中村国際刑事法律事務所 | 刑事事件の実力派弁護士集団 中村国際刑事法律事務所
お急ぎの方へ メニュー

家宅捜索が来たらどう対応すべきか

家宅捜索は捜査につきものです。家宅捜索なくして証拠収集は不可能です。家宅捜索によって証拠を収集し、保全して証拠破壊を防ぎ、被疑者取調べと相まって起訴に向けての地固めをするのです。

一方で、家宅捜索は人権侵害を伴うので厳格なルールが法律で定められており、「令状主義」という法原理の基で法執行が運用されています。

以下では、警察官などがどのような場合に家宅捜索を行うことができ、家宅捜索を受けた場合、どのように対応すべき等について、代表弁護士・中村勉が解説いたします。

家宅捜索とは

家宅捜索とは、警察官や検察官、税関や国税等が押収すべき証拠物や人の発見をする目的で、人の住居に立ち入り、行う強制処分のことをいいます。今回は警察官や検察官といった捜査機関が主体となって行う捜索に絞り、以下、解説してきたいと思います。

家宅捜索のきっかけになることとは

家宅捜索は、以下解説するとおり、原則として令状が必要です。
捜査機関は、令状の発付を受けるためには、裁判官に対し、特定の犯罪の嫌疑の存在や捜索目的物が存在することの蓋然性を説明する必要があります。

つまり、捜査機関が家宅捜索に来たということは、裁判官が令状を発付するに足りるだけの、特定の犯罪の嫌疑の存在や捜索目的物が存在することの蓋然性が認められているということになります。具体的には、被害者や共犯者の供述、現場に遺留された凶器などの証拠品、現場付近の防犯カメラ映像など様々なものが考えられます。

家宅捜索の条件

憲法35条1項には、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」と規定されています。
したがって、捜査機関は、原則令状がなければ、家宅捜索をすることができないため、家宅捜索を行う場合には、まず令状を提示する必要があります。

ただし、先ほど挙げた憲法35条1項に「第33条の場合は除いては」とあるとおり、令状主義にも例外があります。憲法33条は逮捕について定めた条文であり、逮捕に伴う捜索は例外的に令状がなくても許され、刑事訴訟法にもそのことが規定されています(刑事訴訟法220条1項2号)。

家宅捜索のタイミング、対象

家宅捜索はある日の朝、突然行われることが多いです。事前に予告してしまうと、捜査機関が来るまでの間に証拠隠滅される危険性がありますので、突然来ることが多いです。

家宅捜索の後、証拠物が発見されて現行犯逮捕の場合や、逮捕状を示されて通常逮捕となる場合がありますが、逮捕はされず、その日の取調べを受けた後は帰宅が許されるということもあります。自宅とは離れた場所で現行犯逮捕された場合は、後日家宅捜索が入ることもあります。

捜索の対象は被疑事実と関連性があるものが広く含まれます。具体的に対象を令状に明記しなければなりませんが(刑事訴訟法219条1項)、ある程度概括的な記載も許されています。判例上、令状に記載された被疑事件と関係があり、かつ、例示の物件に準じるものを指すことが明らかであれば、「その他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件」といった記載方法も許されます(最大決昭和33年7月29日刑集12巻12号2776頁)。

本人不在の場合はどうなるのか

本人が不在であったとしても、捜査機関は家宅捜索を行うことができます。
刑事訴訟法222条1項・114条2項によれば、「……人の住居又は看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするときは、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。」と規定されています。

したがって、本人がいない場合には、「住居主若しくは看守者に代わるべき者」「隣人または地方公共団体の職員」を立ち会わせることにより、家宅捜索を行うことができるのです。

家宅捜索の流れ

捜査機関が令状を持っている場合

捜査機関が令状をもって自宅にやって来た場合、基本的に家宅捜索を拒むことはできません。家宅捜索を強制的に実施することの是非を捜査機関とは離れた第三者である裁判官が審査しており、その結果として令状が発付されているからです。

いくら抵抗したとしても、強制力を持って抵抗が排除され、家宅捜索が実施されることになります。したがって、この場合、家宅捜索に抵抗することは避けた方がよいといえるでしょう。無理に抵抗した場合は、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。(刑法95条1項)。

捜査機関が令状を持っていない場合

捜査機関が令状を持っていない場合は、前述のとおり、逮捕に伴う捜索を除き、憲法上の権利として家宅捜索を拒否することができます。逆にいえば、逮捕に伴う捜索であれば、令状は不要であるため、令状がないからといって違法とはいえません。

しかし、逮捕時から時間が経っている場合や、捜索場所が逮捕の場所から離れている場合は、無令状での捜索は許されないと争う余地があります。また、違法な捜索により得られた証拠は証拠能力が否定される可能性があります(違法収集証拠排除法則)。

家宅捜索後の対応

犯罪の証拠が見つかった場合

家宅捜索の結果、犯罪の証拠が見つかった場合、証拠の中身や発見状況によっては、被疑者の嫌疑を裏付けるものとなり、起訴の決め手になり得ます。

ただし、逆に言えば、犯罪の証拠にはなるとしても、その証拠がどの程度の証明力があるのかは、中身や発見状況を総合的に検討しなければ判断できません。その判断には専門的な知識や経験が必要になりますので、家宅捜索で証拠物が押収された場合には、今後の見込みを正確に把握するためにも、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

犯罪の証拠が見つからなかった場合

犯罪の証拠が見つからなかったとしても、今後捜査が継続される可能性は十分に考えられます。捜査機関が家宅捜索に来る場合、捜査機関は、本人又はその関係者に対し、それなりの犯罪の嫌疑を抱いていることが多いですから、今後取調べを受ける等捜査が継続していくことが考えられます。ですので、犯罪の証拠が見つからなかったとしても、やはり今後の見通しを聞くためにも一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

押収物は戻ってくるのか

押収物は所有権を剥奪されているわけではありませんので、所有権を放棄する旨の意思表示をしていなければ、後日還付されます。

ただし、殺人に使用した凶器のように犯罪行為の用に供した物などは、通常還付されることはなく、没収(刑法19条1項)されます。覚せい剤や大麻のように所持することが法律上許されない物も、各特別法の規定に従い、没収されます(覚せい剤取締法41条の8第1項本文、大麻取締法24条の5第1項本文等)。

家宅捜索されたら弁護士にご相談を

いかがでしたでしょうか。
家宅捜索は突然されるのが通常であるため、パニックになり、どうしたらいいのかわからなくなる方も少なくありません。また、何も押収されなかったり、逮捕されなかったりしたとしても、今後も捜査が続く可能性が高いので、放置するのは得策ではありません。家宅捜索が入った場合は、逮捕の有無や押収物の有無に関係なく、早急に弁護士にご相談することを推奨します。

今すぐ無料相談のお電話を

当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
  • 会社を解雇されるのだろうか
  • 国家資格は剥奪されるのだろうか
  • 実名報道されるのだろうか
  • 家族には知られるのだろうか
  • 何年くらいの刑になるのだろうか
  • 不起訴にはならないのだろうか
  • 前科はついてしまうのだろうか

上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

更新日: 公開日:
Columns

関連する弁護士監修記事を読む

経験豊富な弁護士がスピード対応

刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

このページをシェア