被害弁償不可の恐れを覆した迅速な弁護活動で不起訴を獲得
本件は、依頼者が某社への架空発注により1000万円を超える金員を詐取したという詐欺の被疑事件です。
依頼者は、誰にも相談できないまま、発覚以来何年も分割弁済していましたが、支払が滞ったことなどから刑事告訴されるとともに、民事訴訟をも提起する旨告知され、当事務所に相談しました。
詐欺その他の財産犯においては、被害弁償の有無が情状として大きな意味を持ち、検察官による起訴不起訴等の判断にも直結することから、弁護士としては、依頼者に対し、直ちに親族の援助を受けてでも全額弁償することを提案したところ、依頼者は、親族に打ち明け、遅延損害金を含む被害額全額+αを用意することができました。
しかしながら、その金額を提示しても被害会社からは示談を拒否され、弁償金も受領されないおそれがあったことなどから、異例ながら、示談の交渉・締結よりも同社口座への弁償金の振込とその通知、謝罪文の送付等を優先させ、被害回復に努めました。ありがたいことに弁償金・謝罪文は受け取っていただけましたが、残念ながら示談自体は成立させることができませんでした。
弁護人としては、それでも、検察官に対し、依頼者が遅延損害金を含む被害額全額+αを支払い、謝罪し、反省していることなどを記載して不起訴を求める意見書を提出したところ、早期に不起訴処分を得ることができ、現時点で民事訴訟も提起されていないようです。
このように、早期に弁護士に相談し、迅速かつ適切な対応を採ることは、刑事処分に多大な影響を及ぼします。