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覚せい剤で不起訴や執行猶予になるには

覚せい剤で不起訴や執行猶予になるには

違法薬物の事案の中でも重い類型と言われる覚せい剤取締法違反の事案の場合、不起訴となるためにはどのような弁護活動が必要となるか、また、執行猶予判決を獲得するにはどうしたらよいか、弁護士・坂本一誠が解説いたします。

覚せい剤で不起訴や執行猶予になるには

覚せい剤取締法違反の事件は、逮捕・勾留される可能性が非常に高い犯罪です。
他の薬物事案と比較しても起訴率が高い犯罪であり、覚せい剤の違法行為が事実であれば、多くのケースは起訴となります。

そして、覚せい剤は他の違法薬物に比べて依存性の強い薬物と言われており、何度も繰り返して止められなくなることも珍しくありません。依存症と言われるケースも多くあります。

覚せい剤で不起訴や執行猶予となる事例があるか

覚せい剤取締法違反の犯罪のうち、典型例である覚せい剤の所持や自己使用の事案は、職務質問で発覚し現行犯逮捕されることがほとんどです。職務質問の際に覚せい剤を所持していなくとも、受ける前に覚せい剤を使用していた場合でも、尿検査で発覚し現行犯逮捕となります。その場で逮捕されずとも鑑定結果がでるまで待たされ、結果次第で逮捕という例もあります。

職務質問で薬物の鑑定結果待ちの場合はこちらの記事で紹介しております。

他にも、仲間が逮捕された場合には芋づる式に捜査が及び発覚し後日、警察が自宅に来て家宅捜査が行われ、覚せい剤の所持が発覚して逮捕される可能性もあります。
覚せい剤取締法違反の事件は違法行為が事実であれば、起訴される可能性が非常に高い犯罪です。
令和元年の覚せい剤取締法違反の起訴率は75.7%、起訴猶予率は9.1%です。他の薬物事犯と比較しても、令和2年の大麻取締法違反の起訴率は50.6%、麻薬取締法違反の起訴率は59.9%となっており、覚せい剤取締法違反の事件の起訴率が高くなっています。

参照: 令和2年版犯罪白書令和2年版 犯罪白書 第7編/第4章/第1節/2

冒頭に述べたように、覚せい剤は、他の違法薬物と比べても薬効や依存性が強い薬物と言われています。そのため、他の違法薬物の事案であれば、所持の事案でもその量が極めて少量であれば、犯情が軽いとして起訴猶予になることも考えられますが、覚せい剤の所持の事案では量が少ないという理由で起訴猶予になることは珍しいと言えるでしょう。

覚せい剤取締法違反の刑罰は懲役もしくは、罰金との併科となります。例えば同じ所持の事案であっても、大麻の事案に比べると覚せい剤の所持の事案の刑期や執行猶予期間は長くなる傾向にあります。他の薬物と比べても非常に重い犯罪に位置付けられているのは明らかです。

起訴された場合には、刑の減軽、執行猶予判決を目指すことが重要となります。執行猶予の場合は前科となりますが、直ちに収監されませんので、日常生活の中で、薬物の治療を受けるといった更生が可能になります。懲役刑の場合でも、刑の減軽を目指すことで、より早く刑務所を出所して社会復帰をすることができるでしょう。

一方で、覚せい剤の取締法違反の事案で不起訴になる事例では、嫌疑不十分を理由に不起訴となるパターンです。
検察官から証拠を検討した結果、有罪と判断するには疑いが不十分であるとして不起訴にした場合ということです。
例えば、覚せい剤の自己使用の事案において、他人が被疑者の知らない間に覚せい剤を飲み物に混入したため、被疑者が知らない間に覚せい剤を窃取した可能性がある場合や、被疑者と友人が自動車に乗っていて、自動車から覚せい剤が発見された場合、どちらが所持していたのが証拠から確定できないために、嫌疑不十分を理由として不起訴になる場合があります。

また、日本の刑事裁判では、証拠を獲得した捜査の過程に令状主義を没却するような重大な違法があり、その証拠を裁判で使用することが違法捜査抑止の見地から相当でない場合には、証拠を採用してはならないというルールがあります(違法収集証拠排除の原則)。そのため、捜査機関が重大な違法捜査によって覚せい剤を押収したり、被告人から尿を取得した場合には、嫌疑不十分として不起訴となることがあります。不起訴になった場合には、前科が付かず終了することができます。

覚せい剤取締法違反で規制されているもの

覚せい剤は、依存性が高く、心身ともに影響が大きいとされる大変危険な薬物です。心身の動きを活性化させる精神刺激薬で、フェニルアルミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各塩類を指しています。ただ、国内で流通するほとんどの覚せい剤は「メタンフェタミン」です。シャブ、スピード、エス(S)、白い粉などの隠語が有名です。乱用により、依存症になり、幻覚や幻聴、精神に異常をきたし、日常生活を送ることが困難になる恐れがあります。
そのため、覚せい剤は、使用、所持、譲受、製造が禁止されており、営利目的の製造、輸入出は重く罰せられます。

覚せい剤の刑罰は次の表のとおり定められています。

使用 所持・譲渡し・譲受け 輸入・輸出・製造
単純 営利目的 単純 営利
覚醒剤 10年以下の懲役 10年以下の懲役 1年以上の有期懲役

情状により500万円以下の罰金の併科あり

1年以上の有期懲役 無期又は3年以上の懲役

情状により1000万円以下の罰金の併科あり

覚醒剤
原料
7年以下の懲役 7年以下の懲役 10年以下の懲役

情状により300万円以下の罰金の併科あり

10年以下の懲役 1年以上の有期懲役

情状により500万円以下の罰金の併科あり

覚せい剤事件の弁護活動

覚せい剤取締法違反の事件では、多くの場合、逮捕・勾留となります。最低でも3日間の面会の制限や、最大23日間の勾留がなされます。
弁護士であれば、制限がなく接見することができるので、被疑者への取調べのアドバイスはもちろん、本人の状態を家族に伝えることや、差し入れをすることもできます。

起訴された場合には、保釈の申請をすることができます。裁判官を説得する書面を作成するのが弁護活動の重要なポイントになります。薬物事件の場合、環境整備が更生の第一歩となるので、依存症の改善のためのサポートも行います。

中村国際刑事法律事務所では、覚せい剤取締法違反の事件をはじめとする薬物事件で、多くの保釈を獲得した実績があり、また、それが執行猶予判決や形の減刑につながっています。
執行猶予判決や刑の減軽になぜ保釈が重要なのでしょうか。それは、保釈中、薬物依存の治療を専門とする精神科・心療内科に通うなどして社会内での治療の実績を積みあげることで、社会内で更生ができると裁判官に判断してもらい、刑が軽くなる可能性が高まるからです。より良い判決を獲得するためにも、保釈によって直ちに社会で更生するための環境を整えることこそが肝要なのです。
初犯であれば、高い確率で執行猶予が付されますが、再犯の場合は困難を伴います。裁判官は一度は許しても二度は許してくれないからです。
何をすればいいのか、何ができるのか、経験豊富な弁護士にご相談ください。

即決裁判制度

自白事件や比較的単純な覚せい剤事案であれば、即決裁判制度という制度で裁判を行う可能性があります。
「事案が明白である、軽微である、証拠調べが速やかに終わる」などの条件が成立している場合のみ活用できる制度です。公判は起訴後2週間以内に指定され、通常事件と比べ、早期に裁判が開かれます。判決は公判当日に「即決」でなされ、また、「懲役または禁錮の言渡しをする場合には必ず執行猶予を付さなければならない」といった科刑制限があることから、執行猶予判決が確定している裁判となります。裁判による時間・身体・精神的負担を軽くし安心して執行猶予獲得に望むことができます。
この制度は、弁護士の周到な準備によって実現が可能となるので、覚せい剤事件に強い弁護士へ相談することが必要となります。

覚せい剤で不起訴・執行猶予を獲得した事例

まとめ

すでに認めている覚せい剤の事件では、起訴を避ける事は難しいですが、裁判となった場合でも刑の減軽や執行猶予判決を目指すことが必要です。そのためには刑事事件や覚せい剤の事件を多く扱っている弁護士に相談し依頼する必要があります。当事務所では、年間3000件の法律相談を受けており、覚せい剤の事件も多く取り扱っています。
覚せい剤事件で家族が逮捕された方や、鑑定結果を待たなくてはいけなくなった方、覚せい剤事案でお困りの方はぜひご相談ください。

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刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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