青少年健全育成条例違反|刑事事件に強い弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

青少年健全育成条例違反|刑事事件に強い弁護士が解説

刑事弁護コラム 青少年健全育成条例違反|刑事事件に強い弁護士が解説

青少年健全育成条例違反|刑事事件に強い弁護士が解説

 未成年者の児童と身体の関係を持った場合には,たとえその児童と交際関係にあったなどと同意を得ていたとしても青少年健全育成条例違反の罪に問われ,逮捕や実名報道に至る可能性があります。
 また,昨今のSNS上には,いわゆるパパ活などとして児童買春の募集をしていたり,電子マネーを送金すればモザイクを除去した性的画像を交換するなどの書き込みも見られています。
 このような場合には,児童買春,児童ポルノの罪に問われることがあるほか,実際に行為に及ばなかったり,児童ポルノ画像を受信しなかったとしても都道府県の青少年保護育成条例の罪に問われる可能性があります。

 本コラムは弁護士・山口亮輔が執筆いたしました。

青少年保護育成条例で規制されている主な行為

 青少年保護育成条例は法律ではなく,都道府県の条例で規定されています。
 青少年保護育成条例で規制されている行為は,概ね以下のとおりです。

①淫行(みだらな性行為,性交類似行為,わいせつな行為)

 各条例によって,「淫らな性交」「みだらな性行為」などと正確な文言は異なりますが,いわゆる「淫行」と呼ばれているものです。
 「淫行」とは,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる当その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいいます。
 婚約していた場合や真摯な交際関係がある場合は「淫行」に当たらないとされています。
 淫行については別の記事で詳しく解説しています。

 さらに,金銭や電子マネーなどの対価の約束をした上で青少年と性交等をした場合には,児童買春としてより厳しい罪が成立することになります。

②深夜外出・同伴

 東京都の青少年保護育成条例では,保護者に対し,「保護者は,通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き,深夜(午後11時から 翌日午前4時までの時間をいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければならない。」と規定し,30万円以下の罰金を定めて青少年が深夜に外出させることを制限しています(26条4項,15条の2第1項)。
 そして,保護者以外についても,「何人も,保護者の委託を受け,又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き,深夜に青少年を連れ出し,同伴し,又はとどめてはならない。」と規定し,保護者の同意なく青少年を深夜に連れ出したり,同伴することを禁止し,50万円以下の罰金を定めています(24条の4第2号)。
 これは主に,保護者の許可なく深夜まで外出したり,宿泊することが典型例ですが,昨今のSNSの普及によって,いわゆる家出少女を自宅に宿泊させた場合には,より厳しい罪である未成年者拐取の罪が成立する可能性があります。

③児童ポルノの提供を求める行為

 Twitter,Instagram,TikTokなどのSNSの普及によって,誰でも全世界に情報を発信することができるようになりましたが,一方で青少年が自画像を公開したり,インターネット生配信をしたりすることで性被害を受けるケースが急増しています。
 警視庁の統計によると,SNSに起因する児童ポルノ被害は平成24年には242人だったものが,平成27年には507人に増加し,令和元年には671人,令和3年は657人が被害を受けています。(出典: 令和3年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況)。
 匿名性のあるチャットアプリや動画配信サービスを通じて,言葉巧みに児童をだましたり,脅すことで児童の裸の姿や下着姿の自画撮りを要求し,その結果,児童が自画撮り画像を送信してしまったりするケースが増えてきたのです。
 従来は,児童に対して,裸体や下着姿を撮影させてメッセージ送信した場合には,児童ポルノ製造の罪や児童ポルノ所持の罪が成立しますが,児童が送信しなかった場合には児童ポルノ禁止法では要求行為についての処罰規定がありませんでした。
 しかし,児童が自画撮りによる性被害を受けることを未然に防ぐために,児童ポルノの提供を求めることを禁止する条例の改正が各県でなされています(東京都平成30年2月1日,神奈川県令和元年12月施行,埼玉県平成30年12月1日施行,千葉県令和2年7月1日など)。
 東京都の青少年保護育成条例では,児童ポルノ要求行為に対し,30万円以下の罰金が定められています。

東京都青少年保護育成条例第18条の7(青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)

 何人も、青少年に対し、次に掲げる行為を行つてはならない。
 一 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条 第3項に規定する児童ポルノ(以下単に「児童ポルノ」という。)又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
 二 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。

青少年保護育成条例違反行為をしてしまったら

 最近では,児童買春や援助交際について「パパ活」,「JKビジネス」などの柔らかい言葉がSNS上に投稿され,あたかも違法行為でないような表現がなされていることで,罪の意識がないまま,青少年保護育成条例に違反する行為をしてしまうことがあります。
 しかし,青少年保護育成条例に違反する行為は児童搾取性的搾取にあたるもので,青少年の自尊心を損なわせるなどの人格形成に著しい支障が生じてしまいます。
 また,青少年保護育成条例に違反する行為については,ケースによっては被害児童1人に対して,何十人もの大人の加害者から性的搾取などの被害を受けていることあります。そして,このような場合,警察のサイバーパトロールにより被害児童が保護されたり,他の加害者が検挙されたときに,被害児童が所持する携帯電話機に記録されていたメッセージ履歴から,芋づる式に検挙されたりすることがあります。
 「青少年保護育成条例に違反する行為をしてしまったけど,警察から連絡がないから大丈夫だろう」と安易に考えていると,いつの日にか逮捕されて実名報道になるリスクがあるのです。
 したがって,このようなリスクを軽減させるために,ときには被害児童の保護者との間で示談交渉を試みたり,警察署に相談したりすることも視野に入れて考えなければなりません。
 当事務所では,これまでにも青少年保護育成条例に違反する行為をしてしまったが逮捕を阻止できたケース,勾留を阻止できたケース,不起訴処分となったケースなどがございます。相談者から事件の内容や,経緯を聴取した後,立件に至る可能性や示談の可能性を踏まえて弁護方針をご提案させていただきます。

示談の必要性

 青少年保護育成条例は,個人的な権利や利益を保護する強制わいせつや略取誘拐と異なり,人格形成の過渡期にある青少年に対する児童搾取,性的搾取を防止し,健全な人格形成を保護するという広く県民全体の社会的な利益を保護するという側面があります。

 東京都の青少年保護育成条例には,前文において,「われら都民は、次代の社会をになうべき青少年が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものである。われら都民は、家庭及び勤労の場所その他の社会における正しい指導が、青少年の人格の形成に寄与するところきわめて大なることを銘記しなければならない。われら都民は、心身ともに健全な青少年を育成する責務を有することを深く自覚し、青少年もまた社会の成員としての自覚と責任をもつて生活を律するように努めなければならない。」と,青少年の健全な育成を都民の責務であると宣言しております。
 条例の目的についても,広く青少年の健全育成を目的としています。

東京都青少年保護育成条例 第1条(目的)

 この条例は、青少年の環境の整備を助長するとともに、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年の健全な育成を図ることを目的とする。

 このように青少年保護育成条例は児童搾取,性的搾取の防止という社会的な利益を保護していることからすると,青少年の保護者との間で示談をしたからといって,ただちに不起訴処分になる可能性が高いとは言えません。
 ただし,被害者との間で示談が成立していない場合には不起訴になる可能性は限りなく小さいですが,児童搾取,性的搾取に当たり得る行為であることに対し,真摯に向き合い,相応の慰謝料等を支払い,保護者から宥恕してもらうことが真摯な反省につながり,不起訴処分につながる可能性があるのです。
 また,当該青少年が被害者であることに変わりはありません。そのため,青少年保護育成条例についても示談が検討されるべきでしょう。

まとめ

 青少年保護育成条例は法律ではなく各都道府県レベルで規定されているものですが,児童搾取,性的搾取という側面があり,軽微な犯罪とはいえません。
 また,急増する児童ポルノ要求被害に対応するために,法律による処罰規定の間隙を埋めて,児童搾取を未然に防ぐという趣旨で改正がなされたものもあり,青少年保護育成条例行為によって,逮捕実名報道に至る可能性はゼロではありません。
 一方で,示談が成立することによって不起訴処分の可能性や逮捕阻止に至る可能性も考えられるため,お悩みの際は経験豊富な弁護士にご相談ください。

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公開日:

「青少年健全育成条例違反」に関する刑事弁護コラム