大麻取締法違反事件で執行猶予(保護観察付)
事案概要
自宅で大麻草を栽培していたところ,大麻の営利目的所持・栽培で逮捕された事案。
弁護方針
「営利目的」の有無により,量刑が大きく異なるため,犯罪事実として「営利目的」を落とすことを目標に,取調べ対応を徹底指導することとした。
また,依頼者には約10年前に違法薬物の同種前科があったため,今回は実刑判決となることも大いに考えられた。そのため,公判では依頼者が反省し,違法薬物の危険性を理解していること,また違法薬物を断ち切る努力をしていることを裁判官に伝える必要があったが,他方で身体拘束が継続していたため,薬物治療入院等をすることが難しかった。そこで,弁護人の提案により,依頼者には日頃から薬物治療ワークブックに取り組んでもらうこととし,弁護人に対してその状況を報告してもらいながら,「違法薬物がなぜ危険か」等について日々対話を重ねた。裁判では,ワークブックの本人の記載欄を適宜抜粋して証拠化することとし,依頼者との日々の対話を踏まえた内容の被告人質問を行うこととした。
結果
「営利目的」が落とされ,大麻の単純所持・栽培で起訴された。
判決では,「(所持・栽培していた)大麻の量はかなり多い」と認定されながらも,再犯防止策に努めていることや反省していることなどから,「最後にもう一度だけ社会内で立ち直るチャンスを与えるから,周囲の期待を裏切らずに真面目に立ち直ってほしい」として,執行猶予判決(保護観察付)を獲得した。