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被害届を取り下げてもらう方法を弁護士が解説

被害届を出されてしまったとき、刑事処分のリスクを減らすためにどのような行動を取るべきでしょうか。

ここでは、被害届が出された場合の効果、告訴との違い、取下げの効果、取下げる方法、示談交渉の注意点などについて弁護士が解説していきます。

被害届とは

被害届とは、犯罪の被害を受けたことを警察に申告するための書面のことをいいます。被害届が提出された場合、警察は受理を拒むことはできません(犯罪捜査規範61条1項)。

犯罪捜査規範 第61条
警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
2 前項の届出が口頭によるものであるときは、被害届(別記様式第6号)に記入を求め又は警察官が代書するものとする。この場合において、参考人供述調書を作成したときは、被害届の作成を省略することができる。

被害届が出された場合の効果

それでは、被害届が出され、警察が受理した場合にどのような効果が生じるのでしょうか。被害届と同じく、被害者が捜査機関側に行う申告として、告訴という制度があります。告訴がなされた場合、捜査機関は速やかに捜査を開始しなければならないという義務が生じます(刑事訴訟法242条)。

刑事訴訟法 第242条
司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

他方で、被害届には法律上の効果がないため、受理したからといって告訴のように必ず捜査を開始しなければならないという義務はなく、実際に捜査が行われるかどうかは捜査機関の裁量に委ねられています。
とはいえ、被害届が一度提出された場合には、そのまま事件化し、捜査がなされることが多いのも事実です。したがって、刑事処分のリスクを減らすためには、被害届の取下げをすることが大変重要なのです。

被害届が取下げられた場合の効果

被害届の受理に法的効果がないのと同様、被害届が取下げられたときも法律上の効果は発生しません。取下げられたときに捜査を打ち切るかどうか、不起訴にするかどうかは、あくまで捜査機関側が判断することになります。しかし、被害届の取下げは、以下のような事実上の効果を発揮します。

通常、被害届は被害者が処罰感情を持って提出されるものです。したがって、被害届が取下げられるということは、実質的に、これ以上の処罰を望まないという被害者の意思表示を意味し、捜査機関はそれを認識することになります。そのため、被害届が取下げられれば、捜査が終了する、あるいは不起訴となる可能性が高まるのです。ですので、捜査を終了させたい、あるいは不起訴にしたい場合には、まずは被害届を取下げてもらうことがとても重要になります。

被害届の取下げ方法

被害届を取下げるためには、口頭ではなく書面を提出する必要があります。これは、取下げの事実を客観的な証拠として残すためです。被害者が被害届取下げの書面に記入し、警察が受理することで、はじめて被害届を取下げることができます。

被害届を取下げてもらうには

被害届を取下げてもらうためには、被害者との示談を成立させなければなりません。そして、示談が成立した際に取り交わす示談書において、被害届を取下げる旨を記載し、被害者が取下げの手続きをすることで、被害届の取下げが完了します。

(1)示談とは

示談とは、加害者が被害者に金銭を支払うことによって事件を精算することをいいます。示談により被害届が取下げられれば、あえて捜査を続行する必要性がなくなるため、逮捕や不起訴を回避する可能性が高まります。

    主に示談が行われる犯罪

  • 窃盗罪
  • 器物損壊罪
  • 名誉毀損・侮辱罪
  • 暴行罪・傷害罪
  • 不同意(強制)わいせつ罪
  • 不同意性交等罪
  • 詐欺罪
  • 横領罪
  • 迷惑防止条例違反(痴漢・盗撮など)

上記に挙げた中でも、器物損壊罪、名誉毀損・侮辱罪、親族間における窃盗罪などの親告罪は、被害者による告訴がなければ起訴することができないため、告訴や被害届が取下げられれば捜査機関が介入することはなくなります。もちろん、それ以外の犯罪でも、示談の成立により刑事処分のリスクを減らすことができます。

(2)被害者と直接示談できるか

被害者が顔見知りで連絡先を知っている場合、被害者に連絡を取って直接示談交渉しようと考える方もいらっしゃると思います。しかし、本人同士で示談交渉を行うことはお勧めできません。

被害者は被害感情を持って被害届を提出しています。素朴に言えば、加害者にきちんと罰を受けてほしいとか許せないということです。そこに加害者本人がいきなり連絡を取ったり会ったりして許しを求めても、逆効果となってしまうことが殆どです。性犯罪などの場合には、加害者の声を聞いたり姿を見たりするだけで事件のことがフラッシュバックし、二次被害に繋がりかねません。

更に、加害者本人が示談を持ちかけることで、お金だけで解決しようとしていると捉えられて被害感情を刺激するリスクも高いです。そうすると、被害者に相手にしてもらえないどころか、その後の示談交渉がより困難な状況になってしまうということになりかねません。したがって、加害者から被害者に直接被害届の取下げをお願いすることは、被害者の心情を考えると得策ではありません。さらに、被害者に対して被害届の取下げを働きかけたということで、捜査機関側から証拠隠滅を図ったと捉えられてしまうケースがあります。

このように、弁護士を通さずに直接被害者に対し示談交渉を持ちかけることは、良い結果に繋がるどころか、逮捕・勾留や起訴されて前科が付くという結果に繋がるリスクがあります。また、弁護士ではなく共通の知人などの第三者に仲介してもらうことも、新たなトラブルを生むことになりかねない上、こちらも証拠隠滅と捉えられるおそれがあるので、避けたほうがよいでしょう。

弁護士は示談交渉のプロですから、被害者に対し示談をすることのメリットを提示して交渉を有利に進めることができます。もっとも、当事務所では、被害者感情を無視したような強引な説得は行いません。示談交渉はあくまで双方の合意の上に成り立つものですし、警察から被害者に対して示談状況のチェックがなされた場合に強引な示談交渉を行っていたのでは、その示談は全く意味のないものになってしまうからです。

そして、示談交渉において何よりも大切なことは、被害者に対して真摯に謝罪することです。当事務所では、依頼者が心から反省していることを被害者にお伝えし、被害者の心情に配慮した上で誠意を持って粘り強く示談交渉を行います。もちろん、示談交渉が成立した後の警察とのやり取りも弁護士が行います。

(3)示談できなかった場合

示談できなかった場合、捜査がそのまま行われて逮捕されてしまう前科がついてしまう刑が重くなってしまうといったリスクが高まります。示談交渉が難航している間にも刑事手続は進んでいくので、少しでも早い段階で弁護士に依頼して示談を成立させ、被害届を取下げてもらうことが重要です。

示談交渉に強い弁護士の探し方

示談交渉に強い弁護士を探すときには、示談交渉によって不立件・不起訴処分を獲得した実績があるかどうかをチェックしましょう。中村国際刑事法律事務所では、元検事が率いる刑事事件に強い弁護士が在籍しており、示談交渉での解決事例も豊富にございます。個別のご相談については、お電話・お問い合わせフォームにて24時間受付しております。

弁護士に相談する際は、どのように被害者の方と交渉を行う見通しなのか、弁護士に尋ねてみましょう。示談交渉の豊富な経験を持つ弁護士であれば、示談を成功させるためのポイントや一般的な流れを分かりやすく説明してくれるはずです。

被害届が取り下げられた実際の解決事例

まとめ

ここでは、被害届が提出された場合の効果、取下げてもらう方法などについて解説しました。被害届を提出されてしまった場合には、一刻も早く示談を成立させて被害届を取下げてもらうことが大切です。不起訴処分を獲得した場合には前科がつきませんので、社会復帰に向けた大きな一歩となるでしょう。

そのためには、被害者の心情に配慮して示談交渉を進めていかなければなりません。示談交渉を行うのが刑事事件の示談交渉に強い弁護士であるかそうでないかによって、その結果は大きく左右します。当事務所は刑事事件を数多く取り扱っており、示談交渉の経験も豊富です。刑事事件はスピードが命です。土日・祝日も対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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