刑事判例紹介(30)|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

刑事判例紹介(30)

刑事弁護コラム

刑事判例紹介(30)

事案

 業務上横領罪の嫌疑が浮上した被告人方への捜索をするべく,警察は,被告人勤務先会社の従業員Aの関与する別件のモーターボート競走法違反の嫌疑に基づく捜索・差押許可状の発付を受け,被告人宅を捜索した際に,普通預金通帳3通の任意提出を受けて領置した。当該通帳等を証拠に,業務上横領につき有罪とした第一審判決に対して,被告人は,捜査の違法,証拠の排除,及び無罪等を主張し控訴した。

判旨(広島高裁昭56年判決)

 モーターボート競走法違反被疑事件は,被告人に対する被疑事実の内容,被告人の関与の態様,程度,当時の捜査状況からみて,…特に被告人方だけを捜索する必要性が果たしてあったものか…疑問であるばかりでなく…領置していること,被告人は右被疑事件について逮捕,勾留されたが起訴されなかったことなどを併せ考えると,右被告人方の捜索は…本件業務上横領事件の証拠を発見するため,ことさら被告人方を捜索する必要性に乏しい別件の軽微なモーターボート競走法違反事件を利用して,捜索差押令状を得て右捜索をしたもので,違法の疑いが強い。

コメント

 捜査の必要性に乏しい別件事件の証拠収集を口実にして,本件に関する証拠収集を目的として捜索・差押えを実施することを,別件捜索・差押えといい,憲法35条1項の令状主義を没却するものとして違法となります。本事件は,別件捜査の必要性,押収物と別件被疑事実との関連性,及び捜査機関の目的等を勘案して,被告人宅への捜索は別件捜索・差押えとして違法の疑いが強いとしました。なお,領置という態様はいまだ重大な違法とまではいえないとし,証拠の排除は認めませんでしたが,業務上横領罪の認定には合理的な疑いが残るとして,被告人を無罪としています。

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