3者間の主張をまとめた包括的示談成立により不起訴処分を獲得
事案の概要
依頼者が、知人男性(被害者)から自身の婚約者が先に暴行を受けたことに端を発し、相手方に殴る蹴るなどの暴行を加え、重傷を負わせた傷害事件です。被害者は後遺障害を負いました。
弁護方針
被害者の怪我は重く、検察官からは示談ができなければ公判請求(正式な裁判)が濃厚な事案でした。一方で、被害者側からは後遺障害による逸失利益などを含め、数千万円の賠償請求をされており、交渉は困難を極めました。
このような状況下で、依頼者の代理人として、双方の主張が複雑に絡み合う本件の包括的な解決を図り、賠償額を現実的な範囲に圧縮した上で示談を成立させ、不起訴処分を獲得することを弁護方針としました。
弁護活動
受任後、速やかに検察官を通じて被害者側の代理人弁護士と連絡を取り、示談交渉を開始しました。
当初、被害者側からは極めて高額な賠償請求があり、交渉には時間を要しました。
弁護士が双方の状況を慎重に分析し、依頼者が借金をしてでも費用を捻出する覚悟であることを伝えながら交渉を重ね、最終的に当初の請求額の約3分の1に減額された金額で和解案を提示し、相手方の理解を得ることができました。
また、本件は依頼者から被害者への暴行だけでなく、被害者が依頼者の婚約者へ先に暴行を加えたという経緯がありました。この点を踏まえ、依頼者の婚約者も含めた三者間での包括的な示談とすることで、事件全体の円満な解決を図りました。
これにより、双方の主張を整理し、結果として賠償額を適切な範囲に抑えることにも繋がりました。示談書には、互いの暴行について刑事処罰を求めないという条項を盛り込みました。
結果
弁護士による的確な状況分析と粘り強い価格交渉の結果、公判請求が見込まれる困難な事案でありながら、数千万円の賠償請求に対し、当初請求額の約3分の1で解決し、示談を成立させることができました。
この示談成立が高く評価され、最終的に不起訴(起訴猶予)処分を獲得し、依頼者の前科を回避することができました。