交通事故|交通事故の多発について事例とあわせ弁護士が解説|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

交通事故|交通事故の多発について事例とあわせ弁護士が解説

刑事弁護コラム 交通事故|交通事故の多発について事例とあわせ弁護士が解説

交通事故|交通事故の多発について事例とあわせ弁護士が解説

 最近,立て続けに被害者が死亡する交通事故の報道がなされています。普通の人が突然,被疑者・被告人となってしまう交通事故とは恐ろしいものです。
 交通事故を起こしてしまった場合,刑務所に入ることになるのだろうか。損害賠償もしないといけないと聞いたけど,免許取り消しになると聞いたけど,どうなるのだろう…そのような不安を解消するために,交通事故を起こしてしまった場合の法的責任について解説します。

交通事故を起こした場合の責任

 交通事故を起こしてしまった場合に私たちが取るべき責任は,(1)刑事責任,(2)民事責任,そして,(3)行政上の責任があります。それぞれ異なった責任の取り方ですので,分けて考えるのが分かりやすいと思います。

1. 刑事責任とは

 刑事責任とはあなたが起こした交通事故が刑罰法規に触れた場合の責任の取り方です。刑務所に入るかどうか,罰金を払うかどうか,執行猶予になるかどうか。これが刑事の責任の話です。
 例えば,無免許にも関わらず,酒を飲んで酒に酔った状態で車を運転し,誤って人をはねて怪我をさせてしまったとしましょう。この場合,無免許運転罪(道路交通法117条の2の2第1号 ),酒酔い運転罪(同法117条の2第1号)そして,危険運転致傷罪(法2条1号)が成立します。
 刑事責任は,刑罰を定める法令に違反することによって責任が生じることです。 詳細は後に説明します。

2. 民事責任とは

 次に民事責任とは,あなたが起こした交通事故によって他人の物が壊れたり,人が怪我をしたり,死んでしまった場合の損害を賠償する責任の取り方です。実際には多くの車両の所有者や使用者は自賠責保険に入っていたり,任意保険に入っていたりするので,発生した損害は,保険会社が支払います。
 しかし,その実体は,事故を起こした加害者が被害者に対して損害賠償金を支払うことなのです。

3. 行政上の責任とは

 最後は行政上の責任です。車両を運転する人は,自動車運転免許を持たなければならないと定められています(道路交通法第84条)。この免許は,交通事故を起こすと,取り消されたり,停止されたりします(同法103条等)。これが行政上の責任の取り方です。
 自動車を運転する方は「点数制度」をお聞きになったことがあるかと思います。これは道路交通法施行令38条で定められている制度で,特定の違反行為について違反点数を定め,その累積によって先ほどの,免許の取り消しや停止などを行うものです。
 詳細な点数などは条文を読んでもとても複雑なので,各都道府県警がウェブページに掲載している表などを参照してくださった方が分かりやすいと思います(「警視庁 点数制度」などと検索すれば,警視庁の公式ホームページなどを見つける事ができます)。

刑事事件となった場合の基礎知識

 上で説明をしたように,交通事故を起こした場合は,3つの責任が問題となります。ここでは刑事責任が問われる場合の基礎知識を説明します。

警察が捜査の対象とする犯罪類型

 まず,事故が発生をした場合,自動車の運転をする者は事故が発生したことを警察に届け出なければなりません(道路交通法72条)。この通報によって,警察の捜査が始まります。
 警察は,あなたが関係した事故について,あなたに刑事責任があるかどうかを捜査するのが仕事となります。交通事故の場合,問題となる刑罰には次のようなものがあります。この表は,「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定されている刑罰の主要部分を抜き出して整理したものです。詳細をお知りになりたい場合は,条文などを直接ご確認ください。なお,これ以外にも道路交通法で,無免許運転や酒酔い運転などについて刑罰を定めています。

罪名行為態様法定刑
危険運転致死傷
(2条)
アルコール又は薬物の影響により
正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる
行為等
人を負傷させた場合
1月~15年以下の懲役
人を死亡させた場合
1年以上20年以下の懲役
準酩酊運転致死傷
(3条)
アルコール又は薬物の影響により,
その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれが
ある状態で自動車を運転し,そのアルコール又は
薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥って
人を死傷じさせる行為
人を負傷させた場合
1月以上12年以下の懲役
人を死亡させた場合
1月以上15年以下の懲役
過失運転致死傷
(第5条)
自動車の運転上必要な注意を怠り
人を死傷させる行為
1月以上7年以下の懲役・禁錮
もしくは100万円以下の罰金
※情状により刑の免除も可能

 ①と②の区別が分かりにくいかもしれません。①は,「正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」ていることの認識があることが必要となりますが,②については,そのような認識は不要で「その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で,自動車を運転」させている認識があれば足りることになります。つまり,より危険性が高いことを認識しながら運転をしている①の方が②より罪が重いといえるのです。そのため,法定刑(刑罰)も①の方が重くなっています。
 このように法律の条文の順番上は,①,②が先に規定されていますが,大半の運転手はこのような危険な行為をすることはありません。普通に運転をしていて,事故を起こした場合は,③の過失運転致死傷の成立が問題になるにすぎません。ただ,それであっても1月以上7年以下の懲役になる可能性がある犯罪ですので対応は慎重にせねばなりません。

自動車の運転上必要な注意の内容

 先に説明をしたように大半の事案では,「自動車の運転上必要な注意を怠った」(第5条)かどうかがポイントになりますので,この点を少し詳しくみていきましょう。「運転上必要な注意」とはどのようなものなのでしょうか。
 まず,道路交通法等で定められている運転手の義務としてどのようなものがあるのかを確認することが有益です。それが運転上の「必要な注意」と言える場合もあるからです。もちろん道路交通法で定められている義務と「運転上必要な注意」はイコールではないのですが,参考にはなります。
 例えば,前の車両が危険を避けるためにやむを得ず急ブレーキをかけて,後続車両のブレーキが間に合わず衝突してしまい,前方の車両の運転手が怪我をしてしまった場合を想定してみましょう。道路交通法には次のような条文があります。

第二十六条(車間距離の保持)

 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

 この条文からは,後続の車両が,道路交通法上,車間距離保持の義務を負っていることがお分かり頂けたかと思います。この道路交通法上の義務がそのまま「運転上必要な注意」の内容となる訳ではないのですが,このような車間距離保持義務を果たしていれば結果を回避しえたのか,刑罰の対象にするだけの危険性を有した行為であったのかといった点を考慮して「運転上必要な注意」の内容といえるかどうかを裁判で確定していくことになります。
 なお,実務上は道路交通法なども参照しながら自動車の運転中には次のような注意義務があることが認められる傾向にあります。
 ①直進運転時には,進路前方の安全確認義務,隘路の場合に前方の自転車等を追い越す際の自転車の転倒を予測して,追い抜きを差し控える義務等
 ②交差点で右折の際には対向直進車両が交差点を通過するまで,右折を差し控える注意義務
 ③交差点での左折時には,後進車の動静に十分注意し,同車両に追い抜かれてから道路の左側に寄る注意義務

 このような注意義務を怠って交通事故を発生させて人を死傷させた場合は,原則として,過失運転致死傷罪が成立することになります。

刑事手続きになった時に逮捕・勾留されるかどうか

 交通事故は誰の身にも起こります。普通の社会人が突然,重大な刑事手続きに巻き込まれてしまうのが交通事故の恐ろしいところです。では,交通事故を起こした場合に逮捕・勾留される場合とされない場合の基準のようなものはあるのでしょうか。
 まず,逮捕・勾留の要件を確認しておきましょう。
「逮捕」をするには,①罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由と②逮捕の必要性つまり「逃亡するおそれ」や「罪証を隠滅するおそれ」が必要となります。 
「勾留」する場合も,①被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることに加えて,②住居不定であること,もしくは罪証隠滅もしくは逃亡を疑うに足りる相当な理由があること,③勾留の必要性があることが必要です。このような要件を前提にすると,一般的には次のように言えます。

不起訴,罰金刑,執行猶予付き判決 が予想される場合は逮捕,勾留されにくい。
 ⇒ そのような処分が予想されるのに 逃亡したり,証拠を隠すことは考えにくいため。
家族がある,定職についているといった場合には逮捕・勾留されにくい
 ⇒ 逃亡することは考えにくいため。
警察が主張する事故態様と被疑者の主張する事故態様が大きく食い違っていない場合は逮捕・勾留されにくい。
 ⇒ 食い違っている場合は,証拠を隠したりねつ造する可能性があると判断されやすいため。
アルコール,薬物等の影響がない場合も逮捕・勾留されにくい。
 ⇒ あまり重い刑罰は想定されない上に,アルコール,薬物等を摂取した状況が問題とならないため,また,隠滅の対象となる証拠が想定しにくいため。

刑事事件となった場合の刑の重さ

 それでは,次に刑事事件となり,起訴された場合の量刑の相場について簡単に解説していきます。次の表は,判例のデーターベースに登録されていた自動車運転過失致死傷の事案を適宜ピックアップしたものです。

裁判年月日事故態様・被害結果量刑
①名古屋地方裁判所半田支部
平成30年5月28日判決
被告人は携帯電話を利用しながら自動車を運転し,
時速50キロで横断歩道を歩行中の歩行者をはねた。
被害者は後遺症を伴う加療約2か月間を要する傷害
を負った。
禁錮1年4月
3年間の執行猶予
②岡山地方裁判所
平成30年7月13日判決
被告人は,自動車で走行中,前方の車両を発見し
減速しようとしたところ,アクセルとブレーキを
踏み間違え,加速し,4台の車に次々と損傷を与え,
歩行中の5人の子どもにも接触させた。
これにより9名を負傷させ,1名を死亡させた。
禁錮3年
5年間の執行猶予
③大津地方裁判所
平成30年3月19日判決
被告人は大型貨物自動車を運転しスマートフォンを
操作していたことから,衝突する直前まで前方車両
に気が付かず,自車を前方車両に追突させ,その後
玉突き事故となり,前記前方車両を含む4台の車に
損傷を与えた。
これによって1名を死亡させ,4名に傷害を負わせた。
禁錮2年8月
④岐阜地方裁判所
平成29年5月26日判決
被告人は,制限速度60キロの一般道を時速122キロ
で走行し,同乗者である被害者らを楽しませようと
して,ハンドルを左右に操作し,自車の制御を失わ
せ,ガードレールに衝突させたうえで,回転させな
がら滑走させるなどした。
これによって同乗者1名が死亡し,同乗者4名が傷害
を負った。
懲役2年6月

 これらの事案をみると分かるように,まず人が亡くなっていない事案では実刑となる可能性はあまり高くないと言えます。
また,死亡した被害者がいるにも関わらず,過失の態様によっても実刑とならない場合があることも分かります。また,筆者が実際に経験した被害者の方がお亡くなりになった事案(右折車両と対向直進バイクとの衝突事故)でも,執行猶予が付くなどしていますので,スマートフォンを利用したことによるわき見運転や故意の速度違反などの危険行為がなければ,執行猶予が付く可能性があることが分かります。
 一方で,スマートフォンの利用によるわき見や故意の速度違反などの危険行為を故意に行っている場合は人の死亡の結果が生じている場合は実刑の可能性が出てきます。

交通事故を起こした時に取るべき対応

 人として悪いことをした場合,被害者に誠意を尽くすのは当然です。そして,被害者のいる犯罪は,被害者への対応次第で執行猶予と実刑の結論が分かれることも否定できません。事故を起こしてしまった過去は変えられないのであれば,今後のことに全力を尽くすべきです。
 まず,事故で不幸にも被害者の方が亡くなられた場合,お通夜やお葬式への参加は必ず打診するべきです。顔向けできないという気持ちは分かりますが,やるべきことをちゃんとやりましょう。またその他の節目の時期にも適切な対応を取るべきです。もちろん参列を断られることもありますが,それでも,誠意を示すことが重要です。
 また,民事の損害賠償が行われたかどうかも量刑に影響を及ぼします。もちろん対人無制限の保険に入っていれば,判決後ではあっても法律上の損害は賠償されますので,判決後に賠償がなされることは確実です。したがって量刑において,その点ではさほど影響はありませんが,たとえば被害者の家族が大黒柱を失って生活に困窮している場合には,場合によってはお見舞金として,加害者本人が一旦,一定の範囲の金額を支払う事を検討しても良いと言えます。そのような対応をすることで,被害者の方に誠意を伝えることが可能となるからです。そのような対応を取る場合は,保険会社との調整も必要となりますので,弁護士さんに依頼するなどして適切に対応しましょう。
 なお,上記のお通夜やお葬式への参加やその後の賠償交渉についてもご自身が誠意をもって動くことは大前提ですが,場合によっては弁護士さんに依頼をして対応することも効果的です。被害者の方も直接加害者と対峙するより,間に弁護士さんが入った方が精神的にも楽という面もあると思いますので,積極的に依頼を考えても良いと思われます。保険会社が弁護士さんを付ける場合もありますが,刑事事件になることも想定して,ご自身で弁護士さんを探すことも重要です。

まとめ

 今回は交通事故を起こしてしまった場合の法的責任の種別及び,刑事責任に着目して,解説をしました。交通事故で刑事責任が問題となった場合,被害者遺族に対する誠意ある対応が,実刑と執行猶予の境目の事件では,ポイントの一つとなることもあります。人として当然の対応を,当然に行うということが大事です。
 保険会社は,刑事裁判が確定し,刑事裁判の記録が入手できるようになってから対応を検討しようとします。これ自体,正確な証拠を前提に賠償額を確定するための対応であり,保険会社としてはやむを得ない面がありますが,被害者の方の思いには沿っていない可能性があります。ご自身で弁護士さんを依頼して,一部でも先にお見舞金といった形で被害者の方にお支払いをするなど,誠意をもって対応する方が良いかもしれません。
 いずれにせよ,事故の当事者は保険会社の担当者ではありません。あなた自身が事故の加害者として人として取るべき対応をとることが,事故を起こしてしまった時の最善の方法です。何ができるのか,ぜひご自身で弁護士に相談するなどして検討してみてください。

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