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不法投棄で逮捕 – 廃棄物処理法違反を弁護士が解説

廃棄物を適切な方法によらずに捨ててしまうと、不法投棄として刑事罰の対象となることがあります。

廃棄物を取り扱う企業はもちろん、我々一般市民においても、ごみの扱いに気を付けなければ不法行為に当たるとして責任を問われる可能性があるので、注意が必要です。

不法投棄とは

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(産業廃棄物処理法)が、不法投棄に関する規制を定めています。産業廃棄物処理法16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」として、不法投棄を規制しています。

この場合の廃棄物とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)」のことをいいます(同法2条1号)。

したがって、各自治体の定めるごみ捨ての方法など、適切な方法によらずに家庭ごみや粗大ごみを捨てた場合には、不法投棄に当たるとして処罰されるおそれがあります。なお、上記の廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物などの産業廃棄物(法2条4号)と、産業廃棄物以外の廃棄物である一般廃棄物(法2条2号)に分けられます。

不法投棄の法律上の罰則

産業廃棄物処理法16条の規定に違反して廃棄物を捨てた者は、5年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金又はその両方を科せられます(同法25条1項14号)。

法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が同様の行為を行った場合には、その行為者が上記の刑罰に処せられるほか、法人に対して3億円以下の罰金が科せられることがあります(同法32条1項1号)。

不法投棄の時効

刑事訴訟法250条2項に公訴時効についての定めがあります。不法投棄の罰則には5年以下の懲役が含まれています(産業廃棄物処理法25条1項14号)。したがって、不法投棄は「長期10年未満の懲役又は禁固に当たる罪」に該当しますので、公訴時効は5年になります(刑事訴訟法250条2項6号)。

不法投棄が警察に露見する経緯

不法投棄が警察に摘発される経緯には様々なものがあります。例えば、河原や空き地に家庭ごみを捨てている際に、パトロール中の警察官に発見されて摘発される事例や、大量の粗大ごみを私有地の山林に定期的に投棄し、土地の所有者の通報で捜査に繋がる事例があります。どうせ見つからないだろうという安易な考えで不法投棄を行うのは危険です。

家庭ごみや少量の投棄でも処罰の対象か

一般家庭で生じた少量のごみだからといって、不法投棄にならないということはありません。上記のとおり、産業廃棄物処理法2条1号の定める廃棄物の定義には、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻」などが含まれます。そのため、家庭で生じた少量のごみを適切でない方法で投棄すれば不法投棄に当たり、罰則の対象となる可能性があります。

なお、土砂やこれに準ずるものは、廃棄物には含まれません(廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について(環整43号))。したがって、家庭で観葉植物などを育てる際に不要になった土砂を廃棄したとしても、不法投棄には当たらない可能性が高いです。

不法投棄未遂や廃棄物の収集・運搬も処罰の対象か

不法投棄は、未遂であっても罰せられます(法25条2項)。また、産業廃棄物の収集や運搬を業として行うには、一定の許可を受ける必要があります(法7条1項、法14条1項等)。
これらの規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集や運搬等を業として行った者は、5年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金又はその両方を科せられます。

廃棄物処理法以外の法律に違反する可能性も

不法投棄をしようとして、他人の所有する土地や建物に侵入した場合には、住居侵入罪建造物侵入罪に問われる可能性があります(刑法130条)。これらの罪が成立する場合には、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

まとめ

以上のように、不法投棄については、産業廃棄物処理法によって明確な罰則が定められています。適切な方法で家庭ごみを処理しなければ、不法投棄に該当する可能性があるので注意が必要です。

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