被害者が複数名の窃盗事件で執行猶予
事案概要
経済的に困窮した対象者が,トラックの荷台から工具を盗んだ2件の窃盗事件。盗んだ工具は,中古工具の買取店舗に販売して換金した。販売の際,他人の身分証を用いたことから,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反としても立件された。
当事務所では,起訴から数週間経った段階で相談を受けた。捜査段階から国選弁護人がついていたものの,国選弁護人はなかなか接見に来ず,保釈に関する準備も何らなされていなかった。国選弁護人から家族に対しての連絡も乏しく,対象者の状況が分からずに不安を感じた家族から当事務所に相談があり,相談を受けたその日に接見先行し,受任した。
弁護方針
対象者の家族とうまく連携を取り,当事務所で受任後,約1週間で保釈を獲得した。
対象者は,当初の国選弁護人の不十分な活動により,弁護士に対して不信感を抱いていたようであったが,当職の綿密な接見や迅速な保釈活動を通じ,対象者の信頼を得ることができた。
公判に向けた活動としては,窃盗の被害者2名との間で示談を成立させたこと,盗品の販売店舗および身分証の持ち主に対しても謝罪に加え,贖罪寄附も行った。
また,情状証人として家族に出廷してもらい,対象者が家族の支援を受けながら,自立できることを裁判官に伝えた。対象者が自立できる環境が整っていることを,より具体的に裁判官に伝えるために,家族には対象者の就業計画書を作成してもらい,裁判所に提出した。
結果
執行猶予判決を獲得した。