性犯罪とSNSの諸問題を弁護士が解説|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

性犯罪とSNSの諸問題を弁護士が解説

刑事弁護コラム 性犯罪とSNSの諸問題を弁護士が解説

性犯罪とSNSの諸問題を弁護士が解説

 人との交流や出会いを求めた時にどういう手段を考えますか。
 近所の飲み屋さんに遊びに行く,友人に紹介してもらう,親族に紹介してもらいお見合いをする,結婚相談所を利用する等,実際に自身の足で出会いの場に赴くことが選択肢として多いと思います。
 いまや多くの方がSNSを通じて,家族や友達,仲間内や不特定多数の様々な人と交流を深めており,すでに我々の生活には欠かせない存在になっています。
 手軽に誰でも利用できるSNSですが,家族や仲間同士での利用ではなく,人生のパートナーや恋人探しといった新しい出会いのツールとしても発展してきています。知らない人とでも簡単に出会える事で犯罪に巻き込まれる可能性も高くなります。性交渉を強要されたり,やり取りの中で卑猥な写真を送らせたりというトラブルに巻き込まれることもあるかもしれません。今回はこのようなSNS(アプリ)における性的トラブルのリスクや,どのような犯罪にあたる可能性があるかついて解説いたします。

SNSとは

 SNSは「ソーシャルネットワーキングサービス」の略称で,社会的なつながりを提供するサービスの事です。インターネットを通じて趣味嗜好の近しい人やそれ以外の人とコミュニケーションをとる事を目的としており,情報の発信や共有,拡散といった機能もあり,仲間同士で共有や共感をするために利用している人が多く見られます。代表的なものとして,「LINE」「Twitter」「Instagram」「Facebook」を挙げておきます。近年SNSを通じて犯罪行為に及んだり,犯罪行為を自慢したりという事件も増えてきています。SNSによっては匿名で利用できるという特性上,制限もなくたくさんの人が自由に発信をしています。発信の内容によっては犯罪行為に該当している可能性もあります。
 例えば,わいせつ画像・動画の拡散や,アップロードは「わいせつ物頒布(刑法175条)」に該当しますし,18歳未満の未成年に対して,「ホテル別で5万でどう?」などと持ち掛け買春行為に及ぶことも,「児童買春」にあたります。もちろん,盗撮画像をアップロードしている行為も犯罪行為にあたります。のちほど,事例をあげてどのような犯罪に該当するかも解説いたします。
 また,同じSNSでもアプリ媒体のものも多く発信されており,最近ではチャット(会話)や出会いに重点を置いたマッチングアプリも増えてきています。出会いの場として昔からある出会い系サイトと昨今のマッチングアプリはどう違うのでしょうか。

マッチングアプリと出会い系サービスの違い

 出会い系サイトや出会い系アプリ(出会い系サービス)は,2000年代後半より,匿名で誰もが手軽に出会えるサービスとして普及しました。匿名で利用者に対する制限が少なく利用できる分,危険性が高いことや,サクラ(個人の業者)が多いと言われており,トラブルや事件に巻き込まれるケースが多くあります。
 対して,マッチングアプリは個人情報の登録が必要となります。これは,プロフィールに乗せる情報だけではなく,運転免許証や身分証を管理会社(運営)側に提示することが必要となります。そういった過程が必要なので,出会い系サービスと比較しサクラ(個人の業者)が少なく,アプリ内のパトロールがされていたりすることも特徴です。
 料金がかかるサービスも多く存在しますので,安全性が高く,利用者も安心して出会いを探すことができるでしょう。
 ただし,所詮は顔の見えない相手とのやり取りですので,個人情報を登録しているとはいえ,100%安全との断言はし難いでしょう。もちろん,様々な対策を講じることで,犯罪率は下がってきていますが,嘘の個人情報を登録したり,既婚者なのに未婚と偽ったりと,悪事に利用する人もいますので,トラブルや犯罪の温床の一つとなりかねないのが現状といえます。

性犯罪となり得るSNSでの行動

 このように簡単にダウンロードができ,誰でも使用できるマッチングアプリ上やSNS上のやり取りで起こりうるケース別にし,どんな行為が犯罪へつながるのか,どのような罪に問われるのかを紹介していきます。

1.「下着の写真を送ってよ」と持ち掛ける

 未成年(18歳未満)の児童に対し「下着の写真送ってよ」などと持ち掛け,写真送らせる行為は,児童ポルノの製造または所持,強要罪にあたります。また,その写真をSNSにあげることは公然わいせつ罪にもあたります。

児童ポルノ製造・所持,公然陳列(児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項)

 第1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
 第2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 第3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
 同法7条第6項不特定多数への提供または公然と陳列した場合

 では,どのような画像が,児童ポルノ画像にあたるのでしょうか。「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部,臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するもの」が児童ポルノ画像にあたります。
 未成年者と性的な関係が一切なく,一方的に児童ポルノ画像を児童本人が送ってきた場合でも注意が必要です。児童本人に被害意識がないケースでも,児童ポルノ画像のデータが携帯機器などに送られた場合には児童ポルノの所持にあたり得ますので,保護者がやり取りを見つけて通報された場合に事件化してしまうこともあります。

 また,自撮り写真や下着姿を撮影させて「送らないと家族にばらすぞ」と言うことや,送った動画や写真を使い「ばらまかれたくなければ…」と性交渉を持ち掛けたりする行為は強要罪(刑法223条)にも該当します。

第223条(強要罪)

 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

 また,児童買春ももちろん犯罪にあたります。児童に対し,お金ではなく,物を対価に性交渉を促す事も児童買春にあたるという判例もありますのであわせて紹介しておきます。

水戸地裁平成28年9月12日

 被告人が,Aに対し,性交の対償としてポータブルオーディオプレーヤーを供与し,Aと性交し,もって児童買春をするとともに,13歳未満の女子を姦淫するなどした事案において,量刑の中心となる判示第1の3の強姦・児童買春は,インターネットを通じて知り合った女児Aに対し,Aが欲しがっていたポータブルオーディオプレーヤーを与え,それと引替えに性交に応じさせたというものであり,僅か11歳の女児を買春した悪質な犯行であり,Aの判断能力の未熟さに付け込んだ犯行であるから,Aが性交渉に関する願望等の書き込みをしていたことやAの本件に関する姿勢自体は量刑上重視できないとして,懲役3年,執行猶予5年を言い渡した事例。

2.性交渉の動画をアップロードしてしまった

 晴れてマッチングした相手から「性交渉の動画を撮らせてほしい」などと持ち掛けられ,性交渉の動画を撮ることを許してしまったということもあるかもしれませんが,たとえ個人で楽しむために撮ったという性交渉の動画や自慰行為の動画,写真であっても,これをインターネット上にアップロードしてしまうと,わいせつ物頒布罪(刑法175条)にあたります。

刑法175条(わいせつ物頒布罪)

 1項 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
 2項 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

 ここでいう「わいせつ画像」の定義はなされていませんが,少なくとも性器が明確にわかる写真や画像等は当然に該当するといえます。わいせつの定義は曖昧なので,あいまいだからこそ気をつけなければ犯罪にあたる可能性があります。
 そして,処罰の対象となる行為としては,①頒布,②公然陳列,③電気通信による頒布,④所持・保管の4つが当てはまります。
 ①頒布とは,有償・無償を問わず,不特定又は多数の人に交付することを言います。相手に引き渡した時点で犯罪に当たります。ここでいう④所持・保管については,販売等の目的で,事実上の支配下に置く事が該当します。
 また,相手の許可なく性交渉の動画や写真をインターネット上にあげることは次に紹介する,ケース③のリベンジポルノ防止法に該当する可能性もありますので,ケース③もあわせてご覧ください。

3.リベンジポルノ

 カップルとしてマッチングが成立したとしても,その幸せがずっと続くとも限りません。相手を信じているからといい性交渉を動画に撮ってしまったり,告知されずに動画を撮られていたりすることもあるかもしれません。そういった動画を撮るだけ,撮ったものを自分や相手との間のみで観賞するだけでは私的利用といえるため違法ではありませんが(相手が18歳未満であればその時点で法に触れます),それらをSNS上にアップロードすることはリベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反)に該当し得ます。

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律

 第3条1項 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 2項 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
 3項 前2項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、または私事性的画像記録物を提供した者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

 また,「この動画をばらまかれたくなかったら言うことをきけ」と脅すことも強要罪脅迫罪にあたります。万が一被害にあった場合にはすぐに警察や弁護士に相談することが大切です。
 これに対して,同意の上でわいせつ画像や動画を作成しアップロードした場合は,リベンジポルノ防止法による処罰の対象ではなく,ケース②のわいせつ物頒布罪にあたります。
 リベンジポルノ防止法でいう「私事性的画像」とは,以下が該当します。

  • 性交または性交類似行為
  • 他人が人の性器等を触る行為または人が他人の性器等を触る行為
  • 服の全部または一部を着けていない姿で,殊更に人の性的な部位が露出されたり強調されたりしているものであって,性欲を興奮させまたは刺激するものを撮影した画像で,第三者に見られることに同意が得られていないもの

 インターネット上で画像や動画が拡散されてしまうと,被害が拡大し,削除要請等も追いつかなくなります。自分一人ではどうにも対応できなくなってしまいますので,一人で悩まずご相談ください。警察に相談することも有効な手段です。

4.強制わいせつ,強制性交等

 「マッチングアプリで知り合ったのだから」,「意気投合してデートに及んだのだから」,とはいえ必ずしも性行為をしてもよいという事ではありません。一旦立ち止まって,本当に嫌な思いをしていないかどうかを確認することが,今後の関係もよりよいものになっていくと思います。
 同意と明確に意思表示されたわけではないけど,「おそらく」同意だろうで進めてしまった性交渉やボディタッチは,強制性交等罪(刑法177条)や強制わいせつ(刑法176条)にあたるかもしれません。

刑法176条(強制わいせつ罪)

 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

刑法177条(強制性交等罪)

 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

 条文を見てもわかるように「13歳以上の者」「13歳未満の者」に対し行うことが罪にあたります。同意がなく性的な接触があった場合には,性的接触それ自体が「暴行」に該当し,強制わいせつ罪が成立する可能性があります。行為がエスカレートし,性交渉や口腔性交等があった場合には,強制性交等罪が成立します。
 とはいえ,性行為に及ぶ前に同意があるかどうかを確認することは難しいかと思います。相手が実は嫌がっているなどは,見た目ではわからないことがほとんどです。
 訴えられてしまうと取り返しがつかない場合もありますので,それを防ぐためにも,性行為に及ぶ前にできるだけ相手のことを理解し,心の距離を近づける努力が必要です。
 トラブルにならない様に,相手とのメール等の履歴を残しておくことも対策の一つです。合意があったとするには,第三者の証言やお互いのやり取りの中で親密さがうかがえる事があげられます。2人きりで会わず,カフェや人目のつくところで会う事で被害に遭わないようにするだけではなく,自分の身を守ることにもつながります。
 十分に注意していても,巻き込まれてしまう可能性もあります。真に身に覚えのない事件については,安易に認めないようにしましょう。

5.家出少女

 SNSで「家出たい」や「家に居たくないので,泊めてくれる人探してます」といった書き込みや家出少女のハッシュタグが散見されます。テレビでも話題となっており,ニュースにもなっています。
 匿名で使用できるという特性上,未成年者でも簡単に募集をかけることができ,「困っているから助けてあげよう」という善意から引き受けてしまうこともあるかもしれません。
 しかし,未成年者を保護者や親権者の同意なく支配下から引き離す行為は,未成年者略取・誘拐(刑法224条)という犯罪行為に該当し,処罰は3か月又は7年以下の懲役と,決して軽いものではありませんので,安易に応募・返答するのは危険です。

刑法第224条(未成年者略取及び誘拐)

 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

 略取と誘拐の違いを簡単に説明すると,略取は「暴行・脅迫」の手段を用いて,事実上の支配化に置くことであり,誘拐は「欺罔・誘惑」の手段を用いて,事実上の支配下に置くことです。
 未成年者略取は親告罪なので,募集した未成年者本人か,その保護者・親権者により告訴されなければ刑事事件として起訴することはできません。
 例えば,先ほどの家出少女の例でみると,未成年者の場合どんな理由であれ,罪に該当しましたが,未成年者に限らず,家を提供してあげる代わりに性交渉を求めるような行為はわいせつ略取罪(刑法225条)にあたります。

刑法第225条(営利目的等略取及び誘拐)

 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

 この条文における,加害の目的について簡単に説明します。

  • 営利目的…財産上の利益を得る目的。自身の金銭的利益のために他人を利用すること
  • わいせつ目的…性交渉や性的接触をする目的
  • 結婚目的…自身や第三者と結婚させる目的。この場合事実婚も対象行為
  • 生命・身体に対する加害の目的…殺害や傷害,暴行を加える目的

 上記を目的として,他人を誘拐・略取した場合に,刑法225条に該当します。
 家出少女に関する判例もあるのでご紹介しておきます。

長崎地裁令和2年9月3日

 被告人が,A(当時14歳)が家出願望を有することに乗じて,わいせつな行為をする目的で,同人を誘拐しようと考え「ツイッター」のメッセージ機能を利用するなどして「大阪だけど来る?」「交通費は出すよ」「不安なら俺が福岡まで迎えに来ようか」などと申し向け,前記Aが家出をして自己の下に来るように誘惑し,Aにその旨決意させ,被告人方に連れ込み,Aを同所に寝泊まりさせるなどして同人を自己の支配下に置き,もってわいせつの目的で人を誘拐したとして,わいせつ誘拐の罪で懲役1年6か月を求刑された事案で,本件においては,Aが家出したいと考えて,SNS上で泊めてくれる人を募集したことが発端となったという経緯が認められ,本件の違法性は,同種事案の中でそれほど高いものではなく,また,Aの法定代理人であるAの父との間で示談が成立していることや,被告人には前科はなく,事実を認めて反省の態度を示していることなどの一般情状を考慮するとして,被告人を懲役1年6か月に処し,3年間その刑の執行を猶予した事例。

性犯罪に巻き込まれたら弁護士へご相談を

 ここまでたくさんのケースをご紹介してきましたが,こうした性犯罪では突然逮捕され身柄拘束される可能性もあります。ここでは,弁護士に相談するメリットや弁護活動についてご紹介いたします。

自首同行

 自身の行為が罪にあたると知り,罪の意識に苛まれ,ご不安で仕方ない場合には,自首を検討することも1つの手です。メリットとしては,逮捕されにくくなることです。自身で罪を認め,自首をする場合は在宅捜査にしてもらえるリスクが上がります。
 在宅捜査とは,逮捕せずに事件を捜査し,必要な取り調べは,家宅捜索や任意同行の要請をし,本人を警察署に呼んで取調べを行うものです。
弁護士がご相談者より入念に事情を聞き,逮捕可能性がある事案については意見書を作成するなどし,一緒に警察署へ出頭します。その際に弁護士の説得により在宅捜査で事件を進める事ができる可能性があります。
 また,ご依頼いただいた場合には,取調べの受け答えについてのアドバイスや警察官と連絡をとり,捜査状況の確認をし,今後の捜査方針を見据えた上での効果的な弁護活動を行います。

身柄解放活動

 すでに警察の調べが入っている場合や,重大事件の場合は,急に自宅に来て逮捕されてしまう場合も少なくありません。犯罪行為に身に覚えがある場合には,逮捕される前にあらかしめ弁護士にご相談いただくことで,事前の準備が可能となり,逮捕された場合にも速やかに身柄解放活動を開始することができます。
 逮捕から勾留されるまでの最大72時間は家族であっても面会することはできませんので,早期に弁護士へ相談し,接見先行等で事件の把握をすることが必要です。
 弁護士は長期の身柄拘束をされないように,勾留請求を避けるため,意見書を提出し,時には裁判官や検察官と面談や電話によって説得する活動をします。
 たとえ,勾留されてしまっても,弁護士に依頼していれば,取調べについてもどのように対応すればよいのかもアドバイスも可能なので,精神的負担の軽減につながります。

示談交渉

 事件として捜査が始まった場合,前科をつけないための弁護活動になります。例えば,被害者と示談し,被疑者の刑事処罰を求めないとする合意に至った場合には,不起訴になる可能性もあります。
 しかし,性犯罪の示談交渉については,被疑者や家族が被害者と直接の示談交渉は原則できません。依頼した弁護士による交渉を通じて,捜査機関からは伝えられなかった被害者の心情の仔細を知ることができる可能性があり,また,依頼人の謝罪の意志を伝える事も可能になり得ます。トラブルが発生してしまった場合は,手遅れになる前に,弁護士に相談することが必要です。

勤務先への対応

 性犯罪での刑事事件となると,勤務先からの退職を求められることや,懲戒解雇を受けるリスクも高くなります。弁護士をつけることにより,依頼人の許可を得たうえで,事件の概要や処分の見通しなどを勤務先へ伝え,依頼人に対する寛大な措置を申し入れることも可能になります。
 もちろん犯罪行為はいけないことですが,相手が未成年者だと知らなかった,気づいたら事件に巻き込まれていたという場合もあるかもしれません。その場合は,弁護士が無罪を主張することも検討します。

 未成年者への加害行為は厳しい処罰の対象になり得ますので,十分に注意が必要です。相手の気持ちを常に思い遣り,とりわけ相手が未成年者かもしれないと感じた場合には児童ポルノ法の各処罰を思い出していただき,思いとどまる気持ちを持つことにしましょう。また,身に覚えのない事件に関しては,安易に認めないようにしましょう。
 性被害に巻き込まれてしまった場合,恥ずかしい気持ちから身近な人への相談は難しいかもしれません。しかし,弁護士や警察への相談の結果,良い方向に向かうこともあります。ご自身で抱え込まず,お気軽にご相談ください。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回はSNSに特化した性犯罪をとりあげてきました。誰でも利用できるという事は,未成年者とも簡単にマッチしてしまうという事です。何が犯罪になり得るのか,犯罪行為をしてしまった場合はどう対応すればいいのかを少しでも知っていただけたら幸いです。
 ご自身で対処しようとした結果,取り返しのつかないことになったというケースも十分にあり得ます。万が一ご自身やご家族が犯罪に巻き込まれた,不安な状況になってしまったということがあれば,なるべく早く弁護士に相談することをお勧めします。

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