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証人尋問と被告人質問 – 証人尋問・被告人質問のポイントを弁護士が解説

尋問が上手い弁護士、下手な弁護士

証人尋問や被告人質問のでき次第で、被告人の有罪、そして量刑が決まってしまうといっても過言ではありません。行き当たりばったりの尋問や戦略のない尋問では必ず負けます。有効な尋問が出来るかは、現場経験、訓練、センスで決まります。弁護士を選ぶ際には、そのような観点から慎重に選ぶべきです。

中村国際刑事法律事務所では、高度な尋問のための戦略や訓練を行っています。その尋問ポリシーの一端をご紹介します。

証人尋問・被告人質問とは

証人尋問とは、検察官や弁護士が証人に対し質問をして、証人の供述から証拠を得る証拠調べです。被告人質問は、黙秘権があるため被告人は供述を拒むこともできますが、任意の範囲で被告人が弁護士や検察官からの質問に答えるものです。実質的には証人尋問も被告人質問も、供述をしてもらってそれを証拠とする点で同じようなものです。

証人尋問・被告人質問といった法廷尋問は、捜査段階の取調べとは全く違います。取り調べでは、とにかく真相解明を目的にしており、時間に制限もなく、適正な取調べ態様でありさえすれば聞きたいことをなんでも聞くことができます。これに対して、法廷尋問は、証拠を法廷に顕出することを目的としており、検察官は検察官のストーリーを証人の言葉から立証しようとし、弁護士はこれを覆そうとします。しかも、法廷尋問は長くても2時間程度しか時間が与えられないうえ、証人の証言の一語一句が瞬時に証拠となり、取り返しがつかなくなってしまうところが取調べとは異なります。そのため、法廷尋問は取調べと同じように行ったのでは上手くいきません。

このように、捜査段階ではあらゆる証拠を収集し、関係者に対してもあらゆる角度から取調べをして真相を解明することを目的とするのに対し、裁判では検察官による犯罪の証明が十分なものであるかどうかといった観点で、既に固まっている検察官にとっての「真相」を弁護士が弾劾していく構造が基本となり、そこに立証責任の問題が横たわっているのです。弁護士の役割が非常に重要となってきます。

法廷尋問が上手くいくかどうかを決めるのは、準備にかかっています。無罪をとれるのに有罪となったり、執行猶予がとれるのにとれなかったりする原因の9割以上は準備不足といわれており、いかにしっかりと記録を検討し証拠を頭にいれておくかが重要になります。

主尋問・主質問のポイント

主尋問とは、一方の側が申請した証人に対して、法廷で相手側より先に質問を行うことをいいます。簡単にいうと、自分の味方である証人に対して質問をして、有利な証言をしてもらうことです。主質問は、主尋問同様、弁護士が被告人に対して検察官より先に質問することをいいます。

裁判官は、起訴状を見て冒頭陳述を聞いただけであり、まだしっかりとした事件の内容は頭に入っていない状態です。そのため、主尋問は、裁判官が最初に心証を形成するものといえ、プレゼンするうえでとても重要なものとなります。単純なストーリーで、相手側との対立軸を明確化してプレゼンする必要があります。

主尋問・被告人質問の5つのポイントとしては、

  • 裁判官・裁判員がまだ事件の内容を詳しく把握していないことを心得て、分かりやすく伝えるよう努める
  • ストーリーを分かりやすく語るため、時系列で語らせる
  • 尋問・質問する側が語ったりするのではなく、証人・被告人に語らせる
  • 尋問・質問にメリハリをつけて、ストーリーの展開や対立軸を明確にする
  • 主尋問は誘導できないオープンクエッションであるため、事前に証人・被告人と質問のテストをし(証人テストといいます)、話が主題から外れないように準備するというものがあげられます

反対尋問・反対質問のポイント

反対尋問とは、証人尋問で証人を申請した側が主尋問をした後、相手側が行う尋問のことです。自分の敵に対する質問になります。また、被告人質問で弁護士が質問を行ったあとに、検察官が被告人に質問することを反対質問といいます。

検察官の主尋問によって、裁判官の有罪心証は90%~100%固まってしまいます(中には主尋問で裁判官の心証を獲得させられず失敗する検事もいます)。そこで、弁護士は反対尋問で主尋問の信用性を崩すことで、裁判官の有罪心証を60%~70%まで崩す必要があります。そして最終的には、弁護士は、被告人質問で勝負をかけて有罪心証を50%以下にまでもっていくことになります。

反対尋問の5つのポイントとしては、

  • 反対尋問は取調べではないので、疑問に思ったことや聞きたいことを不用意に聞かない(被告人に不利な証言が出てしまうリスクがあります)
  • 回答を予想し奏功しない質問はしない
  • 時間は限られているので、常に誘導をして証言を完全にコントロールし、余計な発言をさせない
  • 証人と議論しない
  • 証人と敵対しないうちに尋問当初の早めの段階で被告人に有利な証言を引き出す

というものがあげられます。

これらのように、効果的な主尋問、主質問、反対尋問のためには、十分な証拠収集と準備が必要になってきます。さらに、尋問技術を習得するためには、訓練が必要になってきます。

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