覚醒剤や麻薬の密輸ビジネスと冤罪を弁護士が解説
覚醒剤や麻薬の密輸について,多くの方は,自分には全く関係のないことだと思うのではないでしょうか。しかし,海外旅行先で,「日本にいる友人にお土産を渡してくれ」,と言って渡されたお土産が覚醒剤であったというケースなど,何も知らないままに密輸に関わってしまう例も少なくありません。コロナ禍で減少していた海外旅行者数も,現在は増加傾向にあります。
覚醒剤・麻薬等の違法薬物の密輸の手段や刑事手続きについて理解しておくことは,いわれのない罪を疑われて不利益を被る危険から身を守ることにつながります。
以下,覚醒剤・麻薬などの違法薬物の密輸の手段について,弁護士・坂本一誠が解説いたします。
密輸ビジネスとは
国際的な覚醒剤・麻薬密輸組織はビジネスとして覚醒剤・麻薬などの違法薬物の密輸を行われています。ビジネスですから,彼らは,できるだけコストがかからず,捜査機関による犯罪組織摘発のリスクが少ない方法で違法薬物の密輸を行うのです。航空貨物による覚醒剤や麻薬の密輸のケースにあっては,密輸の事実を承知している者に受取人となってもらい,その者宛てに違法薬物が隠された航空貨物を空輸することによって密輸を実行することがあります。
密輸という事情を知っている貨物受取人に対しては,その者が摘発されるという高いリスクを負うことを知っていることから高額な報酬が求められ,それが支払われることが多くあります。密輸という事情が発覚すればば重罪で長期間刑務所に入るリスクがあることから,依頼人に対し,高額な報酬を要求するでしょう。
しかも,FBIやDEAのような国際捜査機関が,捜査に協力した末端関与者に報奨金を支払うことがあり,そのような密輸の関係者であれば,報奨金目当てに寝返る可能性もあります。また,密輸について知っていた関係者は,逮捕された場合に,捜査機関から寛大な取扱いや刑事免責を受けることと引き換えに,情報を捜査官に提供することがあります。
このため,事情を知っている者を利用する場合,高額な報酬が必要となることが多いのです。
知らずに加担してしまう密輸行為
一方で,違法薬物の密輸をしようとしていることを知らない者を騙して,つまり,送られてくるものが覚醒剤や麻薬であることを隠して受取人となることを承諾させ,その者を利用して密輸を実行することもあります。
コロナ禍以前は,海外旅行先で知り合った人に「お土産を国内の友人に渡してほしい」などと頼まれ,覚醒剤とは知らず薬物を運ぶケースが多くありました。コロナ禍においては,旅行の機会が減り,国際郵便を用いた犯行も増えました(出典: 岐阜新聞 2022年8月5日朝刊25面)が,海外旅行者数が増えてきた現在においては,再びこのように薬物を運ぶように頼まれる機会も増えていくことでしょう。
違法薬物の密輸の事情を知らない貨物受取人については,リスクに対する認識がなく,海外から日本にお土産を持ち込むだけであれば大した手間ではないとして無報酬ないし低価な報酬で依頼し,引き受けてもらうことができるということになります。
これは,航空貨物便を利用する密輸に限らず,運び屋が現に違法薬物を日本国内に持ち込んで密輸する場合にもあてはまります。二重底のスーツケース等に覚醒剤や麻薬を隠しておいて,何も事情を知らない者に,中には宝石や骨とう品,化粧品など合法的なものが入っているので,これを持ち帰って日本の友人に送ってくれなどといって騙して依頼するのです。
こうした依頼を引き受ける者がその二重底自体に気づかない場合,あるいは,二重底の中身が覚醒剤や麻薬などの違法薬物であることを知らないような場合は,依頼人に対して高額な報酬などは要求することはまずありません。
こうした諸事情から,国際的な覚醒剤密輸組織は,ビジネスとしてのコスト計算とリスク考量により,組織摘発の危険が少ない方法,即ち,密輸という事情を知らない者を貨物受取人とすることが近時増えています。事情を知らない者であれば,高額な報酬を要求しないばかりか,報奨金目当てに捜査機関に寝返るという心配もなく,また,彼らは組織に関する情報を何も持っていないので,仮に捜査機関に密輸が発覚したとしても,捜査機関に組織についての情報がリークされるというリスクもないのです。
かくして,何を運んでいるか真実を知らないまま合法なものと信じてスーツケース等を日本に持ち込んだ者が,覚醒剤や麻薬の密輸として摘発され,逮捕・勾留され,さらには起訴されることは多々あります。その場合,事案によっては,10年や15年といった長期の懲役刑判決を受けことすらあります。
当事務所では,このような冤罪事件で,無罪を勝ち取った実績があります。
覚醒剤や麻薬の密輸で逮捕されたら弁護士に相談を
逮捕された場合には,逮捕の翌日又は翌々日に検察庁に送致され,検察官の取調べ(弁解録取)を受けます。その際,検察官は,被疑者を10日間留置する勾留を裁判所に請求するかどうかを決定します。裁判官が勾留決定をした場合には,検察官の勾留請求日から数えて10日間,留置施設に留置されることになります。
検察官が勾留請求しない場合や裁判官が勾留請求を却下した場合には即日釈放されますが,こういった覚醒剤,大麻の密輸事件等は重大事案であり,釈放される可能性は極めて低いです。
また,勾留された後,検察官は勾留延長の請求を裁判所にすることができます。勾留の延長が認められると,最大で更に10日間の身体拘束が続きます。
身体拘束を受けている期間,捜査機関からの取調べが行われます。取調べにおいては作成された調書は裁判において証拠とされるため,冤罪を争う場合は,一刻も早く弁護士に相談をし,方針について話し合い,今後の方針を一緒に考えていく必要があります。
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当事務所は,刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており,警察捜査の流れ,被疑者特定に至る過程,捜査手法,強制捜査着手のタイミング,あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し,判決予測も可能です。
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