大麻単純所持で逮捕され、栽培・譲渡の余罪がある事案で執行猶予
自宅に家宅捜索が入り、テーブルに置いてあった約1.5gの大麻単純所持で逮捕・勾留されたという大麻取締法違反の事例です。
相談者の父親が当事務所に相談して弁護士が接見先行に直行し受任に至りました。
依頼者は以前自宅で大麻栽培していたため、上記約1.5gの大麻だけではなく乾燥大麻約200gと栽培器具も押収されました。
また、依頼者は、友人4人に延べ10回ほど1gあたり5000円で自分の栽培した大麻を譲渡していました。
営利目的所持、栽培、譲渡など様々な罪の成否が問題になりますが、依頼者は特に営利目的の有無を強く気に掛けていたため、譲渡はしているもののあくまで自己使用目的で栽培していた大麻のうち一部だけ自分の身近な友人に売ったことがあることを強調するようにアドバイスしました。
また、検察官には勾留中度々連絡し、依頼者の供述内容を踏まえ、営利目的を付けないで起訴してもらうよう働きかけた結果、結局、単純所持一罪のみで起訴されました。
公訴事実に記載されなかったとはいえ、譲渡により、一定の収益を上げたことは事実ですので、依頼者にはその利益に相当する金額の贖罪寄付を推奨し、実際に贖罪寄付を実行しました。
保釈後はすぐに薬物依存治療の通院を開始してもらい、担当医には通院状況や今後の通院等についての簡単な意見書を作成してもらいました。
これらの贖罪寄付や通院関係の書類などを弁号証として証拠調べ請求し、弁論で執行猶予付き判決を求めることにより、無事執行猶予付き判決を得ることができました。
事件のポイント
コロナ禍の中で、覚せい剤等の密輸事案が減少する一方で、科学的生成によらずに栽培によって産出可能な大麻栽培事案が増えています。警察は増加し続け、年少化顕著な大麻事案に対して厳しい姿勢で検挙を強化しています。裁判所もこうした情勢下、厳刑をもって臨んでいます。
本件は、実刑の可能性がありましたが、積極的な弁護活動が奏効して猶予判決を獲得したレアケースです。
執筆者: 代表弁護士 中村勉