人が起訴状記載の本人か確認するための人定質問が行われ,続いて検察官による起訴状の朗読が行われます。次に裁判長から被告人に黙秘権の告知,被告人が起訴状の内容を認めるか否かの罪状認否と続きます。
 冒頭手続きが終わると証拠調べが始まり,検察官,弁護人の順で冒頭陳述が行われます。冒頭陳述では起訴状記載の事実よりも詳細に事件が語られ,検察官,弁護人が証拠調べによって証明しようとしている事実が陳述されます。この冒頭陳述は両者の視点から事件が語られるため,その内容には相違があります。証拠物や供述調書,証人尋問,被告人質問等の証拠調べは,上記両者の主張する事実を証明するために行われるのです。裁判官(裁判員)は両者の主張を聞きつつ何が事実として認定できるのかを判断しなければなりません。
 証拠調べが終わると最後に検察官の論告,求刑,弁護人の最終弁論となります。
 論告では検察官が審理の結果に基づいて,事実及び法律の適用に意見を述べ,求刑では被告人に科すべき刑罰について意見を述べます。最終弁論では弁護人は検察官の意見に対して反論し,また,被告人の現在の心境などを語ります。

(3)評議

 法廷での審理が終わると評議が行われます。評議は,裁判官と裁判員によって評議室で非公開にて行われ,裁判官と裁判官それぞれが一票を有した多数決によって有罪か無罪かが判断されます。ただし,有罪と判断する場合は,裁判官,裁判員のそれぞれ1名以上を含む過半数の賛成が必要です。有罪と判断された場合さらに刑の重さについて判断します。意見が分かれた場合は被告人に最も不利益な意見の数を順次,利益な意見の数に加えて,裁判官,裁判員のそれぞれ1名以上を含む過半数に達した中で最も利益な意見に決定します。

(4)判決

 評議に基づいて法廷で判決が下されます。被告人または検察官は判決に不服があれば,2週間以内に控訴することができます。控訴審は裁判官のみで合議体が構成されます。

裁判員裁判で弁護士に求められる能力

 裁判員裁判では,普段,法律になじみのない一般の市民が判断を下すことになります。そのため,裁判員に対していかに難しい法律用語を避けながら被告人の主張を伝えることができるかが大きな鍵となります。そして,同時にパフォーマンス力も必要となってきます。例えば,法廷で弁護士がずっと書面をみながら淡々と自らの主張を話し続けていたらどのように感じるでしょうか。たとえ,その話している内容が説得力のあるものだとしても,きっと裁判員の心には響きません。
 逆に,法廷の中で,被告人の生い立ちや犯行に至った背景にストーリー性をもたして,熱く語り掛ければ,きっと裁判員の心を動かすことにつながります。裁判員もあなたと同じ一市民であり,人間です。結論が決めきれない場合,最終的に動かすのは論理だけでなく,気迫や熱量がその結論を左右します。このように,弁護士には,裁判員にメッセージをより強く届けることができる能力が求められます。

まとめ

 裁判員裁判についてご理解いただけましたでしょうか。裁判員に選ばれてしまった時のために是非とも参考にしてください。また,裁判員裁判の被告人となってしまった場合は当事務所にご相談ください。

tel mail

Pocket

「裁判員裁判」に関する刑事弁護コラム

tel mail