再犯防止策を講じた弁護活動の結果、再度の執行猶予を獲得
事件の概要
高齢の相談者は、お店で商品を数点(被害金総額数千円)万引きしたところ、警備員に発見され逮捕。
相談者はこれまでも何度も万引きを繰り返しており、本件は執行猶予中の再犯であったため、警察や検事からは「今回は執行猶予がつかず、実刑になるだろう。」と言われたため、相談来所し受任。
弁護方針
相談者は、金銭的に困窮していないのに万引きを繰り返すクレプトマニア(窃盗症)の特徴を有していたため、窃盗症の専門クリニックを紹介し、保釈後に通院をしてもらった。担当医とも連携を取りながら、窃盗症治療の経過を観察した。
相談者は高齢であり認知症の疑いもあったところ、万引きを繰り返してしまう方々の中には、認知症が主原因となっている事例もあるため、認知症の診察、治療も並行して受けてもらった。
これまでは、相談者自身、家族に度重なる万引き行為を打ち明けず、一人で思い悩み続け、解決しようとしていたため、家族にも洗いざらい全て打ち明けてもらい、窃盗症の専門クリニックの通院等には家族に付き添ってもらった。そして、逐一報告を受け、通院日記も書いて、自身の犯行原因と向き合ってもらった。
そして、これまでの万引きは、経済的目的ではなく、ストレス解消目的にあると判明したため、そのストレス要因となっていた株式投資や個人店経営などの身辺整理をしてもらい、ストレス要因となった原因をなくして再犯に及ばない環境作りを一緒に考えて、それを実行してもらった。
結果
裁判では、このような取り組みを主張した結果、裁判官は、「執行猶予中の再犯なので原則実刑。ただし、本件では更生に期待すべき特段の事情がある。」として、執行猶予中の再犯でありながら、再度、執行猶予判決が下された。
相談者は、裁判が終わってからも、クリニック通院を続け、同じような万引きを繰り返さないようにと毎日日記をつけ、家族ともよく話し合いをしながら平穏な日常生活を送っている。