少年院と少年刑務所|少年院と少年刑務所の違いを弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

少年院と少年刑務所|少年院と少年刑務所の違いを弁護士が解説

刑事弁護コラム 少年院と少年刑務所|少年院と少年刑務所の違いを弁護士が解説

少年院と少年刑務所の違い

 少年院とは,家庭裁判所から保護処分として送致された者及び少年法56条3項の規定により少年院において刑の執行を受ける者を収容し,これに矯正教育を授ける施設のことをいいます(少年法1条)。
 少年院は,一般的に4種類に分けられており,初等少年院,中等少年院,特別少年院,医療少年院があります。
 初等少年院は,心身に著しい故障のない,おおむね12歳以上16歳未満の者が収容される少年院です。中等少年院は,心身に著しい故障のない,おおむね16歳以上20歳未満の者が収容される少年院です。特別少年院は,心身に著しい故障はないけれども,犯罪的傾向の進んだおおむね16歳以上23歳未満の者が収容される少年院です(ただし,16歳未満であっても,受刑者は収容することができます。)。医療少年院は,心身に著しい故障のある,おおむね12歳以上26歳未満の者が収容される少年院です。
 これらの区分は,入院時の少年の年齢を基本としつつ,犯罪的傾向が進んでいるか否か,医療的な対応が必要か否かを加味して分けられます。
 少年院では,保護処分となった少年の更生を図るために,生活指導,職業補導,教科教育,保健・体育,特別活動を行っています。
 少年刑務所とは,16歳以上20歳未満の受刑者を収容する刑務所のことをいい,全国に7つの施設があります(函館少年刑務所,盛岡少年刑務所,川越少年刑務所,松本少年刑務所,姫路少年刑務所,奈良少年刑務所,佐賀少年刑務所)。
 少年刑務所は,保護処分に付すよりも刑罰を科す方が適切であると家庭裁判所に判断された少年が,刑事裁判にかけられて実刑判決を受けた場合に収容される施設です。
 このように,少年院と少年刑務所は,少年が何かしらの刑事事件を起こしたことによって収容される施設である点では共通していますが,施設の存在する目的という点では大きく異なります。
 少年院は,上記のとおり,少年の更生及び教育に重点が置かれていますが,少年刑務所は,基本的に成人が収容される刑務所と同様に,刑罰として刑務作業などを行うことになります。ただ,少年であることにも配慮はなされており,成人とは異なる教育的処遇も取られています。

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少年院での生活とは

 少年院の矯正教育は,在院者を社会生活に適応させるため,その自覚に訴え規律ある生活の下,教科教育,職業補導,適当な訓練及び適当な医療を授けるものとされています(少年院法4条)。
 具体的には,教科教育では,少年の年齢に応じた義務教育が行われ,学力テストの実施や通信教育,さらには高等学校卒業程度認定試験の受験も行われることもあります。職業補導では,溶接,木工,土木建築,建設機械運転,農業,園芸,情報処理,介護サービス,接客応接等が行われており,資格・免許取得に向けた指導も行われることがあります。また,保健・体育及び特別活動としては,社会見学や社会奉仕活動等の院外教育活動,体育祭・文化祭等の行事,各種クラブ活動が行われています。
 少年院での生活は,入所当初は個室寮での生活から始まり,その後,調査等を経て集団生活へ移行していきます。教育活動は教室や多目的ホールで行われ,それぞれの集団寮の居室は施錠されず,共同の空間となっています。そのため,少年は集団での生活の中で,社会内で生じる種々の困難を乗り越え,健全な社会人として生きていくための教育が行われているといえます。
 なお,少年院に在院中,少年院長は,近親者その他適当な者に対し,通信又は面会をするように勧めなければならないとされています(少年処遇規則56条)。多くの少年は,退院後に親やその他近親者のもとに帰ることになるため,連絡が重要になるためです。そのため,少年院には面会を実施するための部屋が設けられ,矯正教育に害がない場合には許可されることになります。

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