誤った痴漢冤罪対処法について|正しい痴漢冤罪対処法を弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

誤った痴漢冤罪対処法について|正しい痴漢冤罪対処法を弁護士が解説

刑事弁護コラム 誤った痴漢冤罪対処法について|正しい痴漢冤罪対処法を弁護士が解説

痴漢を疑われたら一刻も早く弁護士に連絡を

 近くの女性に「触ったでしょ。」「やめて下さい。」などと電車内で突然言われ,痴漢を疑われ駅で降ろされたとき,あなたにとって「逮捕」「実名報道」「家庭崩壊」といった危機状況が現実のものとなります。痴漢を疑われたらまずはすぐに弁護士に連絡することが大切です。
 痴漢を疑われた場合,その場から「逃げる」ことを勧める弁護士もいますが,私たち中村国際刑事法律事務所の弁護士からしますとそのようなことはお勧めできません。次に説明するように,痴漢の現場からの逃走は大きなリスクを抱え込んでしまうからです。とにかく電車での通学中,通勤中に痴漢の犯人と疑われたら,一刻も早く弁護士にご連絡ください。

痴漢冤罪にもかかわらず駅員室に連れて行かれ,警察署に行くことになったら

 電車で痴漢の疑いをかけられ,停車後にホームに降ろされると,騒ぎを知って駆け付けた駅員に誘導されるかたちで,駅事務室へ行くことになります。駅事務室に着くと,駅員は被害者の意思を確認して管轄の警察署に通報します。通報を受けた警察官が駅に臨場した後,そのまま身柄は警察官に引き渡されるのが一般的です。
 痴漢被害を訴える被害者や目撃者に腕などを捕まえられて電車を降ろされると,その時点で「私人逮捕」ないし「常人逮捕」が成立していることが多く,その後の警察官への引渡しは「引致」となります。ですから,私人逮捕が成立している場合には,警察署への同行は任意ではありません。もう逮捕されているのです。
 そうすると,「駅事務室に行く」→「警察署へ連行される」=「逮捕される」ということを意味するので,痴漢の疑いをかけられた者としては,駅事務室に連れていかれる前に,駅構内から「逃げる」ことが頭をよぎるのはむしろ自然なことでしょう。

 しかし,その場から逃げることには,次のようなリスクを伴います。

逃げることで発生するリスク

有罪推定の警察・司法システムの下での痴漢検挙

 痴漢で被害に遭われる被害者の屈辱感や無力感は,実際に痴漢被害に遭った方でないと理解できないほど強く深刻です。人間の尊厳や人格の主体性を否定され,単なる性的好奇心の対象のようにモノとして痴漢の対象にされるのです。弁護士から見ても,痴漢は憎むべき卑劣な犯罪です。
 一方で,痴漢がそのように卑劣な犯罪であればこそ,無実の人が痴漢犯人として間違われ,痴漢の犯人として逮捕され,勾留され,濡れ衣を着せられることほど耐え難いことはありません。この屈辱感もまた実際に痴漢冤罪に巻き込まれた人でなければ理解できないでしょう。
 しかし,弁護士が感じるのは,現在の司法システムの弊害は現実的には無罪推定という理念で仕組みが不完全であるということです。ある無実の男性が電車の中で突然「この人,痴漢です」と女性に声を挙げられ腕を掴まれたとします。その男性は抗議する間もなく駅員に引き渡され,その駅員に「痴漢はしていません」と言っても,「駅員室まで来てください。警察官がすぐに来ますから。」などとあしらわれて駅員室まで連れていかれ,その後間もなく警察官が来て,二言三言のやり取りはあっても「詳しいことは署で聞くから」などと警察官に言われて,パトカーで警察署まで連れていかれてしまいます。警察署の取調室でも,痴漢はやっていない,これは冤罪だなどと主張するものの,そのまま逮捕。
 さらに,翌日には検察庁に連れて行かれ,さらに裁判所にも連れていかれ,10日間の勾留が決定するのです。このことからも自分の身を守るため,すぐに弁護士に連絡することの重要性が分かると思います。痴漢冤罪から身を守るためには,弁護士が必要となるのです。

逃げた方が得か

 以前,テレビ番組で人気弁護士が「痴漢に間違われたら全力で逃げろ」と勧めており,それが痴漢冤罪の”対処法”として流布したことがありました。問題はその弁護士の対処法が,痴漢冤罪に巻き込まれた者の対処法のみならず実際に痴漢をやった者の,逮捕・処罰されないための対処法としても広がったということです。
 こうした”痴漢冤罪の対処法”がまかり通る背景には,上記で述べたように,現在の警察・司法システムが,「無罪推定」の理念で制度設計されておらず,「有罪推定」で作られているからです。
 痴漢では,客観的な証拠や目撃者などの証人がいない場合が多く,被害者の供述だけで逮捕され,起訴され,痴漢で有罪とされるという捜査や裁判の実態があるのです。
 確かに,痴漢の被害者の供述が信用できる場合には,法律上は他に客観的証拠や証人などがいなくても,有罪にはできます。
 テレビ番組の人気弁護士からすれば,そういう冤罪となるリスクを抱えるくらいなら全力で逃げ通して刑事司法手続に乗っからない方が良いとのリスク判断があるのでしょう。この冤罪リスク自体,否定しません。

その場から逃げ出せたとしても不安が

 現場である駅から逃げ出せたとしても,不安は常に付きまといます。冤罪であって自分は何もしていなかったとしても不安は生じるものです。「警察はいま自分を探して捜査しているのではないか」,「明日の朝,警察が自宅にやってくるのではないか」,「もう警察から会社に連絡が行って,会社の人事部は事件のことを知っているのではないか」など,不安は尽きません。
 現場となった駅に近寄る気持ちになれず,電車に乗っても被害者に見えて落ち着きません。そして,自分の無実を証明する機会は永久に失われたのではないかと思うかもしれません。
 私たち中村国際刑事法律事務所では,逃げることで4つのリスクがあることもお伝えしたいと思います。

痴漢冤罪で現場から逃げることで発生する4つのリスク

勾留されるリスク

 痴漢冤罪事件に限らず,逮捕や勾留は,犯罪を行ったと疑うに足りる相当理由と,身柄拘束の必要性が要件となります。「身柄拘束の必要性」というのは,罪証隠滅のおそれ,逃亡のおそれ,住居不定などの事情です。被害者に口止めをするなどの罪証隠滅行為を防止するには被疑者の身柄を拘束し,被害者と接触できないようにしなければなりません。また,捜査を継続実施するには被疑者に逃走されては不都合です。こうした事情から逮捕されたり,勾留されたりするのです。
 本来なら逮捕だけで済み,勾留されないケースであったにもかかわらず,痴漢を疑われ逃走したがゆえに勾留されてしまうリスクがあります。現在の実務では,痴漢として被害届が出され,その容疑を否認している場合,逮捕・勾留を避けることはなかなか難しいですが,痴漢容疑否認のままでも裁判官は勾留を却下することがあります。ところが,もし痴漢の被疑者となった者が現場で逃走を図っていたなら「逃亡のおそれあり」などとして,裁判官も勾留決定するのがほとんどです。つまり,現場から逃げるということは,逃走のおそれを示す最も強力な事情となるため,逃げ通せなかった場合には,逃げなかった場合には逮捕されないか,逮捕されても勾留されずに2日程度で釈放されたものを,逃げ出したが故に一定期間(最長23日間)身柄を拘束されてしまう,そんなリスクが発生します。
 それは取りも直さず勤務先を解雇されるリスクにつながっていきます。10日間も身柄拘束されると,体調を崩したでは説明できなくなるからです。何といっても携帯電話に出ることさえもできないのですから。会社の重要な会議書類を鞄内に入れたまま警察署に留置されてしまうこともあるのです。もっとも,逃げなくても容疑を否認すれば逮捕され,勾留されるリスクはあります。ただ,近年は,裁判官が勾留請求を却下する傾向が強くなっています。

 痴漢事件に強い中村国際刑事法律事務所では,元検事の弁護士3名をはじめ実績豊富な弁護士が在籍しており,依頼者が痴漢冤罪主張を維持し,弁護人が否認を維持するよう助言した事例で,否認にもかかわらず勾留請求が却下された実績が多数あります。

保釈請求が却下されるリスク

 次に,起訴の場面にあっても,同様のリスクがあります。逮捕・勾留された被疑者であっても,起訴後は保釈制度があるので,保釈により釈放されるのが通常です。捜査の過程で痴漢容疑を否認し続け,無罪主張を貫き通した場合であっても,被害者の供述が迫真的であるなどとして検察官が起訴に踏み切る可能性があるのですが,否認であっても,現在では保釈が認められるケースが多いです。
 しかし,もし,痴漢犯人として検挙された当時,逃走を図って取り押さえられたといった事情がある場合,その事情が保釈の判断にあたって不利に働く場合があります。保釈不許可事由に「逃亡のおそれ」は含まれていません。保釈に際しては,「逃亡のおそれ」の解消は保釈金の設定で担保しようという考えがあるからです。高い保釈金を設定すれば,それが没取されるリスクを冒してまで逃亡しないであろうという考えです。但し,検挙時に逃亡したという事情は,被害者への接触や偽装工作の機会を確保しようとしたと判断される余地があり,罪証隠滅のおそれがあるとして保釈不許可となる可能性があるのです。そうすると,起訴後も身柄拘束が続くことになります。検挙されたときの行動がその後の手続に大きな影響を与えるのです。これも「逃げる」ことのリスクです。

有罪の情況証拠になってしまうリスク

 裁判において痴漢を行ったか否かが争点となる場合,裁判官は,行為時の状況だけではなく,行為前後の状況を総合的に判断して有罪か無罪かを決定します。行為前の事情としては,被告人が通勤経路とは関係なく電車で各線を行ったり来たりしているなどの不審行動をとっていないか(痴漢のターゲットの物色行為や痴漢常習犯と評価される可能性があります)などです。行為後の事情としては,まさに逃走していないかが有罪無罪を決める重要な事情の一つになります。
 もちろん,痴漢に遭ったと被害を主張する被害者の証言は最も重要な証拠,直接証拠になりますが,その証言が信用できるかどうか,逆に,痴漢をやっていないと主張する被告人と弁護人の方が信用できるかどうかは,情況証拠の認定にかかっています。そして,検挙時に,痴漢を疑われ被告人が逃走を図ったということは,被告人に非常に不利な情況証拠として働きます。
 経験則に従えば,「犯人」は犯行を行ったが故に捕まりたくないという心情をもつので,「逃げる」という行動はそのような「犯人」の心情の表れでもある訳です。「やったから逃げたのだろう。」と思われてしまうのです。痴漢をやっていないのなら,逃げる必要がないではないかと裁判官は考えるからです。
もちろん,冤罪でも逃げたいという心理状態にはなります。「冤罪を証明できないのではないか」,「刑事手続に巻き込まれる面倒を避けたい」,「冤罪であっても家族や勤務先に知られたくない」などの心理状態になることもあるからです。しかし,「やったから逃げた」,つまり,「逃げた」→「実行した」という推認力は,痴漢に限らず,泥棒,傷害,殺人などあらゆる犯罪に共通する行動なのです。
 そのとき,弁護士が「司法は有罪推定でできあがっていて,逃げないと無実の者も有罪とされてしまうのです。だから逃げたのです。」と裁判官に向かって言っても,裁判官は,まさにその批判の矛先となっている「司法」の一員ですから,説得力を持ちません。裁判官は自己否定をしません。結局,不利な事実として有罪の決め手となってしまい,誤った有罪判決を導いてしまうのです。こうして冤罪は生まれるのです。

逃走は新たな犯罪を生み,自傷他害のリスク

 正当理由なく線路内に立ち入ることは鉄道営業法違反となります。また,逃げる際に被害者や他の乗客に接触して転倒させるなどすれば暴行罪や傷害罪となります。警察官から逃げようとして暴行を加えれば公務執行妨害罪です。また, 線路内に立ち入って電車を止めてしまった場合には,巨額の損害賠償請求をされるリスクもあるのです。
 さらに,転落事故となって,自分自身,あるいは,他の乗降客を傷つけ,死亡させてしまい,取り返しのつかない事態となることもあります。

 このように,現場から逃走することには様々なリスクを伴います。ではどうすれば良いか。年間数十件もの痴漢事件を担当し,またそれを遥かに上回る痴漢事件のご相談を受けている経験から申し上げます。

痴漢冤罪における対処法

駅員にはっきりと「やっていない」と伝える

 痴漢と間違えられ,電車から降ろされ,駅事務室に連れていかれたとき,最初にすべきことは,駅員に対し,「私はやっていない」ときちんと伝えることです。後々の裁判に際して,被告人が検挙された際にどのように言っていたかは,有罪無罪を決する一つの情況証拠になります。
 駅員の証言で,「被告人は最初からやっていないと言っていました」と言ってもらうためにも,やっていないならその旨毅然と第三者に伝えることが大切です。駅員の証人確保という意味でも適切です。第三者の乗降客ですと,後で連絡が取れなくなったり,裁判に協力してくれなかったりするからです。

家族に連絡して警察署に来てもらう

 次に行うべきことは,携帯電話で家族に連絡することです。家族に連絡して急行してもらうのです。すぐに警察署に連れていかれるので,家族には「まっすぐ警察署に来てほしい。」と依頼して下さい。どこの警察署が管轄かは駅員が教えてくれるでしょう。その際,家族には印鑑を持参するように言って下さい。駅事務室に連れていかれてから警察官が臨場するまでに10分程度以上の時間的余裕があります。この間に家族に連絡することができます。
 どうして家族に連絡して警察署に急行してもらうことが大切かを説明します。それは,家族に「身柄引受書」を書いて提出してもらい,捜査協力を誓約させることが重要だからです。既に述べたように,逮捕や勾留は,罪証隠滅のおそれ,逃亡のおそれ,住居不定などの事情が認められる場合に行われます。痴漢を疑われている者は電車利用者,一時的な乗降客です。なんという名前でどこに住んでいて,家族がいるのか,仕事はしているのかなど何も分かりません。警察官としてもそのような者の身上関係を確認もせず,逮捕せずにその場から帰してしまうと,後で所在が分からなくなって捜査ができなくなり,事実上,不問に付されてしまう可能性だってあります。そんなことになったら被害者は黙っていません。捜査ミスを指摘するでしょう。警察はそのことが頭にあります。
 一方,家族が警察署に急行してくれて,その身分証明書等から家族であることが確認でき,氏名も住所も確認でき,そのうえ,「今後,警察署や検察庁から本人に対して出頭要請があれば責任をもって従わせます」,「家族ですから本人に逃亡などさせません」などと誓約する「身柄引受書」に署名押印して提出すれば,警察も本人の逃亡のおそれは低いとして釈放して在宅捜査とすることがあるのです。また,仮に逮捕したとしても,勾留請求の段階で釈放されたり,勾留却下となって釈放される可能性が高まるのです。こうして,逃げることなく,警察署へ連行されたとしても釈放される可能性が高まり,仮に逮捕されたとしても翌日頃には勾留が認められずに釈放される可能性が高まるのです。
 つまり,「駅事務室に行く」→「警察署へ連行される」≠「逮捕される」を可能とするのが,この家族による「身柄引受書」の提出なのです。身柄引受書の書式ひな型はどこの警察署にもありますから,文章をどのようにするか考えることなく,署名押印すれば良いのです。

「名刺を渡すなどしてそっとその場を立ち去る」という対処法は現実的か

 痴漢被害を訴える被害者に捕まり,駅事務室への同行を駅員に求められても,その要請に強制力はなく,駅員の指示に従う義務もないので,駅事務室に行かないという選択も当然あり得ます。冤罪であれば,どうしてこんなことに時間を使わなければならないのだという憤激もあるでしょう。弁護士の中にも,「痴漢冤罪なので理屈では指示に従う義務はない。『私はやっていません。』と言い,名刺を渡して(あるいは名刺も渡さないで)そっと静かにその場を離れるのが良い対処法であるとアドバイスする方もいます。それは理屈としては正しい対処法なのですが,現実はそうは許さないのではないでしょうか。
 きっと,被害者や駅員は,痴漢犯人とされている者をそのまま黙って見送りはしないと思います。「ちょっと待ってください,この方が痴漢の被害に遭ったと言われているので駅事務室まで来てください」「そんな義務はないから,急いでいるし失礼する」,「そうもいきませんのでちょっと待っていただけませんか」…この繰り返しが高じてお互いのやり取りもエスカレートし,無理に逃走する「形」になってしまうのが目に見えています。「そっとその場を立ち去った」つもりが,被害者や駅員は,「逃げた」と見られる可能性があり,逃亡のリスクを負いかねません。適切な助言を受けるためにも具体的な状況を弁護士に伝え,迅速にアドバイスを受けることをお勧めします。

 では,実際に弁護士に依頼する必要があるのかどうか,また,弊所へご相談いただいた場合の対応についてご紹介いたします。

弁護士に連絡し,依頼する必要があるか

 駅事務室に誘導され,警察官が到着するまでの間,上記のように家族に連絡するほか,取調べ対応などのために,弁護士にも連絡することもできます。しかし,弁護士を依頼しなくても,上記のアドバイスに従えば,釈放される可能性があります。
 当事務所では,偶に,駅事務室からの緊急の相談電話を受けることがあります。上記のように,家族を呼ぶべきことなど一通りのアドバイスを行い,相談を終了して電話を切った後,その相談者から2,3時間後位に再び電話をもらい,「指示どおり家族にきてもらって対応した結果,今,釈放されました。嬉しく電話しました。ありがとうございました。」とのお礼のお言葉をいただいています。ですから,弁護士を雇わなくても,適切な行動でこの緊急事態を乗り越えることはできます。
 しかし,家族が遠方に住んでいたり,近くに住んでいても電話に出ないなどの状況にある場合,費用がかかったとしても,弁護士を依頼し,対応してもらうことになります。また,弁護士の力を借りずに釈放されたからと言って捜査が終わったわけではなく,単に,身柄を拘束したままの「強制捜査」方針から,在宅での「任意捜査」方針に変更されただけですので,その後も,取調べなどの捜査は続き,起訴されるか不起訴となるかのせめぎ合いは続きます。何らかの形で示談解決が必要な状況も出てきます。そのときには,やはり,被害者対応を含めた対応のため,弁護士を雇うことは必要となるでしょう。どうせ弁護士を雇うのであれば早く依頼した方が良いですし,弁護士費用が変わる訳でもありません。
 その際,知っている弁護士がいれば問題ないですが,ほとんどの方は知り合いの弁護士などおりませんでしょうから,インターネット検索で弁護士を探すことになります。弁護士をネットで探して電話をしてもすぐに対応してくれるとは限りませんし,経験の少ない弁護士であれば適切な助言をしてくれるとも限りません。

 弊所では,駅事務室に置き留められている痴漢冤罪の当事者から携帯電話で相談を受けた際,弁護士が,上記のような,家族への連絡の必要性その他のアドバイスを行っています。
 ご依頼があれば,警察署に弊所の弁護士が急行し,警察に即時釈放を訴えます。遠方に家族がいる場合には,FAX等を駆使して身柄引受書の確保を図ります。場合によっては,例外的ですが,弁護士自身が身柄引受人になることもあります。
 ところで,逮捕や勾留を判断する際に重要なことは,被疑者と被害者が再び電車等で鉢合わせになってしまう可能性についてです。被害者は,もちろんそれを望みません。被疑者も望まないのが普通です。普通は,被疑者も被害者も見ず知らずの通りかかりの者同士ですから,会おうと思っても会えないものですが,通勤電車での事件ですと,利用路線,利用時間帯が一定していますので,電車内や駅構内で,偶然,鉢合わせということもあるのです。そこから被害者への働きかけ(「被害届を取り下げてくれ」など)や脅迫(「取り下げないと名誉毀損で訴えてやる」など)のおそれを認定され,逮捕要件であり勾留要件である「罪証隠滅のおそれ」が認められて身柄拘束となる可能性があるのです。
 ですから,弊所では,身柄引受書のほかに,「事件解決までは事件発生の路線,時間帯での電車利用はしない。」旨の誓約書を本人に書かせ,かつ,家族にも「利用させない」旨の誓約書を書かせて検察官なり裁判官に提出します。そうすることによって,「逃亡のおそれ」のみならず,「罪証隠滅のおそれ」も低いとして釈放となる可能性が益々高まるのです。

当事務所で扱った痴漢冤罪事件

事件ファイル1

事案の概要

 依頼者が電車で弟と通学中,女性の声がした後に私服警察官から現行犯として検挙されたという事案。

結果

 検挙された際,依頼者は両手でつり革を握っていた。また,当時依頼者は肋骨を怪我していたことや実の弟が隣にいて痴漢行為に及ぶとは考え難かった。
 これらを弁護人は主張し,結果として嫌疑不十分により不起訴処分に至った。

事件ファイル2

事案の概要

 依頼者は電車内にいた女子高校生に対し,スカートの上から痴漢行為をはたらいたとして逮捕されたという事案。

結果

 「左手掌及び同手甲で被害者スカートの上から右側臀部付近を撫で触る等した」という被疑事実が被害者供述を支える客観的証拠に欠けており,嫌疑不十分および被害者との示談成立により不起訴処分に至った。

事件ファイル3

事案の概要

 依頼者は,朝,電車乗車中に突然女性から「痴漢です」と手を掴まれた。その後近くにいた男性に腕を掴まれて警察に引き渡され,その後痴漢容疑で逮捕されたという事案。

結果

 依頼者の腕を掴んだ男性は犯行を目撃していたわけではなく,依頼者の犯人性を認定する証拠は被害者の供述のみであった。また,被害者の思い込みや勘違いの可能性も否定しきれない状況であった。
 結果として,嫌疑不十分および示談の成立によって,不起訴処分に至った。

事件ファイル4

事案の概要

 走行中の電車内で,依頼者の手の甲が被害者の身体に触れたとして,それを目撃したという男性と口論になり,その後痴漢容疑により逮捕されたという事案。

結果

 被疑者である依頼者と目撃者が痴漢行為の有無について口論している際も,被害者は目撃者に賛同するなどしておらず,被害の認識がなかった。依頼者を痴漢容疑の被疑者とする十分な証拠があるとは言えず,嫌疑不十分および示談の成立で不起訴処分に至った。

事件ファイル5

事案の概要

 電車内にて,依頼者(被疑者)が被害者のズボンの上から痴漢行為をはたらいたとして,逮捕されたという事案。

結果

 一般的に,電車内の痴漢事件において,被害者の思い込み等により被害申告がされて犯人であると特定された場合,その者が有効な防御を行うことが容易ではないということから,慎重な判断が求められる。
 本件においても,被害者供述を支える客観的証拠を欠いているということで,嫌疑不十分および示談成立によって不起訴処分に至った。

事件ファイル6

事案の概要

 依頼者が交際相手と電車からホームに降りる際,女性に痴漢行為をしたとして,その後逮捕されたという事案。

結果

 当時犯行がなされたとされる現場では被疑者(依頼者)と被害者だけでなく,各々の交際相手も一緒にいた。弁護人は検察官に各関係者の事情聴取の必要性や,被疑者の精神的ストレス軽減のために捜査の早期進展を求めた。
 結果として,嫌疑不十分により不起訴処分に至った。

日本の刑事司法制度にも改善の余地問題がある

 実は,痴漢事件の問題点は,日本の刑事司法制度にもあります。痴漢の多くは条例違反でほとんどの事件が不起訴,重くて罰金刑で終わる事件です。それにもかかわらず,「罪証隠滅のおそれ」,「逃亡のおそれ」などの理屈を付けて被疑者の身柄を拘束し,自由を奪うという法運用にこそ問題があるのです。住所や身元もわからないような人ではなく,普通の会社員が最長23日間も身柄拘束されて,自由を奪われてしまう可能性があるのです。そのような背景があるからこそ,駅事務室に行ったら長期間拘束される,勤務先から懲戒処分がなされる,「人生御仕舞だ,逃げるしかない」,という発想を想起させるのです。そして,それが,上野駅の転落死事件のような悲劇を生んでいます。
 痴漢が許されない犯罪行為であることは言うまでもありません。受験会場に向かう電車内で痴漢に遭い,試験を満足に受けられずに人生が狂ってしまった学生だっています。朝から不愉快な思いをさせられる被害者にとっては,痴漢は憎むべき犯罪です。ただ,最終的に下される刑罰が罰金刑であるのに,その手段たる捜査において,10日間も20日間も身柄を拘束されるということが,「目的と手段の関係」としてバランスのとれたものと言えるかが改めて問われなければなりません。

まとめ

 中村国際刑事法律事務所では,痴漢事件の経験豊富な弁護士が多数在籍しており,弁護士が依頼者の救済に全力を尽くします。実際に,証拠不十分で不起訴を勝ち取ることは難しい電車内での痴漢事件に関し「やっていない」と冤罪を訴えた依頼人について当事務所の弁護士が弁護を担当し,検察官を説得することに成功し,証拠不十分として,不起訴となった成功事例があります。
 痴漢で逮捕され弁護士をお探しの方,中村国際刑事法律事務所に今すぐお電話ください。弁護士が迅速に対応いたします。

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