銃刀法違反|つるはしは銃刀法違反となり得るか,銃刀法違反の定義や量刑を弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

銃刀法違反|つるはしは銃刀法違反となり得るか,銃刀法違反の定義や量刑を弁護士が解説

刑事弁護コラム 銃刀法違反|つるはしは銃刀法違反となり得るか,銃刀法違反の定義や量刑を弁護士が解説

銃刀法違反|つるはしは銃刀法違反となり得るか,銃刀法違反の定義や量刑を弁護士が解説

 2021年,東京都内でビートたけしさんが乗車した車がつるはし等を持った男性に襲われたという事件がありました。男性は,突然車に向かってきて持っていたつるはしでフロントガラスを割ろうとしたようです。男性は小刀も持っていたため銃刀法違反の疑いで逮捕されました。今回の事件を受け,銃刀法違反や器物損壊罪について弁護士が解説いたします。

 本コラムは代表弁護士・中村勉が執筆いたしました。

銃刀法違反(銃砲刀剣類所持等取締法違反)

 銃刀法によれば,原則として,刃体の長さが6センチメートルを超える刃物を携帯することが禁止されており,これに違反した場合,2年以下の懲役又は罰金に処せられることになります。一般的には,包丁,ナイフ,はさみ等の刃物が「刃体の長さが6センチメートルを超える刃物」にあたる可能性が高いといえます。

銃刀法第22条

 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

銃刀法第31条の18

 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 一 第三条の九及び第三条の十二の規定により禁止されるけん銃実包の譲渡しと譲受けの周旋をした者
 二 第十条第一項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
 三 第二十二条の規定に違反した者

銃刀法違反とみなされるケース

 前記のとおり,刃体の長さが6センチメートルを超える刃物を携帯していた場合,銃刀法違反として処罰される可能性があります。
 今回の事件で,犯人は,つるはし及び小刀を所持していたと報道されています。一般的な形状のつるはしは,刃がついていないか,一方が鍬状になっていて小さな刃がついているだけですから,「刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物」に当たらない可能性があります。
 よって,今回の事件においては,小刀の所持が銃刀法に抵触した可能性があるといえるでしょう。

器物損壊罪ではなく銃刀法違反で逮捕された理由

 今回の事件は,犯人がつるはしで車のフロントガラスを割ろうとしたというものですから,器物損壊事件(刑法261条)でも今後捜査が行われる可能性があります。
 しかし,器物損壊罪は親告罪であり,被害者等の告訴がなければ,犯人を訴追処罰することができません。したがって,今回の事件が犯人がつるはしを振り回している等現行犯逮捕の必要が高い一方被害者の意思が確認できない状況だったことから,ひとまず銃刀法違反で現行犯逮捕した可能性があるといえるでしょう。

器物損壊罪の量刑

刑法第261条(器物損壊等)

 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は,三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 以上のとおり,「他人の者」を「損壊」した場合には,器物損壊罪が成立し,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられることになります。
 本件でも,犯人がつるはしを振り回し,ビートたけしさんが乗車していた車を破損させていたということになれば,器物損壊罪についても成立する可能性があります。

まとめ

 以上のように,今回の事件で成立し得る犯罪について説明しました。かつては銃刀法違反というのは,一部の暴力団関係者,あるいは過激派組織摘発のための犯罪とされていました。
 しかし,昨今,アウトドアの普及でナイフを所持したり,薬物事犯摘発を目的とした不審車両に対する職務質問,自動車検問の強化によって,薬物は発見されずとも,車両から上記要件に該当する物品の発見により,銃刀法違反として立件されるケースが多くなっているように感じます。
 仮に寸法などで銃刀法違反の要件にあたらなくても軽犯罪法違反になることもあるのです。
 銃刀法違反は,仮に携帯していたとしても「正当目的」があれば犯罪は成立しません。その点で疑義ある方は弁護士に相談することをお勧めします。
 その昔,明治維新による文明開花政策で,廃刀令が施行され,武士の帯刀が禁じられましたが,帯刀でなければいいだろうということで刀を肩に担いで歩いていた武士がいたそうです。携帯そのものを禁じる銃刀法にはこの理屈は通りませんが,「正当目的」が認められるかどうかは法律上の争点となることが度々あり,不起訴処分となることもあります。

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