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住居侵入罪で弁護士をお探しの方

以下、代表弁護士・中村勉が解説いたします。

住居侵入罪や建造物侵入罪は他の犯罪に伴って成立

住居侵入罪や建造物侵入罪は、多くの方がイメージされるであろう「空き巣」目的の他に、様々な目的があります。当事務所で扱った事例としては、以下の通りです。

  • 強盗・強姦・強制わいせつ目的で侵入
  • 窃盗のために侵入
  • 放火のために侵入
  • 風呂場をのぞくために敷地内に侵入
  • 下着泥棒目的で敷地内に侵入
  • 盗撮のために女子トイレに侵入
  • ストーカー相手の下着が見たくて侵入
  • ストーカー相手の生活ぶりが見たくて侵入
  • 薬物の影響で錯乱状態になって侵入
  • 酔って自分の家と間違えて侵入 等

侵入目的を達成したら他罪との牽連犯、目的を達成していなくても他罪の未遂罪との牽連犯など罪が重くなります。敷地内侵入事例では他罪が成立する前に発覚・逃走するケースが多いので、住居侵入罪が単独で成立するでしょう。

酔って自分の家と思って侵入」というケースは警察が臨場した時点で厳重注意で終わる場合もありますが、それが否認のための弁解である可能性があり、実はわいせつ目的等があった可能性もあるので、自分の家と間違えるような客観的条件下にあったか慎重に捜査されます。
なお、不退去罪は、例えば「クレーマーが苦情のために押しかけ、何時間も怒鳴り続け、退去要請にも関わらず居座る場合」などのケースがありました。

住居侵入罪が成立する場合とは

住居侵入・建造物侵入罪は、以下のとおり刑法130条に規定されております。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

「住居」とは、人の起臥寝食の用に供される場所のことを指します。要は、人が寝たり起きたり食べたりして、日常生活を送るための用に供する建物は原則「住居」に該当すると考えてよいでしょう。そして、起臥寝食の用は一時的でもいいと判断されているため、旅先のホテルや旅館の一室も「住居」に含まれると考えられています。

なお、同条には、「邸宅」「建造物」に対する侵入も犯罪が成立するとされています。「邸宅」とは人の居住用に建てられた建物とその囲繞地を指すとされています。実際、人の居住の用に供されているものは「住居」に該当するので、「邸宅」とは空き家や特定の季節にのみ使用される別荘などが該当します。

そして、「建造物」とは、簡単に言えば、上記の「住居」と「邸宅」を除く建物が広く該当します。例えば、官公署の庁舎、学校、事務所などが「建造物」に該当します。侵入の客体が、「邸宅」であったり「建造物」であったりする場合は、住居侵入ではなく、邸宅侵入罪や建造物侵入罪と呼ぶのが一般的です。

「侵入」とは、当該建物の居住者や看守者の意思に反する立ち入りのことを指します。なので、居住者が招き入れる客人の立ち入りは当然、「侵入」には該当しませんが、例えば、部屋の中をのぞくために、宅配業者と偽って、部屋に入れてもらった場合は、有効な同意があるとは言えませんので、「侵入」に該当します。

「正当な理由がない」とは、居住者や看守者の同意を得なくても侵入を許容する社会通念上合理的な理由が存在しないことを指します。例えば、消防士が消火活動のために、火源となっている留守宅に立ち入ることは正当な理由があると言えるでしょう。

住居侵入罪、建造物侵入罪等を起こしたら、どのような刑事手続へと進むのか

現行犯のケース

住居侵入罪や建造物侵入罪、不退去罪は現行犯として検挙されることが多いです。家人に発覚され、警察に通報されて、臨場した警察官に現行犯逮捕されます。その後、警察署において取調べが行われ、その間に、警察が被疑者の家族と連絡がつき、その家族が身柄引受人になってくれるなどした場合には、釈放されて在宅捜査が続くケースが多いです。

在宅捜査というのは、勾留による身柄拘束を継続しないで釈放し、その後、数度の出頭要請に基づく取調べによって事件の書類だけが検察庁に送られるという手法です。一般的に「書類送検」と呼ばれています。

現行犯の場合は犯行を現認されているので、証拠が明白であり、あとは逃亡のおそれを解消するような事情(家族が身柄引受)があれば釈放されるのです。身柄引受人になってくれる人とすぐに連絡が取れないなどの事情がある場合には、弁護士に依頼すれば、家族と連絡を取るなど、釈放のために活動してくれます。

ただ、現行犯逮捕後、取調べにおいて容疑を否認した場合、例えば、明らかに窃盗目的であるのに「自分の家と間違えた」などの弁解をしたり、目的や動機について黙秘したりした場合には、継続して動機や目的について捜査する必要があるため、検察庁に身柄のまま送検され、検察官は裁判官に勾留を請求して10日間の身柄拘束がなれることが多く、時には勾留がされに延長されて合計20日間もの長期間勾留されます。ですから、もし被疑事実を否認する場合には、弁護士の助言を受けることが必須です。

通常逮捕のケース

空き巣など目撃者がいない中で犯行が行われた場合や犯人が逃走して現行犯逮捕できなかった場合には、被害届の受理を受けて警察は犯人特定のための捜査に着手します。

最近よくあるケースでとしては、盗撮目的で女子トイレ内に隠しカメラを設置して、それを回収する前にカメラが発見されて後日警察に届けられた場合などです。
現在は防犯カメラが普及し、逮捕されるのも時間の問題で、逃げとおせるものではありません。そして、犯人が特定され、逮捕状により逮捕された場合には、現行犯逮捕の場合と異なり、高確率で勾留請求がなされ、多くは20日間勾留されます。ですから、事前の弁護士への相談と依頼によって、自首について真剣に検討し、逮捕や勾留を回避するための方策を検討しなければなりません。自首をすれば、もしそれが逮捕状発付前であれば逮捕されずに在宅捜査となる可能性が高くなるのです。

当事務所では、盗撮目的のカメラ設置ケースで、自首により逮捕を回避したケースが多くあります。

住居侵入罪の示談及び示談交渉相手について

住居侵入罪や建造物侵入罪で検挙された場合、逮捕勾留されたか在宅捜査で捜査が進んでいるかにかかわらず、示談によって不起訴を目指すことが重要になります。当該建物を管理する人物との示談を検討すべきです。

もっとも、先ほど述べたとおり、住居侵入罪等は他の犯罪の手段となっていることが通常であり、建物の管理権者とその本体の犯罪の被害者が異なる場合には、建物の管理権者からまず本体となる犯罪の被害者と示談することが多いです。

例えば、職場の女子トイレに侵入して盗撮した場合、女子トイレを含む当該建物の管理権者は勤務する会社であることが多いですが、盗撮された女性と示談する前に、会社と示談しようとしても、まず盗撮の被害にあった女性と示談するのです。
それは、当該侵入について、会社自体は財産的な損害を被っていない一方、このような事案で会社が安易に侵入者と示談した場合には、被害にあった女性社員に留まらず他の女性社員等から不信感を買い、会社の適切な業務が滞ってしまう可能性があるからです。また、会社としても、被害女性に対する職場環境の安全配慮義務も気になるところです。

よって、住居侵入罪が成立する場合には、単純に当該建物の管理者とだけ示談すれば良いとならないのが通常です。実際に発生した事案について、いつ誰と示談すべきかは、弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

実際の示談交渉は、ほかの犯罪の場合と同様の姿勢、手法で進めていきますが、誠意ある謝罪と精神的苦痛等への被害回復の措置が中心となります。特に、住居侵入等は、路上での傷害事件や電車内での痴漢等のほかの犯罪と異なり、被害者の住居が犯人に知られてしまっています。被害者は報復や再犯をとても恐れているのです。当然のことです。そこで、示談交渉の中では、被害者の求めに応じて引っ越し費用を要求されるケースが多く、示談金は、戸外での盗撮等と異なり、高額になりがちです。

住居侵入罪の再犯防止(住居侵入等の目的・動機となった原因への対応)

住居侵入罪や建造物侵入罪は、窃盗目的という典型的な利欲犯の手段として敢行されるほか、わいせつ目的で行われるケースが多いです。弁護活動として重要なことは、示談を成立させることはもちろんですが、このわいせつ目的等でなされたケースにおける再犯防止にあります。

起訴不起訴を決める検察官も、その関心は再犯のおそれにあります。そこで、当事務所では不起訴獲得のために、わいせつ行為に対する衝動など、性衝動のコントロールに障害がないかどうかを明らかにするために専門クリニックでのカウンセリングや通院をサポートしています。こうした成果が不起訴処分につながるのです。

住居侵入罪・建造物侵入罪の量刑

もし示談が不成立に終わるなどして起訴された場合、弁護士は引き続き示談交渉を継続し、あるいは、他の情状弁護活動を通して執行猶予を目指します。ケースによっては無罪を目指す事件もあります。ここで、裁判における判決がどのようなものになるか、その量刑についてみてみましょう。住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑は、上記のとおり、3年以上の懲役又は10万円以下の罰金です。

但し、住居侵入罪等は、通常は他の犯罪の手段となっていることが多く、その場合に複数の犯罪が成立することを前提とした処理が必要になります。これについて刑法54条1項は以下のように規定しています。

刑法第54条1項(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

このように、住居侵入が他の犯罪の手段となっている場合は、成立する犯罪の中で一番重い法定刑によって判断されます。
例えば、強盗の手段として、他人の住居に侵入した場合は、住居侵入罪より重い、強盗罪の法定刑の範囲(5年以上の有期懲役 ※刑法236条1項)で判断されます。

ポイントは、成立する犯罪の法定刑を純粋に足し算する訳ではないということです。よって、目的となる犯罪の成立が間違いない場合などは、あえて住居侵入罪等で起訴することはあまりありません。逆に、目的となる犯罪の成立に不安がある場合などでは、全部無罪判決となることを防ぐために、住居侵入罪も併せて起訴する場合、住居侵入罪等だけで起訴する場合があります。

不退去罪の量刑

不退去罪とは、先ほど紹介した刑法130条1項が規定する「正当な理由なく」「要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった」場合に成立します。法定刑は、住居侵入罪等と同じ、3年以上の懲役か10万円以下の罰金です。

住居侵入、建造物侵入事件の解決実績

当事務所で取り扱った住居侵入及び建造物侵入の解決実績を一部ご紹介します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。住居侵入罪は、被害者にとってこれほど怖く、また不快なものはありません。示談交渉が難航することがあるのもそのためです。しかし、個人的法益を侵害する犯罪である以上、被害者と示談ができて、その宥恕を得ることができれば不起訴となるというのも実務の実態です。示談に強い、経験ある弁護士を選ぶことが大切な犯罪類型です。皆様のご参考になれば幸いです。

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当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
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上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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