長期の勾留を回避したうえで示談期間を確保し不起訴処分を獲得した事例
盗撮目的で会社の女子トイレに侵入した建造物侵入及び盗撮事件です。
被疑者は、犯行から約1か月後通常逮捕され、ご家族から当事務所に相談があり、受任しました。
受任後すぐに会社及び被害者に対し示談の申し入れを行い、定期的に示談についての進捗状況を検事に伝えました。
当初検事は、10日満期での起訴を予定としていたものの、弁護活動の結果、起訴や勾留延長を回避し、示談交渉の継続を前提として、勾留10日目で処分保留釈放となりました。
会社内での犯行であったため、本人や会社と話し合いをし、会社との間で自主退職手続きを行いました。
示談交渉については、会社を退職することを前提に、被疑者両親が被疑者を監督するという強い意志を有していることや、被疑者の反省の気持ちを伝える交渉を何回も重ね、示談の条件についてもこだわって話し合いました。
結果、当初は示談を拒否していた会社との間でも示談を成立させることができ、被害者との間でも示談を成立させることができました。
以上のような活動の結果、不起訴処分を獲得することができました。
事件のポイント
本件は自身が勤務する会社内での盗撮犯行であり、会社内の懲戒処分手続き、特に本人からの弁解聴取の手続き等に日時を要する上、被害者多数のこともあり、到底20日間の勾留期間内には示談を成立させることはできません。
この場合、検事に対して、示談の見込みがあること、特に示談原資が十分あることを含めて疎明し、勾留期間内での起訴不起訴の決定は拙速に過ぎる旨の意見を述べることが大切です。
また、仮に勾留を延長したところでやはり検事の判断材料が揃わないとなれば、延長せずに処分保留で釈放してもらい、在宅捜査に切り替えて、十分な時間を確保して示談を成立させ、不起訴に持ち込まなければなりましせん。
この芸当ができるのは、刑事弁護の経験が抱負な弁護士だけです。
執筆者: 代表弁護士 中村勉