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フェイクニュースは犯罪となるか? 弁護士が解説

フェイクニュースが社会問題となった背景

フェイクニュースとは虚偽の情報でつくられたニュースを言います。現代特有の問題のように思えますが、実は、フェイクニュースというのは数百年前、印刷技術が発達したころから存在していました。「デマ」や「怪文書」に限らず、国家的なフェイクニュースもありました。例えば、戦時中の「大本営発表」のように、負けているのに勝っていると発表し、戦意高揚を図るということをやっていましたし、日本だけではなく、色々な国々で政治的意図をもったプロパガンダニュースを流していました。今でもそうです。

ところが、昨今のフェイクニュースは、国家や報道機関が発信の担い手ではなく、SNSの発達によって、一個人であっても、情報を発信、拡散することが容易となりました。個人がSNSなどに発信する情報は不確かな情報である場合も多く、また、再投稿(リツイート)など拡散力も強いため、より深刻な状況を招いています。Twitterは速報性があり、Facebookなどでは「いいね」欲しさ心理(承認欲求)が働き、特に大きな関心を呼ぶ大事件や大事故、さらに地震などの自然災害の被害状況に話題性をつけ発信・拡散をするなど、フェイクニュースの問題性は増大しています。

では、フェイクニュースを発信、拡散することは罪に問われるのか、どのような刑罰があるのかを代表弁護士・中村勉が解説します。

フェイクニュースの種類

フェイクニュースの種類は細かく分類することができます。だますことを目的として完全に捏造された「捏造コンテンツ」、だます目的で事実である情報に手を加えた「操作されたコンテンツ」、報道機関や他人になりすまして情報を発信する「なりすましコンテンツ」、正しい情報に本来とは異なった文脈で発信する「誤った文脈」、個人を攻撃する目的で情報を利用する「ミスリーディングなコンテンツ」、見出し、画像が情報と一致しない「誤った関連付け」、害を与えるつもりはないがだまされてしまう可能性がある「風刺・パロディ」などがあります。

フェイクニュースを流すことで該当する犯罪

名誉毀損罪(刑法230条)

名誉毀損罪の成立要件は、公然と行われること、事実を適示していること、人の名誉を毀損していることであり、その事実の有無は問題となりません。
公然とは、不特定又は多数人が知りうる状態であり、SNS上の発信などは公然と行われたといえます。
事実とは、人の社会的評価を害するに足りるものである必要があります。例えば、「○○が逮捕された」や「○○という店は豚肉を牛肉として使用している」などといった事実です。

人の名誉を毀損するとは人の社会的評価を害する恐れのある状態を発生させることをいい、犯罪者であるといった悪いイメージを持たせるような内容を発信することなどが挙げられます。
名誉棄損罪が成立すると、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処せられます。

信用毀損罪(刑法233条)

信用毀損罪とは、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損した際に成立する罪で、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

偽計業務妨害罪(刑法233条)

偽計業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の業務を妨害した際に成立し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

フェイクニュースやデマで逮捕される可能性

では、実際に逮捕、起訴されることはあるのでしょうか。
2016年4月14日に発生した熊本地震の直後、「おいふざけんな、地震のせいでうちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」という文章と市街地をライオンが歩いている様子の写真がTwitter上に投稿され、1万7000回以上もリツイートされたということがありました。熊本市動植物園には問い合わせなどの電話が100件を超え、動植物園の業務を妨害したとして、偽計業務妨害の疑いで投稿した者が逮捕されました。

また、2017年に東名高速において起きたあおり運転死亡事件について、あおり運転をした人物の身元を探る掲示板に無関係の会社を被疑者の勤務先とするデマが書き込まれ、ネット上に拡散されました。書き込んだ本人は、その会社の名誉を毀損したとして2021年9月、30万円の罰金の刑罰が確定しました。在宅起訴で、逮捕はされていませんが、刑事罰が科せられています。

SNSで拡散することも違法行為となる

拡散しただけの人も十分罪に問われる可能性があります。拡散しただけといっても、公然と事実を適示したり、虚偽の情報を流布したりすることと変わりないからです。

まとめ

以上のように、フェイクニュースの発信、拡散は罪に問われることがあります。劇的な情報は「いいね」を稼ぐことができて安易に発信、拡散しようとしがちです。投稿ボタン、リツイートボタンを押す前に、間違った情報ではないかしっかり考えましょう。

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