自首をし、給付金を返還したことにより送検を回避
事案概要
大学生である依頼者が、先輩の紹介で出会った紹介役から持続化給付金詐欺を勧められ、内容虚偽の確定申告書に押印して税務署に提出し、その画像データを紹介役に口座情報などと併せて送り、紹介役の申請で持続化給付金100万円を不正受給したという事案。
弁護方針
昨今急増している持続化給付金詐欺では、持続化給付金事務局に連絡して返金だけするのか、それとも警察に自首までするのか悩ましいところである。
自首をすれば、黙っていれば事件化しなかったのにものを事件化させるリスクはあるが、一方で、逮捕される可能性を大きく下げられ、刑法上の減軽事由にもなり(41条1項)、さらに、いつ逮捕されるかわからないという精神的負担から解放されるというメリットがある。
本件の場合、内容虚偽の確定申告書を提出していることから黙っていてもいずれ事件化する可能性が十分に考えられ、また、依頼者の役割の程度が小さいことから、自首すれば逮捕回避、不立件・不起訴を狙える可能性は大きいと判断して、依頼者と一緒に警察署へ自首同行した。
担当警察官からは、逮捕しないこと、返金後に持続化給付金事務局の担当者に確認し、刑事処罰を求めないことが確認できれば、不立件とする方針であると伝えられた。
警察署から戻ってすぐ、依頼者には給付金事務局に連絡し、返金手続をしていただくことにした。それから約1か月半後、返金先の口座情報が記載されたはがきが依頼者に郵送され、返金手続完了後、弁護人から担当警察官にその旨報告した。
結果
弁護人の報告後、捜査が打ち切られ、不立件となった。