
示談交渉着手後に否認から認めに転じたという困難な状況から示談を成立させ不起訴処分を獲得
事案の概要
依頼者が、以前の勤務先の定休日に合鍵を使って侵入し、現金を盗んだとされる窃盗事件です。事件から数ヶ月後、警察から連絡があり、その後、自宅にて逮捕されました。逮捕前、依頼者は容疑を否認しており、ご家族も「息子がやっていないと言っているので話し合いで終わらせたい」とのお考えでした。ご家族から相談を受け、すぐに受任しました。
弁護方針
依頼者は一貫して容疑を否認していました。そのため、まず容疑を否認したままの示談交渉方針でしたが、その後、弁護士との接見で依頼者が犯行を認めたため、方針を180度転換し、被害店舗側の心情に配慮した交渉を行うことで示談を成立させ、不起訴処分を獲得することを目指しました。
弁護活動
前記のとおり、当初、依頼者は容疑を否認していたため、その前提で検察官を通じて被害店舗の担当者と連絡を取り、示談交渉を開始しました。しかし、被害店舗側は「認めていないなら示談には応じない」との意向で、交渉は難航しました。
その後、弁護士が依頼者に接見したところ、依頼者は犯行を認めました。
直ちに弁護方針を転換し、被害店舗側に「先日の話とは変わるが、本人が犯行を認めた」と誠心誠意伝え、改めて示談交渉の席についていただきました。被害店舗側から提示された条件を履行する旨の具体的な条項を示談書に盛り込むなどの工夫を凝らし、交渉を重ねました。
その結果、被害店舗側にも依頼者の反省が伝わり、最終的に示談が成立しました。検察官には示談交渉の進捗を逐一報告し、示談書と振込証明書を提出しました。
結果
否認のまま示談交渉を始めたあとで認めに転じた、極めて困難な状況の示談交渉でしたが、最終的に示談が成立し、不起訴処分となりました。依頼者は前科がつくことなく、元の職場にも復職することができています。