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脅迫事件で逮捕される? 弁護士が必要な理由を解説

脅迫事件で弁護士をお探しの方はご相談ください

インターネット上の掲示板やSNSの投稿で脅迫めいた記載を見かけたことがある人は結構いるのではないでしょうか。匿名だからといって、安易にそのような記載をしてしまうと、脅迫罪で逮捕される可能性があります。
また、別れた交際相手に対して脅迫電話をかけたり脅迫メールを送ったりして、脅迫罪で逮捕される例もよくあります。

本記事では、脅迫事件に弁護士が必要か否かについて、脅迫罪の内容について詳しく見たうえで弁護士・中村勉が解説していきます。

脅迫罪とは?どのような行為が脅迫になるか

脅迫罪は、刑法第222条に定められている犯罪です。他人に対して、その生命、身体、自由、名誉または財産に対し害悪を加える旨を告知して脅迫した場合に成立します(刑法第222条1項)。他人の親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対し害悪を加える旨を告知して脅迫した場合にも成立します(刑法第222条2項)。ここにいう親族とは、六親等以内の血族、配偶者、三親等以内の姻族のことをいいます(民法第725条)。

会社などの法人は脅迫の客体にはならないと解されていますが、告知がその代表者等の生命、身体、自由、名誉または財産に対する害悪の告知と受け止められる場合には、その代表者等に対する脅迫罪が成立し得ます。

刑法第222条(脅迫)
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

脅迫罪の成立要件

脅迫の内容につき、生命や身体に対する害悪の告知については、「殺すぞ」「ボコボコにするぞ」などという言葉が容易に想像できるでしょう。
自由、名誉、財産に対する害悪の告知の例を挙げますと、まず、自由に対する害悪の告知の例としては「お前をここに閉じ込めてやる」といった行動の自由を制限する旨の告知が考えられます。名誉に対する害悪の告知の例としては「お前の不倫をしたことをばらしてやる」といった名誉を毀損する旨の告知が考えられます。財産に対する害悪の告知の例としては「お前のパソコンを壊してやる」といった財産を損壊する旨の告知が考えられます。

脅迫の方法としては、害悪を加えることを暗示する方法でもよいとされています。たとえば、「夜道には気をつけろ」という言葉は、生命・身体に危害を加える旨の告知と認められるでしょう。
2022年に起きた群馬県知事に対する脅迫の事件は、「撃つぞ」「殺すぞ」などとは明確には言っていませんが、そのことを暗示しているといえます。そのため、知事の生命に対して害悪を加える旨を告知して脅迫したと認定されたものと思われます。

実際に相手に対して害悪を加える意図がなかったとしても、一般的にその告知によって相手が畏怖すると思われるような内容であれば、脅迫罪は成立します。相手が実際に畏怖していなくても成立します。

脅迫罪と類似する恐喝罪や強要罪との違い

脅迫罪に似た犯罪に、恐喝罪強要罪があります。

恐喝罪との違い

恐喝罪は、刑法第249条に定められている犯罪です。恐喝とは、脅迫または暴行を加えて、財物の交付をさせることをいいます。したがって、たとえば「100万円支払わないと殺すぞ。」などと、脅迫して財物の交付をさせた場合には脅迫罪ではなく恐喝罪に問われることになります。
脅迫して財物の交付の要求をしたけれども、被害者が財物を交付しなかったという場合には、恐喝未遂罪(刑法第250条、第249条1項)が成立します。

刑法第249条(恐喝)
1 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強要罪との違い

強要罪は、刑法第223条に定められている犯罪です。強要とは、脅迫または暴行を加えて、他人に義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害したりすることをいいます。したがって、たとえば「辞職しないと、不倫の事実をばらすぞ。」などと脅迫して、他人に義務のないことを行わせた場合には脅迫罪ではなく強要罪に問われることになります。
脅迫して義務のないことを行うように要求したけれども、被害者がそれを行わなかったという場合には、強要未遂罪(刑法第223条3項、1項)が成立します。

刑法第223条(強要)
1 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

脅迫罪の刑罰はどうなるのか

脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です(刑法第222条)。
初犯の場合、被害者との間で示談が成立すると不起訴となる可能性が高いです。示談が成立しなかった場合には、略式罰金となることが多いでしょう。
しかし、同種の前科がある場合や、初犯であっても脅迫の態様が執拗で悪質であった場合には、公判請求され懲役刑が言い渡される可能性もあります。

脅迫罪で逮捕される可能性

脅迫罪はそれほど重い部類には入りませんが、逮捕されるケースは相当数あります。
逮捕されるかどうかは加害者と被害者との関係や脅迫の内容、回数、認否等によります。
たとえば、被害者が被疑者の元交際相手である等、被疑者が被害者の居場所を把握しているようなケースでは単なる脅迫にとどまらず、殺人事件等重大な事件に発展するおそれがあるため、逮捕可能性が高いといえるでしょう。

インターネット上の掲示板やSNSなどにおける脅迫事件の被疑者が、任意の取調べで否認している場合には、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがあるとして逮捕される可能性が高くなります。

警察に逮捕されると、逮捕後48時間以内に検察官に送致され、検察官が引き続き身柄を拘束する必要があるか判断します。検察官は、必要があると判断した場合には、送致を受けた時から24時間以内に裁判官に対して勾留請求をします。上記に挙げたようなケースでは検察官が勾留請求する可能性が高いでしょう。そして、裁判官においても勾留決定する可能性が高いといえます。
勾留が決定すると、まず10日間勾留されることになります。10日間の勾留期間が不十分で引き続き被疑者の身柄拘束が必要であると検察官が判断すると、勾留延長を裁判官に請求し、これが認められるとさらに10日間勾留が延長されることとなります(認められる延長期間が10日未満となることもあります)。
ひとたび逮捕されると、最長で23日間もの長期にわたり身柄が拘束されてしまう可能性があります。そうなると、会社や学校も長期間無断欠勤・無断欠席することとなってしまいます。

勾留中は接見禁止がついていない限り、ご家族やご友人との面会は可能ですが、逮捕後~勾留決定前までの最長3日間は弁護士とのみ接見が可能です。警察が家族へ逮捕事実を知らせる連絡をしてくれることはありますが、そのこと以外の連絡は取り次いでもらえません。
したがって、この期間内にご家族を含む外部との連絡をとるには弁護士に接見に来てもらい、連絡を取り次いでもらう必要があります

脅迫罪で弁護士が必要な3つの理由

弁護士が必要な3つの理由は以下のとおりです。順に詳しく解説します。

  1. 身柄解放活動が可能
  2. 被害者への謝罪や示談交渉の対応
  3. 専門機関を通じた再犯防止策の提案

①身柄解放活動が可能

弁護士をつければ、身柄解放のために動いてもらうこともできます。逮捕後早期に弁護士をつけることで、そもそもの勾留決定自体を回避できる可能性も出てきますので、弁護士をつけるのに早いに越したことはありません。

突然逮捕されて不安な気持ちの中、味方となる弁護士と接見し、今後の流れについて説明を受けたり、捜査機関による取調べでの受け答え方についてアドバイスを受けたりすることは本人の精神状態のためにも、その後の刑事処分との関係でもとても重要です。たとえ事案の性質によって勾留を回避できなかったとしても、弁護士を通して被害者との間で示談を成立させることができれば、不起訴となる可能性が高くなる上、勾留満期日前に早期釈放される可能性も出てきます。

②被害者への謝罪や示談交渉の対応

先程も述べた通り、脅迫罪は初犯であれば、略式罰金となる可能性が高いです。もっとも、罰金も刑罰の一種ですので、前科となります。前科がつくと、たとえば、就職や転職の際の履歴書に「賞罰」欄があった場合に、そこに「有」と書かざるを得なくなります。また、海外渡航の際、国によっては入国審査が厳しくなることも考えられます。したがって、このような不利益を避けるためには、罰金を含む前科を回避する必要があります。

脅迫事件において罰金を含む前科を回避するには、被害者と示談することが重要ですが、身柄が拘束されていないいわゆる在宅事件であったとしても、加害者自身が被害者に対して直接連絡するのは事案の性質上好ましくありません。被害者は加害者から脅迫されたことによってすでに怯えていることが考えられ、示談の成立を加害者から検察官に報告したとしても信ぴょう性に欠けますし、かえって罪証隠滅を疑われてしまうおそれもあるからです。

第三者である弁護士が介入すれば、そのような心配はありません。また、弁護士が被害者の気持ちに配慮しながら真摯に対応することで、加害者に対しては応じようとしなかった被害者が、示談に応じてくれる可能性も出てきます。

③専門機関を通じた再犯防止策の提案

また、被害者との示談以外にも、弁護士と再犯防止策について話し合うことも重要です。
というのは、被害者に脅迫罪で被害申告すると、被害者はその仕返しに不安となり、検事も被害者のセキュリティや不安除去に配慮して処分を決めるからです。脅迫罪は、通りすがりの見ず知らずのものによる暴行罪などとは違い、知っているもの同士の事件であることが多いので、なおさら再犯防止ということが重要になります。

具体的には、接触禁止や立ち入りエリアの設定、連絡手段であるスマホ等の登録消去などに関して、本人の誓約書や家族からの監督に関する誓約書を取り付け、検事にアピールすることで不起訴となる可能性はより高くなります。

公判請求されてしまったケースにおいては、前科は回避できないとはいえ、被害者に対する謝罪及び賠償の事実や反省状況、同様な再犯防止策について更にアピールすることで、執行猶予付き判決を獲得して実刑を避けられる可能性は十分にあります。ですので、このようなケースについても刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めいたします。

脅迫事件の解決実績

当事務所で実際に扱った事件の解決実績をご紹介します。

脅迫事件で弁護士をお探しの方は無料相談を

いかがでしたでしょうか。比較的軽く見られがちな脅迫事件においても弁護士が必要であることがお分かりいただけたかと思います。
脅迫電話やメール、投稿をしてしまったという方、ご家族が脅迫罪で逮捕されてしまったという方は、お早めに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
  • 会社を解雇されるのだろうか
  • 国家資格は剥奪されるのだろうか
  • 実名報道されるのだろうか
  • 家族には知られるのだろうか
  • 何年くらいの刑になるのだろうか
  • 不起訴にはならないのだろうか
  • 前科はついてしまうのだろうか

上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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